機動警察Kanon 第016話
ズガァーン
辺りを37mmリボルバーカノンの銃声が鳴り響いた。
その場に居合わせた警察官たちはみな顔を見合わせ、そして青ざめた。
現場の惨状と明日の新聞の第一面を正確に予想したからである。
そしてその想像はほとんど正しかった。
幸いなことに犯人・人質の両人が無傷ではあったが。
それでも二人とも数ヶ月の間、難聴に悩まされるであろう。
「さてなぜ呼び出せたか分かっていますね」
秋子さんは静かな口調で目の前に立っている二人を見た。
二人ともすっかりしょげ返っている。
「真琴…なんであんなことをしたんですか?」
秋子さんは穏やかな口調ではあったがやっぱり怒っていた。
そこはかなげなく怒りのオーラが真琴とあゆに伝わってくる。
「あうぅ〜、かっとなっちゃってつい…、ごめんなさい」
「ごめんですんだら警察官はいりませんよ、真琴」
秋子さんはそういうと机の引き出しを開け、紙束を取り出した。
「これは始末書用紙です。真琴、これ全部使い切って始末書を書くように。あと三ヶ月の減俸です」
「あうぅ〜(涙)!!」
懲戒免職にならないだけマシと真琴は涙を流しつつも始末書用紙の束を素直に受け取ったのであった。
「さて今度はあゆちゃんですね」
秋子さんはあゆの方を見た。
「あゆちゃんには悪いけど指揮者ですからね、やっぱり始末書を書いてもらいます」
そう言うと秋子さんは始末書用紙を一枚、あゆに手渡した。
「あゆちゃんの責任ではないけど指揮者である以上仕方がないからがんばってね」
「うぐぅ〜、…分かったよ」
あゆも素直に始末書用紙を受け取った。
「それじゃあ二人とも明日には提出するようにね」
秋子さんの言葉に二人はうなだれつつも承認した。
「あうぅ、分かった」
「うぐぅ、提出するよ」
そして二人はしょぼしょぼと隊長室を後にした。
そんな二人とは入れ違いに第一小隊隊長小坂由起子警部補が入ってきた。
「秋子先輩、始末書ですか?」
「ええ、そうです。あゆちゃんには悪いけど決まりだし…始末書を書いてもらうことにしました」
「やはり月宮巡査では無理なのでは?」
「…そうかもしれませんね」
さすがに秋子さんも今回は由起子さんの意見にうなずいた。
「近頃あゆちゃん、たい焼きの消費量も増えているみたいだし。
やはり暴走気味な真琴を押さえられる人材が欲しいわね」
秋子さんがそういった時メールが届いた。
「あらあら、なにかしら」
秋子さんはパソコンのディスプレーをのぞき込んだと急に真剣な目つきをした。
そして熱心に送られてきたメールと添付資料に目を通している。
やがてメール・添付資料に目を通し終えたのであろう。
秋子さんはディスプレーから目を離すと受話器を取り、電話をかけ始めた。
「どうしたんですか先輩?」
電話をかけ終えたところで由起子さんは秋子さんに声をかけた。
すると秋子さんはウフフと笑った。
「ようやく優秀な人材がみつかったんですよ。ですから人事の方にちょことお願いをね♪」
「…先輩の目に叶う人材なんですからすごい優秀なんでしょうね。」
「それはもう。あなたの所でもほしがるようなとびっきりの人材よ」
「先輩に悪いですからそんなことは言いませんよ。ところでその優秀な人材、いつ来るんです?」
その一言を聞いた秋子さんはちょっと暗い顔をした。
「…それがいつになるのか分からないのよ。できるだけ早くって頼んだんだけどね」
「…大丈夫ですか?」
「さあどうかしら。でも真琴もさすがに一週間ぐらいはおとなしくしていると思うし大丈夫でしょう」
「減俸三ヶ月+始末書付きでも一週間なんですね…」
由起子さんのあきれたような言葉を聞きつつ秋子さんは隊長質を出ると第二小隊のオフィスへと歩いていった。
あとがき
6人目の隊員導入に当たってのプロローグ的お話です。
さて熊上さん役を務めるのはいったい誰なんでしょうね?
あと出来るだけ早く舞・佐祐理さん・美汐を出したいなーと思っています。
2001/03/02
2004/10/16改訂