機動警察Kanon 第014話












  第二小隊が発足して早一ヶ月が経とうとしていた。

 そしてその間の第二小隊の活躍はめざましいものであった。

 その活躍が新聞やニュースに乗らない日は一度たりと無かったほどの活躍だ。

 テレビでは連日特集が組まれ、今や日本中、第二小隊のことを知らない者はいないというほどであったのだ。








 「先輩、この事態どう思うんですか?」

 そう問いかける第一小隊隊長小坂由起子警部補のデスクの上にはここ連日、世間を賑わせている第二小隊に

 ついての記事特集が組まれた新聞・週刊誌がたっぷり積まれていた。

 その量たるや半端なものではなかった。

 超一流の芸能人ですらここまで書かれることはなかったであろう。

 雑誌・新聞の山を見た秋子さんはにっこり微笑んで言った。

 「何にせよ注目されることは良いことです」

 それを聞いた由起子さんはため息をついた。

「そりゃあ良いことなら注目されるのは全然構いませんが…、これらはすべて悪評なんですよ」






  そう、現在第二小隊を取り扱っている記事等はその大半が悪評だった。

 すなわち

 『役立たず』

 『猫の手のほうがまし』

 『税金泥棒』

 『第二小隊が通った後には草も生えない』

 『おちこぼれ集団』。

 等々、しかもこれらはそのほんの一例にしかすぎない。

 なぜこうも悪評高くなってしまったのか、それには主に二つの理由があった。





 その一。

 すなわち一号機パイロット水瀬名雪を起因とする悪評である。

 名雪はレイバー乗りとしてかなりの技量の持ち主であった。

 それゆえに周りにほとんど被害を与えることなく犯人を逮捕していた。

 しかし睡魔への抵抗力の無さが夜間における捕り物で技量を発揮することを妨げ、

 また若干の判断力の鈍さが一号機の評価を落としていた。





  その二。

 それは二号機パイロット沢渡真琴を起因とするものであった。

 すなわち真琴は非常に堪え性のない性格の持ち主であった。

 それゆえに始終暴走気味。

 そして本来それを押さえ込むべき指揮者月宮あゆの気弱さというか押しの弱さが真琴の暴走を

 阻止できず、被害を甚大なものとさせていたのである。

 まあ他にもやたらめったら銃をぶっ放したり、機体をやたら破損させるというのも原因ではあったが。







 主にこの二つが原因となって第二小隊、しいては特車二課そのものの評価が低下するのであった。








  「秋子先輩、沢渡巡査を押さえるには月宮巡査では駄目なのではありませんか?」

 由起子警部補の言葉に秋子さんは反論した。

 「無いものはいくらねだっても無いんです。今ある人材で乗り切らないと」

 「確かにそうですが…、でも催促ぐらいは出来るのではないでしょうか?」

 「それはそうなんだけど…あんまり良い人材がいなくて。

 昔の伝を頼りに優れた人を捜しているところなんですよ」

 「…秋子先輩の伝ならすごい人見つかりそうですね。」

 「ええ、それはもう」

 秋子さんの自信満々な態度に由起子さんははそれ以上この件について取り上げようとはしなかった。









あとがき

ちょこっとご無沙汰の「機動警察Kanon」をお届けいたしました。

今回はちょこっと短め。

もう少し長くしようかとも思いましたが区切りが良いしこれでおしまい。

早く続きを出したいものです。






2001/02/28

2004/10/16改訂


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