機動警察Kanon第035話





 
 
 ズガァーン
 
 
ライアットガンは轟音をたてて発射された。

そしてその弾丸は目の前に現れたエイブラムスに向かって飛んでいく。

命中するのか。

四人の特車二課隊員は皆そう思った。

しかしエイブラハムはその弾丸を避けた!!

そして真琴の放った銃弾はアスファルトに巨大なくぼみを作った。

さすがに秋子さんが封印を決定しただけはある威力だ。

しかし命中しなければその威力は何にも役立たない。

そしてそのままエイブラハムは真琴の駆る二号機目指して突っ込んできた。
 
 

「こなくそ〜、当たりなさい!!」

真琴はそう叫ぶと立て続けにライアットガンをぶっ放す。

しかし頭に血が上っているせいかその照準は全く合っていない。

あっというまにエイブラハムは二号機の懐に潜り込み、その手にしていたライアットガンを跳ねとばした。



 
 
「なっ!?」

真琴は驚いたもののすぐに気を取り直しエイブラハムを殴りつけた。

もちろん精密機械であるマニュピュレーターで殴りつけたのだからkanonも無傷ではない。

しかし間違いなくエイブラハムの一機にそれなりのダメージを与えたことは間違いなかった。

「真琴!! 後ろです!!」

そのとき美汐が突然鋭い声で叫んだ。

あわてて真琴は二号機を振り替えさせようとする。

しかしその前に真琴の乗る二号機はラリアットを食らわされた。

「あうぅ〜!!」

真琴の叫び声とともに二号機は地面に打ち倒された。

「あたたたたた…」

「真琴!! 大丈夫ですか?」

マイクごしに聞こえた美汐の言葉に真琴は首を振りながら応えた。

「何とか大丈夫みたい…」

「それならすぐに起きあがってください!! まだあなたを狙っています!!」

「えっ!?」
そこで真琴が目にしたのは二機のエイブラハム(一機は真琴が殴ったやつね)が今まさに二号機を

襲おうとしているところであった。

「な、名雪は何やっているのよ〜!!」

あまりの状況に真琴はそう叫ぶしか出来なかった。
 
 
 



そのころ名雪は夢の世界に浸っていた、というわけではなく残り二機のエイブラハムと戦っているところであった。

「うぅ〜、二機がかりなんてずるいよ〜」

名雪はそう泣き言を漏らした。

そんな名雪に祐一は叫んだ。

「いっぺんに二機同時に相手しようと思うな!! 一機ずつ片づけろ!!」

「そんな気楽に言わないでよ〜。とっても大変なんだよ〜」

言わずもがなのことを戦闘中に叫んだ名雪に祐一は思わず突っ込んだ。

「戦闘中にアホなことぬかすな!!」

「うぅぅ〜、祐一ひどいよ……」

そういいつつも名雪は一機のエイブラハムを押さえつけた。

さすがに最新鋭のkanonだけはあってパワーが売りのちょっと前の軍用レイバーと互角らしい。

するともう一機のエイブラハムがケロピーに襲いかかろうとした。

「名雪!! もう一機来るぞ!!」

「えっ!?」

予想していなかった攻撃に動揺する名雪。それでも名雪は真琴とは違いその攻撃を避けた。

それだけでなく素早く左腕のシールド裏に装着したスタンスティクを引き抜くとエイブラハムの右胸部分に突き立てた。
 
 
バシュ!!

スパーク音とともに一機エイブラハムは完全に沈黙した。








 
 
 
 
「…川澄さん、三号機が行動不能になりました」

後部座席で様子をモニターしていた部下の言葉に舞はこくんとうなずいた。

「…問題なし。それよりファントムを投入して」

「わかりました。これよりファントムを投入いたします」

部下の言葉に舞は満足げにうなずいた。









 
 
 
 「あうぅ…、美汐助けて……」

真琴の駆る二号機はエイブラムスに完全に極められていた。

そのせいで二号機は全く動くことが出来ない。

『相沢さん!! 名雪さんに!!』

「よし、わかった!!」

祐一は美汐の言葉を聞いて名雪に真琴を助けるように命じた。

「わかったよ〜」

名雪は二機(一機は真琴と戦っていた機体)のエイブラムスの間をすり抜けると真琴を極めていた機体に蹴りつけた。

「あうぅ〜、名雪なにするのよ〜」

極めていたエイブラムスごとケロピーが蹴りをかましたので真琴も一緒に地面に転がった。

まあそれでも覚悟を決めていたのでそれほどの動揺はなかったので真琴は素早く立ち上がると右足に装着してある

37mmリボルバーカノンを取り出した。

そしてエイブラムスの一機に照準を合わせようとした。

そのとき二号機のモニターが完全にブラックアウトした。

「ちょ、ちょっとこれ何よ〜!!」

しかしいくら真琴がわめいたところで突然動かなくなったモニターは復旧しそうにない。

真琴は仕方がなく上部ハッチから顔をつきだした。

すると乱闘現場からおよそ300mぐらいであろうか。

遠くからエイブラハムではない、他の素性不明のレイバーが接近しつつあったのであった。
 
 





 
 
あとがき
ようやくファントムが姿を現しつつあるところまできました。

このペースだとあともう一段(六話)は使いそうです。

というわけで引っ越し前にファントム編、終わりませんでした。

続きはしばらくお待ちくださいね。


それにしても文章のレイアウト、違いすぎ。

やはり一太郎8から11はずいぶん変わっているんですね。
 
 
 
2001.03.26(2001.04.01改訂)

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