機動警察Kanon第043話
カツ カツ カツ
川澄舞は背中をピンと伸ばして廊下を歩いていた。
そしてそんな舞を見た同僚達が次々と挨拶してくる。
だが舞はそんな同僚達には目もくれず、企画七課の部屋へと入っていった。
「おはようございます、川澄さん」
舞が企画七課のオフィスに入ると廊下での事のように次々と朝の挨拶がかけられてきた。
すると舞はぶっきらぼうではあったが廊下の時とは違い挨拶を返した。
「…おはよう」
そして舞は自分の席に腰掛けた。
そしてデスクに置かれていたメモに目を通す。
そして目を通し終えると立ち上がり、部下Bに声を掛けた。
「…課長からの電話はいつ来たの?」
そこで部下Bは電話を受けた時間を告げた。
「今から二時間ぐらい前ですね」
「何か言っていたの?」
すると部下Bは首を横に振った。
「いいえ。課長は川澄さんが不在ということを聞いたら何も言わずに切ってしまいましたから」
「…そう。連絡先は分かる?」
「はい、ここにしばらくいるそうです」
そう言って部下Bは舞に一枚のメモを手渡した。
「…ありがとう。ところで連絡のメモはもっときちんとまとめておいて」
そういうと舞はオフィスの片隅にあるボックスの中へと入っていった。
小さなボックスの中に入った舞は何か機械を懐から取り出すとスイッチを入れた。
そして非常に狭いボックスの中を調べて回る。
盗聴器が仕掛けられていないかどうか確認しているのだ。
やがて舞は満足したのかボックスの片隅に置かれている電話の受話器を取った。
そしてメモに書かれている番号をプッシュする。
プルルルル〜 プルルルルル〜
「はい、佐祐理ですよ〜」
十数回のコール音の後、受話器が取られその向こう側からは企画七課課長倉田佐祐理の声が帰ってきた。
「…佐祐理、私だけど」
舞の言葉に佐祐理さんはにっこり微笑んだ。
「あはは〜、舞、久しぶりですね〜♪ 何のようですか〜?」
「…佐祐理が電話を掛けてきたって連絡受けたから」
舞の言葉に佐祐理さんはまたあはは〜と笑った。
「そう言えばそうでしたね。舞に用事があるんでした〜」
「報告書、読ませて貰いましたよ〜」
佐祐理さんはノート型パソコンの液晶ディスプレーに映し出されている文字を読みながら続けた。
「ところでえっ〜とファントムでしたっけ、なんで失敗したんです? けっこう強力なのって聞いていたんですけれど」
「…邪魔が入ったというのもあるけど格闘戦に滅法弱かった……」
舞は報告書には書き込まなかった詳細な事情を佐祐理さんに話した。
「ほえっ〜、そんな事があったんですか。それはいけませんね〜」
「…ごめん、佐祐理」
佐祐理さんの言葉に舞は申し訳なさそうにつぶやいた。
すると佐祐理さんはあははは〜と笑った。
「違いますよ舞。 佐祐理がいけませんね〜って言ったのはファントムの方ですよ」
「????」
佐祐理さんの言葉の意味が分からない舞は首を傾げている。
だが電話なのでその状況が分からない佐祐理さんは続けた。
「レイバーが格闘戦に弱いなんて論外です。なんとかしないといけませんね」
そうつぶやくと佐祐理さんは黙り込んで考え始めた。
「佐祐理? どうしたの?」
黙り込んでしまった佐祐理さんに舞は心配して声を掛けた。
すると佐祐理さんはまたまたあはは〜と笑い、そして言った。
「佐祐理いいこと考えちゃいました。舞にも教えてあげますね〜」
そう言うと佐祐理さんは考えついたことを話し始めた。
「良い考えだと思う」
佐祐理さんの考えを聞いた舞は頷きながらそう言った。
すると佐祐理さんはうれしそうに笑った。
「舞にそう言ってもらえるとうれしいです。それじゃあ調達しだい日本に機材をおくりますね〜♪」
その一言で舞は佐祐理さんが今日本にいないことが分かった(電話番号でも分かるはずなのだが……)。
「…佐祐理、体に気を付けて」
「舞もね♪ それじゃあまた今度連絡しますね〜」
そして電話は切られた。
受話器を置いた舞はボックスを出た。
そして自分の席につくとどこかへと電話し始めるのであった。
あとがき
今回は佐祐理さん&舞の二人だけです。
第二小隊の面子はひとりも出てきませんでした。
ちなみに次回は第一小隊をメインにする予定(変更しなければだけど)。
なお今回の話は次のメインストーリーの複線です。
2001.04.30
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