それはとある夏休みの出来事であった。
その日、水瀬家ファミリー+美坂姉妹+さゆ舞コンビに美汐、そして我らの主人公相沢祐一は商店街を歩いていた。
その構成比率は男:女=1: 9。
むちゃくちゃバランスの悪い構成でまるでハーレムだ。
だが商店街の人はまるで気にもとめなかった。
もはやそれはありふれた日常の一コマ、慣れてしまえばなんてことはないわけだ。
しかし完全に無視しない人もいた。
その人たちは十人もの集団に目をとめると大きな声で呼びかけながらポケットティシュを手渡した。
「献血にご協力くださ〜い!!!」
幸いと言うべきか何というか。
その場に居合わせた人間の中に「献血なんか偽善者がやるものだ。」という性格のねじれた者は居なかったので一同、そろって血液センターへと入っていった。
まずセンターに入った10人を待ち受けていたのは受付でのアンケートであった。
そしてここでこの10人のすさまじい経歴が明らかになった。
すなわち10人中5人が献血できないということが明らかになったのだ!!!
ケース1.水瀬秋子の場合
受付:「過去に輸血など受けられたケースはございますか?」
秋子さん:「交通事故で意識不明になって入院していたことがありますけど。」
受付:「では残念ながら受け付けられないんです。申し訳ありません。」
秋子さん:「あらあら、それは残念ね。」
ケース2.月宮あゆの場合
受付:「上に同じ」
あゆ:「うぐぅ、ボク木から落ちて七年間意識不明だったんだよ。」
受付:「・・・ではやはり受け付けられません(っていうかそんなやつがここに来るなよ!)。」
あゆ:「うぐぅ、残念だよ。」
ケース3.倉田佐祐理の場合
受付:「上に同じ」
佐由理さん:「あははは〜、佐祐理も大怪我して入院していたんですよ〜。」
受付:「・・・ではやはり受け付けられません(こいつらはなんでこんな経験ばかりなんだ!?)。」
佐由理さん:「あははは〜、残念です。」
ケース4.美坂栞の場合
受付:「ここ最近、大病など患ったことはありますか?」
栞:「誕生日まで生きていられない、って宣告されたことがありましたね。治りましたけど。」
受付:「・・・ではやはりお断りします。(こいつらはいったい!?)」」
栞:「ちょっとだけ残念ですね。」
ケース5.沢渡真琴の場合
美汐:「真琴は献血、止めておきましょうね。」
真琴:「あうっ〜、一体何でなのよ〜。」
美汐:「それは真琴が妖狐だったからです。」
真琴:「あうっ〜。」
美汐:「もしも血液成分が人間と異なっていてそれが医者の手で明らかになったら・・・・、どうなるか分かりますね?」
真琴:「あうっ〜、人体実験や見せ物にされるのはイヤ〜。」
美汐:「ですから止めておきましょうね。」
真琴:「うん。分かった、美汐。」
というわけで祐一・名雪・舞・香里・美汐の5人が献血を受けることになった。
って祐一はあることに気付き、舞に言った。
「舞、お前切腹したんじゃなかったのか?」
すると舞はコクと頷いた。
「・・・でも大丈夫、輸血はしていないから。」
「まあ確かにそうだけどでもいいのか?」
「・・・祐一、くどい。」
そう言って舞がチョップしてきたのでその話は立ち消えとなった。
それにしてもちび舞の力ってどうなっているんだ!?
こうして5人は1400mLの献血(祐一・舞は400mL、名雪・香里・美汐は200mL)をして献血ルームを出た。
すると待合室では残った5人がジュースやらお菓子を食べながら待っていた。
そしてその後は血液センターでもらった映画のチケットを使って(5人分しかもらえなかったが)映画を楽しみ、そしてその一日を満喫したのであった。
完
おまけ
名雪:「うぅ〜、私の出番すごく少なかったよ〜。」
香里:「仕方がないわよ。私もあんたもきわめて健康、大怪我だってしていないんだし。」
名雪:「でも美汐ちゃんは結構あったよ。」
香里:「真琴ちゃんとの絡みがあったから。それにしても私たちって結構すごい設定を持っているわよね。」
名雪:「今まで気にしなかったけど今回はつくづくそう思ったよ〜。」
あとがき
二ヶ月ぐらい前に献血したときに思いついたネタ。
って血を抜かれながら俺は何を考えているんだ!?
それにしても落ちが弱い、というか完全に出来ない五人組を書きたかっただけだし。
2001.08.10