もしも彼女がアレだったら〜名雪編その3
「……雪、積もってるよ」
「そりゃ、2時間も待っているからな」
雪が積もって真っ白なフリッツヘルメットを被った祐一の言葉に名雪は笑った。
「ごめんね、補給路がずたずたで遅れちゃったんだよ。ところで祐一寒くない?」
さほど厚くはない防寒着しか身にまとっていない祐一の姿に尋ねる名雪。
「ロシアの冬将軍相手に寒くないわけ無いだろうが」
ピッシリとスマートなドイツ国防軍の制服は中に何かを着込むのも難しいのでとてつもなく寒い。
「じゃあこれあげる」
そう言うと湯気の立つキャティーンカップを祐一に差し出す名雪。
「遅れたお詫びだよ。それと再会のお祝い」
「遅れたお詫びが代用コーヒー一杯かよ……」
大豆を原料にしたまずい代用コーヒーを口にし顔をしかめた祐一は歩き出した。
「じゃあ行こうか」
「祐一、どこへ行くの?」
前線とは反対方向に向かおうとする祐一に尋ねる名雪。
「本国へ帰る」
「だ、ダメだよ祐一〜。捕まったら『私は敗北主義者です』って看板ぶら下げられて処刑されちゃうよ」
「俺は寒いのが苦手なんだよ!!」
あとがき
唐突に思いついたので久しぶりに「彼女がアレだったら」シリーズ書いてみました。
ところでこれを名雪編に分類するのはなんだか違う気がてなりません。
2004.09.20
「もしも彼女がアレだったら」TOPへ戻る 読み物部屋へ戻る TOPへ