機動警察Kanon 第012話















  「……」

 指揮車に乗っていた祐一は222号機からの連絡に黙り込んだ。

 なんでもあゆによれば真琴がやったのは盛大に銃をぶっ放し、コンビニとたい焼き屋を吹き飛ばした

 だけだというのだ。

 しかも目標のレイバーにはかすり傷一つつけていないという。

 これでは猫の手よりも役に立たないではないか。

 「まったくあのあうぐぅめ!」

 祐一は悪態をつく、すると221号機ことケロピーから無線が届いた。

 『祐一〜、二人をそんな風に言っちゃ駄目だよ〜。まだこの子たちに慣れていないんだから』

 「慣れていないのはお前だって同じだろう。」

 『そういえばそうだね〜。でもきっと大丈夫だよ』

 「…お前のその自信がどこから来ているのか知りたいもんだよ」

 『ふぁいとだよ祐一。きっと上手くいくよ』

 「…そうだといいがな」

 祐一は名雪ほど楽観的になることは出来ずにため息をついた。








  そのやりとりから数分後。



  ケロピーよりちょっと前に出て監視にあたっていたパトカーから連絡が入った。

 クラブマンが接近中であり、あと少しで会敵するという。



  「名雪!! 目標が接近中だ。いつでも動けるように準備しておけよ」

 祐一の言葉に名雪は

『わかったよ〜、いつでもいけるよ〜』

 と眠そうな声で返事した。

 さすがに名雪にとってこの時間に起きているのは至難の業らしい。

 ちょっと(実はかなり)不安になった祐一はおそるおそる名雪に聞いてみた。

 「おい名雪、お前ちゃんと起きているのか?」

『ちゃんと起きているんだよ〜』

 とても起きているとは思えない口調での返事に祐一は不安になった。

 しかしすでに犯人はすぐ近くだ。

 祐一に何か出来ることはほとんどなかった。

 ただ

 「がんばれよな、名雪」

 と励ますことしかできなかった。







  そしてその時はやって来た。

 とうとう祐一と栞と名雪、ケロピーの前に犯人が姿を現したのだ。

 すでにボディーは傷だらけ、しかし警察車両を振り切ってきた独特の貫禄を持っていた。

 「とうとう来たな…」

 祐一は口の中でつぶやくと名雪と栞の二人に指令を下した。

 「名雪!! この先はもうないんだからな。ここでしっかり止めろよ!!」

 『うにゅ〜、祐一分かったんだぉ〜』

 「栞!! もし犯人がここを突破したらそのキャリアで体当たりしてでも止めるんだぞ!!」

 『そんなこと言う人、嫌いです。でもお仕事だからがんばります!!』

 「二人ともその調子だ。それじゃあ行くぞ!!」

 その言葉を合図に名雪の操るケロピーが動き出した。







  (*そろそろつらいので犯人サイトをお送りいたします。)

 

 犯人A:「今日は妙に警察が出ているな、相棒よ」

 犯人B:「おうとも。しかも新型らしいのまでいやがったぞ」

 犯人A:「あれが噂の新型なんだろうな。幸いパイロットがあほで助かったけどな」

 犯人B:「全くだよ。いくら銃を持っていても当たらなければ意味はないしな」

 犯人A:「しかしどうする相棒?霞ヶ関とは全然方向が違うぞ」

 犯人B:「仕方がないだろ。警察に追われていたからな、まくためには仕方がなかった」

 犯人A:「それは分かっている。それより今はどこにいるんだ?」

 犯人B:「わからん。こんなところは下調べの際にも調べなかった」

 犯人A:「仕方がない、外の様子を調べるか」

 犯人B:「そうしてくれ」





  そして犯人Aは天井のハッチを開くと外に顔をつきだした。

 高速で突っ走っているためにものすごい風圧が男の顔に押し寄せる。

 すると犯人Aは驚愕したような表情を浮かべた。

 犯人A:「と、止まれ!! 目の前に警察がいる!!」

 犯人B:「な、何だと!?」

 そう叫ぶと犯人Bはあわててブレーキを踏み込んだ。







  なぜ犯人はブレーキをふんだのか。

 それはそう広くはない道にレイバーと、荷台を上げたキャリアが満ちを塞いでいたのだ。

 これでは突っ込もうものならレイバーがいかれてしまい、目的が果たせなくなってしまう。






 犯人A:「く、くそー警察め…今日は妙にしつこいぞ……」

 犯人B:「これ以上げ続けるのは面倒だ。やっちまおうぜ!!」

 犯人A:「同感だ。国家権力をバックに背負った警察の犬どもなんかこの場でやっちまえ!!」

 犯人B:「それじゃあ行くぜ。しっかり捕まっていろよ!!」






 そして犯人は名雪とケロピーに襲いかかってきた!!










あとがき

物語は再び名雪編に戻ってきました。

というわけであうぐぅの出番はなし。

栞もほとんどありませんでしたが。

 

あと一話で第一部は終了の予定。

続きはどうしようかな?




2001/02/21

2004/10/13改訂


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