七年間の真実

 

 

 

 「それにしてもよくもまあ目覚めて一ヶ月で退院できたよな。」

相沢祐一の言葉に月宮あゆは無い胸を張って威張った。

「えっへん!きちんと毎日リハビリして過ごしたからね。」

「だけど七年間も寝たきりだったわけだろ。

関節とか固まって思うように動かせないからリハビリには無茶苦茶かかる、って聞いたぜ。」

「うぐぅ。何でかは分からないけれどとにかくボクは平気だったんだよ。」

「ふ〜ん。これが奇跡ってやつかな?」

「きっとそうだよ。こうして祐一くんと一緒にいられる。うん、本当に奇跡だよね。」

あゆはそう言うとニッコリ笑って祐一の腕にしがみついた。

 

 「おっ!相変わらず胸無いな。」

「うぐぅ・・・。祐一くん、相変わらず意地悪だよ・・・」

「悪い悪い。お詫びと退院祝いに何でも奢ってやるぞ。」

「本当!?」

「ああ本当だ。たい焼き百匹だって買ってやるぞ。食べきらないと怒るけどな。」

「うぐぅ・・・。わかった、ちゃんと食べきれる分だけ頼むよ。だからね♪」

「よっしゃ!それじゃあ行くか。」

祐一とあゆは腕を組んだまま商店街へと繰り出していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのころあゆが入院していた病院では・・・・。

 

看護婦A:「それにしても月宮さんが退院してくれてほっとしたわよね。」

看護婦B:「本当に。いつもはらはらしていたのよ、いつか事故が起こるんじゃないかって。」

看護婦C:「何で意識不明で眠り続けていたのにあんなに寝相が悪かったのかしらね。」

看護婦A:「本当よ。しょっちゅう点滴の針を外しちゃってベッドやシーツが血まみれになって。

      ベッドから落下したのなんて100回ではきかないわよ。」

看護婦B:「でもだからこそ一ヶ月で退院できたんじゃないの。」

看護婦C:「それはそうなんだけどね。

      寝たきり状態のままリハビリしていたなんて月宮さんぐらいじゃないのかしら?」

看護婦A:「それもそうね。そういえば先生、新しいリハビリだって学会で発表するみたいよ。」

看護婦B:「・・・正気かしら?一般人には絶対出来ないと思うけど。」

看護婦C:「まあ私たちには関係ないわよ。それより次の仕事が待っているわよ。」

 

 そして看護婦たちは仕事へと戻っていった。

ちなみにこのことをあゆはまだ知らないし祐一もまだ知らない。

もっとも翌日の朝には判明していたが(笑)。

 

 

 

あとがき

 正味20分で書き上げたあゆSSはいかがだったでしょうか?

ちなみにこのネタは床屋で待っているときに考えつきました。

どうしてこんなネタが浮かんだのか自分でも定かではありませんが(笑)。

 

 ちなみに私にも入院経験がありまして約二週間、ギブスで足を固めていまして、それを外したとき、立つことも出来ませんでした。

ベッドから降りようとしたらそのままへたへたと床に座り込んでしまう体たらく。

きっとあゆはもっと大変だったのでしょうね?

 

 

2001.06.18

 

 

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