もしも彼女がアレだったら

  

名雪編その2

 

 

 時は西暦1902年1月。

青森県駐在の青森第五連隊からある一団が出発しようとしていた。

 

連隊長:「いいかね、大尉。弘前第三十一連隊には絶対に負けるんじゃないぞ!」

大尉:「はっ、了解しました。幸い我が青森第五連隊には彼の地を熟知しているという者がおります!」

連隊長:「それは心強い。一体だれかね?」

大尉:「はっ、水瀬名雪伍長であります。水瀬伍長!! 水瀬伍長はおらんか!?」

連隊長:「出てこんぞ」

大尉:「そ、そんなはずは……。ちょっと捜させます」

 

 

数分後。

軍曹:「水瀬伍長を連れて参りました」

大尉:「どこで何をしていたんだ、水瀬伍長!!」

名雪:「く〜 く〜 く〜」

大尉:「……何をして居るんだ?」

軍曹:「……水瀬伍長は寝ております!!」

大尉:「……起こせ!」

軍曹:「無理であります大尉殿!!!」

大尉:「ならば俺がやる!!!」

 

 

数分経過

大尉:「ゼエ ゼエ ゼエ 」

軍曹:「大丈夫でありますか大尉殿」

大尉:「……なぜこいつはこうまでしても起きないんだ!!!」

軍曹:「水瀬伍長は一日最低16時間、多いときは24時間ぶっ通しで寝ておりますから」

大尉:「こいつに今度の行軍を案内させるのか!!!」

軍曹:「水瀬伍長は八甲田近辺の出身で地理には熟知しております」

大尉:「だからって寝ている奴に案内させられるか!!!」

連隊長:「どうしたのかね、大尉」

大尉:「連隊長殿!!じ、実は……」

連隊長:「何かね?早く言いたまえ」

 

 

連隊長:「何かね!?君はこんな寝ぼすけに210名の命をあずけようと言うのかね!!」

大尉:「おっしゃるとおりです、連隊長殿」

連隊長:「他に案内できる奴はいないのか!?」

大尉:「申し訳有りませんがいません」

連隊長:「……仕方がない!出発を遅らせるから案内人を捜せ!!!」

大尉:「はっ、分かりました!!」

 

 

かくして八甲田山死の彷徨という事件は一人の寝ぼすけによって回避されたのであった。

チャンチャン

 

 

 

あとがき

これのどこが名雪のSS何だろう?

「く〜 く〜 く〜」しか名雪の台詞がない……。

ちなみに私は決して青森第五連隊の亡くなった方々を愚弄する意図は全くないですので苦情は受け付けません。

ちなみにこの県について詳しく知りたい方は

「八甲田山死の彷徨」 新田次郎著 新潮文庫、もしくは映画「八甲田山」を御覧になると良いです。

 

 

2002.03.29

 

 

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