もしも彼女がアレだったら〜戊辰戦争編

 

 

 

 

時は明治二年(1869)三月、ここ蝦夷地にある五稜郭では作戦会議が開かれていた。

 

 

 

美汐:「新政府軍の軍艦四隻ならびに輸送船四隻が宮古港に入ったそうです」

名雪:「うにゅ〜、その中にはあの甲鉄(*1)も含まれているんだぉ〜」

香里:「……開陽丸(*2)を失ったあたしたちにはつらい相手ね」

美汐:「ええ、こんな酷なことはないでしょう」

祐一:「…こうなったらアポロダージュを仕掛けるしかないな」

一同「「「アポロダージュ!?」」」

祐一:「うむ。アポロダージュというのはだな…(以下略)」

 

 

かくして3月21日、回天・高雄・蟠竜の三艦が函館港を出港した。

 

真琴:「あう〜ぅ、ここどこなのよ〜!?」

 

栞:「えう〜、肝心なときに故障してしまう軍艦なんて嫌いです〜」

 

 

 

そして3月25日、とうとう運命の日がやってきた。

 

香里:「どうやら高雄・蟠竜とははぐれてしまったようね」

美汐:「ええ、どうやら回天一艦で甲鉄を相手にしなくてはいけなくなったようです。

   こんなに酷なことはないでしょう」

香里:「あたしには肝心要の時にいなくなる妹なんていないわ」

美汐:「真琴…裏切りましたね…」

香里:「仕方がないわ、あたしだけでやりましょう」

秋子さん:「了承」

香里:「…………」

美汐:「…………」

二人:「「秋子さん、どこから沸いて出たんですか?」」

秋子さん:「それは秘密です」

 

 

 

 「アポロダージュ!!!」

 

 回天は米国国旗を掲げて甲鉄に接近、すばやく日の丸にかえて砲門を開き甲鉄に接近する。

 

あゆ:「うぐぅ〜、どいてどいて〜!!」

名雪:「どかれちゃ困るよ、あゆちゃん」

あゆ:「うぐぅ、そうだった……」

 

 

回天は甲鉄に接舷した。

 

舞:「 私は官軍を討つものだから」

佐祐理さん:「あはは〜っ、舞の援護はさゆりんにおまかせです♪」

 

かくして甲鉄甲板上で白兵戦が繰り広げられた。

 

 

舞:「……せいっ!!」

かけ声と共に振り下ろされる剣によって官軍兵士は次々と切り伏せられる。

 

佐祐理さん:「あはは〜っ、官軍どもは薩摩に戻って芋でも食べてるのがお似合いですよ〜♪」

そう言って奪ったガトリング砲(*3)で官軍兵士をミンチにする佐祐理さん。

 

だが……

北川:「北川死すとも美坂への愛は死なず…グフゥ」

久瀬:「なぜボクがこんなところで死ななくてはならないんだ…佐祐理さんとの肉欲の日々が……」

斉藤:「や、やられた…って台詞あって嬉しい……」

いくら二人ががんばっても多勢に無勢、その戦力差は如何ともしがたかった。

 

 

香里:「……このままでは全滅よ、撤退するわ」

美汐:「ここまでやって撤退するというのですか? そんな酷なことはないでしょう」

香里:「言葉通りよ。指揮官のあたしが撤退って決めたんだから撤退よ」

秋子さん:「了承です」

 

 

 

かくして宮古港海戦は終焉を迎えたのであった。

 

 

 

おまけ

平八ちゃん(*4):「幕府軍のおなごは肝っ玉がありますの」

 

このときの経緯が元になって帝国陸・海軍に女性兵士が採用されるようになったとかならないとか。

 

 

 

あとがき

「もしも彼女がアレだったら〜第2次大戦編〜」のお返しです。

ちなみに考えついたのはあゆの場合を見てですので是非受け取ってください。

個人的には秋子さんの出番が無理矢理……。

 

 

補足

*1…甲鉄艦ことストーンウォールジャクソン号。艦体全体が装甲に覆われた軍艦。

*2…幕府がオランダに発注、購入した軍艦。旧幕府海軍の旗艦的存在。

+3…当時日本にはガトリング砲が三門あり、これはそのうちの一門。

  アメリカ南北戦争用に開発されたのだが戦争が終わってしまったので日本に流れてきた。

  弾丸の大きさは1インチ(約25mm)ということで当たったら只ではすまない。

*4…日本海海戦時のGF長官東郷平八郎のこと。彼はこの当時16歳だったそうな