機動警察Kanon 第011話













  秋子さんに焚きつけられた真琴とあゆは萌えていた、もとい燃えていた。

 なんせ命の源、肉まんとたい焼きを勤務中に堂々と買っても良いと言われたのだ。

 二人はその感動に打ち震え、犯人の接近を今か今かと待ち受けていた。





 そのころ第一小隊は……いまだに犯人を追跡中だった。






  「こらー、そこの犯人止まりなさい!!」

 211号機をぶっちぎったクラブマンを213号機が追いかけてる最中だった。

 『詩子!! 犯人の足を止めるんです!!』

 「分かっているしやっているけど止められないよ」

 213号機パイロット柚木詩子巡査は指揮車担当の里村茜巡査の言葉にそう反論した。

 ちなみに二人は大の親友でもある。

 しかしこの状況ではそんなことは関係なかった。

 犯人は二人の友情などお構いなしでびゅんびゅん飛ばして逃げていく。

 「待てー!! 待ってよー!!」

 しかし鈍足のONEでは犯人に追いつくことは出来ない。

 「繭ちゃん!! キャリアこっちに寄こして!!」

 『みゅー!!』

 詩子さんはあわててキャリア担当の椎名繭巡査を呼びつける。

 そしてキャリアにレイバーを載っけて追いかけようとするがもう犯人のレイバーは遙か彼方。

 『…こうなったら第二小隊に任せるしかありませんね……』

 里村巡査はただそうつぶやくだけであった。









  『真琴ちゃん!! 来たよ!!』

 あゆの声に真琴は素早く反応した。

 Kanonのマニュピュレーターを操作し、右足に収容されている37mmリボルバーカノンを取り出し構えた。

 それを見たあゆは慌てた。

 『真琴ちゃん!! 銃の発砲許可はボクが出すんだからね。勝手に撃っちゃ駄目だよ!!』

 「秋子さんは臨機応変に撃っちゃって構わないって言ってたじゃない!。」

 『でも駄目なんだよ!!』

 「現場にあたっては臨機応変、いちいち許可なんて取ってらんないわよ!!

 そんなことしてたら命がいくつあっても足らないわよ!!」

 『うぐぅー!! で、でも…それじゃあ服務規程違反……』

 「うぐぅは黙っていてよ!! って見えた!!」

 「えっ!?」

 慌ててあゆは指揮車のモニターで222号機のモニターをチェックした。

 すると間違いなく第一小隊を蹴散らしてきたレイバー「クラブマン」が接近しつつあった。







  「いよいよ来たわね、肉まんが……」

 真琴はモニター越しに接近してくるクラブマンの様子を見て舌なめずりした。

 そしてそのまま銃を構えさせると照準を合わせた。

 「まだちょっと遠いか」

 そうつぶやくと真琴は心の中で数え始めた。

 (一つ…二つ…三つ…四つ…五つ。今ね!!)






  Kanonは37mmリボルバーカノンの引き金を引いた。

 するとちょっとしたAFVぐらいならば一撃で破壊できる37mmタングステン徹甲弾がすっ飛んでいく。

 そしてその弾は目標であるクラブマンの右前足に…ではなくそのすぐそばをかすめて飛んでいった。

 そしてはずれた弾は交差点にある信号機を吹き飛ばした。





  「ちっ!! はずれた!!」

 真琴は再び発砲した。

 しかしまた外れである。

 「いい加減に当たりなさいよ!!!」

 そう叫ぶと残り全弾をクラブマンにめがけて発砲した。

 そかしそれらは一発も当たることなくコンビニとたい焼き屋を吹き飛ばした。







  「あぅ〜!!」

 「うぐぅ〜!!」

 目の前の参上に真琴とあゆは思わずムンクをやらかした。

 それほどのショックだったのだ。

 なんせ心待ちにしていた目的が消え飛んでしまったのだから。

 二人がそんな風に廃人になっている間に犯人の乗ったクラブマンはそのまま222号機の脇を通り抜けた。






  二人の周りをどこよりも冷たい冬の風(ちなみに今は春です)が吹き抜けていく。

 そのまま二人はしばらくの間惚けていた。

 しかしやがてあゆが復活した。

 「な、な、な、何をするんだよ真琴ちゃん!! ボ、ボクのたい焼き屋がなくなっちゃったじゃないか!!」

 それを聞いた真琴も猛然と食らいついてきた。

 「うるさいわね!! 真琴の肉まんだって無くなっちゃったのよ!!」







  二人はそのまま秋子さんからの連絡を受けるまで喧嘩をし続け、特車二課の面目を思いっきり

つぶしてくれたのであった。

 

 

 

あとがき

ようやく戦闘シーンまでいきました。

たいした描写は入れてませんけどね。

次は名雪とケロピーが活躍する予定です。







2001/02/19

2004/10/13改訂


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