機動警察Kanon 第022話










  特車二課の毎日はとても忙しい。

 24時間いつでも出動出来るように待機していなければならないし訓練をしなければならない。

 そして公務員として当然のことだが面倒な書類の作成もある。

 だが何より大切なのは食料の自給自足なのであった……。








  「ここにならどんな作物を植えたってかまわないぜ」

 「へー、ここでなら何を作っても良いんだ♪」

 真琴は整備員北川潤の説明を聞いて喜んだ。

 そこには一面の畑が広がっている。

 「勝手に作物なんか植えて文句言われないのか?」

 祐一が尋ねると北川は頷いた。

 「ああ、文句なんぞいわれんよ。課長は気にもしていないし秋子さんも由起子さんも黙認しているからな」

 「香里はどうなんだ?」

 祐一の言葉に北川は一瞬たじろいだ。

 「…香里は俺らが畑仕事や漁をしているのを快くは思っていない。

 しかし食料の調達でもしないとここでは旨いものは食べられないからな。

 というわけで整備の合間の畑仕事・漁に関しては黙認といったところだな」

 「なるほど」

 「道具は倉庫に転がっているから好きに使ってくれ。肥料も裏に肥やしやたい肥が準備してあるからさ。

 ちなみにいま栽培中なのは大根・人参・白菜・キャベツ・レタス・トマト・茄子・キュウリ・南瓜だ」

 その時、ハンガーから香里が顔を出して叫んだ。

 「北川くん!! 仕事よ、さぼっていないで戻ってきなさい!!」

 「はーい、班長!!」

 北川は大きな声で返事するとその場を走り去った。







  「さて何をつくろうか?」

 祐一がつぶやくとすかさず名雪が叫んだ。

 「私はね〜、イチゴを作るんだよ〜」

 それを聞いた真琴・あゆ・栞も叫んだ。

 「真琴は肉まん!!」

 「ボクはたい焼きだよ!!」

 「私はバニラアイスです!!」

 「肉まん・たい焼き・バニラアイスが畑で作れるか!!」

 祐一が叫ぶと三人は顔を膨らませた。

 「いいわよ、真琴は豚肉から生産するんだから」

 「ボクは小麦と小豆をつくるよ」

 「牛から牛乳取ります」

 「…お前ら本格的に農作業するつもりか?」

 あゆの小麦と小豆はともかくとして、真琴・栞の主張した牛やら豚やらはどう考えても任務の片手間に

 気安くできる物ではない。

 結局、二人は牛豚を飼うのを断念し、他の農作物を作ることとなったのであった。






  「ねえねえ美汐、美汐は何をつくるの?」

 倉庫から鍬やら何やらを引っぱり出していると真琴は美汐に興味津々といった表情で尋ねた。

 すると美汐は一瞬考え込み、そして言った。

 「私はお茶でも植えてみようかと」

 それを聞いた五人は一瞬固まった。

 「「「「「お茶?」」」」」

 「ええ、そうですがそれが何か?」

 「…天野ってやっぱりおばさんくさいな。」

 祐一がつぶやくとさすがに他の四人の巡査も頷いた。

 「…失礼ですね。物腰が上品だと言ってください。」

 しかし美汐もうら若き乙女の一人。

 名雪・あゆ・真琴・栞にまで頷かれてしまいショックは隠しきれない様子であった。







  とりあえず六人は畑を耕すことにした。

 しかしそこは畑とは名ばかり、草が生えていないだけのただの空き地だったのだ。

 これを鍬で耕すのは非常に困難と思われたので祐一は倉庫から耕耘機を引っぱり出してきた。

 「わっ、祐一耕耘機なんか運転できるんだね」

 名雪が感心したように言ったので祐一は呆れた。

 「名雪…小型特殊は普通免許を持っているやつなら運転できるんだぞ」

 「そうなんだ、知らなかったよ」

 レイバーの免許・大型・大型特殊の免許を持っているとはとても信じられない言葉だ。

 祐一はため息をつくと名雪に言った。

 「耕すのはオレがやっておくからお前はあうぐぅや栞・美汐と種や苗を買ってこい」

 「分かったよ〜」

 というわけで名雪・あゆ・真琴・栞は美汐に引率され、近くのJAへと出かけた。






  五人が出かけている間に祐一は畑を耕し、さらに肥やしとたい肥もばらまいた。

 そしてさらに念入りに耕す。

 それらが終わった後は畑に散らばっていた小石を除けていた。

 やがてトラックの荷台に苗やら種を載せて五人が帰ってきた。

 

  いつ出動があるのか分からないので今日を逃すといつ畑に作物を植えられるのか分からない。

 第二小隊の面々は手早く畑に苗や種を植え始めた。

 はじめは珍しさからわいわい騒いでいた五人(美汐は騒がなかったのだ)ではあったがやがて飽きてきた。

 それと同時に疲れもたまってきていつしか五人は無言のまま作業をし続けた。









  「おっ、よさそうにできたじゃないか」

 夕方、第二小隊の面々が必死で植えた畑に北川がやって来てそう言ったのだ。

 「そうか? そんなによさそうか?」

 祐一が北川に尋ねると北川は頷いた。

 「ああ、俺たち整備班の人間の目から見るとよく出来ていると思うぜ。

 これなら夏から秋にかけて良い作物が収穫できるだろ」

 それを聞いた名雪・あゆ・真琴は嘆きの声を上げた。

 「「「秋なの〜!?」」」

 どうやらすぐにでも作物を収穫するつもりであったらしい。

 しかしそれは無茶な相談だ。




 と言うわけでこのとき植えられた作物は数ヶ月後にやっと食べられたのであった。







あとがき

……何が書きたかったんでしょう、私は?

自分でも理解不能です。

パトレイバーならこういう話も有るはずと書いたんだが全然おもしろくありませんね。

次回はおもしろく書きたいです。





2001/03/10

2004/10/18改訂


「機動警察Kanon」TOPへ戻る    SS-TOPへ戻る