外国人排斥法、その成立の真実?

 


始めに
今回のこのSSですがちょこっとHな描写が存在します。よって念のためR指定(15禁)とさせていただきます。
具体的には書いておらず、ごまかしてありますがそう言った描写がお嫌いな方はやめておいてください。
またこんなことを書いてあるからと期待して読まれ、そしてがっかりしても当方は一切関知しませんからそのおつもりで。











 

 

 「先生、来てくださったんですね♪」

一人の男を少女は笑顔で出迎えた。

少女の名前はセーラ・ピクシス。

ここドルファンでは王家をもしのぐと言われているピクシス家の分家の令嬢である。

生まれつき病弱で体が弱い彼女の世界はきわめて狭く、屋敷の中がその全てと言っても過言ではなかった。

しかしここ数ヶ月、彼女は変わりつつあった。

 

 「やあセーラ、会いたかったよ。」

セーラの部屋に入るなりそう言ったのは東洋人の男である。

彼は傭兵であり、かつセーラの家庭教師を務めているという変わった男なのであった。

そして彼女セーラ・ピクシスにとってはなくてはならない存在なのであった。

 

 「先生・・・・」

「セーラ・・・」

二人はお互いをそう呼び合うと抱きしめあい、激しく唇をむさぼりあった。

そして男が加える愛撫にセーラは激しく反応する。

「あっ・・・くう・・・あ・・・あ・・・。」

男はセーラの服をゆるめさせ、その白い肌を露出させていく。

やがてセーラは一糸まとわぬ産まれたままの姿になった。

男は部屋の鍵を閉めるとそのままセーラを抱きかかえ、ベッドに横たえさせるとその体へと覆い被さった。

 

 

 

 二人が寝室で熱い時間を過ごしている頃。

普段ならば滅多に人が訪れないピクシス家分家屋敷を一人の老人が訪れた。

彼の名前はアナベル・ピクシス卿。

ドルファン一の権力者とうたわれる老練な政治家である。

またセーラの祖父でもあった。

 

 「これはお館さま、ようこそおいでなさいました。」

ピクシス家分家の執事にて、ピクシス家諜報部隊を一手に担っているグスタフ・ベナンダンディは主人を

出迎えた。

その出迎えた主人は両手いっぱいの花束を抱えていた。

「おう、グスタフか。セーラは元気にしているか。

ここしばらく調子が良いと聞いてな、居ても発ってもいられなくて仕事を抜け出してきてしまったのだよ。

ところでセーラはこの花束、気に入ってくれるかの?」

「ええ、まあ・・・・」

グスタフは口を濁しながら言った。

(お館さまもなんてタイミングで来るんだ。セーラ様のことが知れたら大変だ・・・。)

今、間違いなくセーラの寝室で行われているであろう痴態をグスタフは頭に思い浮かべながらそう思った。

 

 「ところでセーラはいまどこにいる?早くその顔を見たいんでな。」

そう言うとピクシス卿はグングン突き進み、セーラの部屋を目指す。

あわててグスタフは自らの主人を止めた。

「お待ちください、お館さま!!セーラ様はただいま家庭教師の方と勉強中でございます。

お邪魔するわけには・・・。」

それを聞いたピクシス卿は立ち止まった。

「家庭教師と勉強中か・・・、しかたがないな。」

それを聞いたグスタフはほっと胸をなで下ろした。

どうやら最悪の事態は阻止できたらしい・・・そう思ったからだ。

しかし物事はそう単純にはいかなかった。

「それなら日頃セーラがお世話になっている先生にご挨拶をしなくてはいけないな。」

そういうと再び歩き始める。

「お、お館さまー!!!」

グスタフは思わず引き留めてしまった。

「さっきから何をあわてて居るんだグスタフ。」

ピクシス卿は怪訝な顔を浮かべ、グスタフを問いただした。

「それは・・・」

「まるでセーラが家庭教師と乳繰りあっているようではないか。」

「なぜ分かったんです!!!」

その時時間が止まった・・・。

 

 

 「・・・本当にそうなのか・・・・」

笑顔でありながら、しかし怒気を押さえた声にグスタフは震え上がった。

かってシベリアの特殊部隊スペッツナズに所属していた猛者ががである。

「それはですね・・・えーと・・・・。」

どうやら冗談で言ったらしかったがグスタフが思いっきり反応してしまったために最悪の事態を迎えてしまった

ようであった。

 

 

 「お館さま!!お待ちください!!!」

グスタフはそう叫ぶと主人であるグスタフ卿を羽交い締めにする。

「何をするグスタフ!!離せ!!離すんだ!!!」

二人の騒々しいやりとりに他の使用人たちも次々と顔を見せるがすぐに引っ込んでしまう。

だれだってとばっちりは受けたくないに決まっている。

というわけで孤立無援のグスタフは主人であるピクシス卿に引きずられて結局セーラの部屋の前まで来て

しまったのであった。

 

 

 「いい加減に離せグスタフ!!貴様は主人に刃向かうつもりか!!!」

「しかし・・・。」

セーラの部屋の前でも二人はもみ合っていた。

その時、室内から快楽に耽るセーラの声が聞こえてきた。

 

 「くぅん、ふはぁ、ん、ん、はぁふぅ、あんんっ……」

「はぁはぁはぁ。」

「くぅっ…ひぅっ…!」

「ああっ!はっ…はぁぁ…!」

「ふぁあうぅっっ! せんせいっ!」

 

 思わず二人は顔を見合わせた。

しかしすぐにピクシス卿は我に返ると鍵のかかった扉を開けようとした。

「くそっ!!開かん!!開かないぞ!!!」

しかしいくらドアノブをがちゃがちゃ回しても扉は開かなかった。

「グスタフ!!鍵を出せー!!ここを早く開けるんだ!!!」

しかしグスタフは首を縦に振ろうとは決してしなかった。

ただ沈痛な面もちで主人に向かってこう言ったのであった。

「お館さま・・・セーラ様に嫌われてしまいますぞ。」

と。

 

 その言葉を聞いたアナベル・ピクシスは一瞬惚けたような表情を浮かべた。

しかしすぐに我に返るとものすごい形相でグスタフに食ってかかった。

「あのセーラがワシを嫌うだと・・・、ありえん!!そんなことは決して無いぞ!!!」

「・・・お館さま、『人の恋路をじゃまする奴は馬に蹴られて死んじまえ』ということわざをご存じでしょうか・・・。」

 

 ガァ〜ン〜

そんな言葉が頭の後ろに出現したような表情を浮かべたピクシス卿。

一瞬、魂がどこかへ消え去ってしまったようではあったがすぐに我に返り、そして叫んだ。

「ワシよりも家庭教師の方をセーラは選ぶというのか!!!」

「・・・セーラ様の具合が良くなられたのは・・・娘から女になられたからでして・・・。」

 

 ガァ〜ン〜

再びショックを受けたピクシス卿、またすぐに復活して叫んだ。

「何がセーラを回復させたというのだ!!!」

それに対してグスタフは言いにくいことを述べるかのように申し訳なさそうに言った。

「やはり恋すると人は変わると申しますし・・好きな人のために生きる張り合いが出来たのではないかと・・・・。

それとやはり適度な運動が・・・・。」

「適度な運動とはベッドでやるものなのか!!!!!!!」

激怒したアナベル・ピクシス。

彼はそのまま憤激のあまり気を失ってしまったのであった。

 

 

 

 「うーんー。」

気を失ってから数時間後。

ようやくとアナベル・ピクシスは目を覚ました。

「ここは・・・ってそうだ!!家庭教師とやらはどこだ!!!」

また気絶しそうな勢いでピクシス卿は飛び起きた。

そして・・・

「い、いかん・・・立ちくらみだ・・・。」

「お館さま、落ち着いてください。」

そこへ気付け薬としてブランデーの入ったグラスを持ったグスタフが現れた。

「グスタフ!!セーラに手を出した野郎はどうした!!ワシがこの手で殺してやる!!!」

それに対してグスタフはため息をつきながら答えた。

「お館さま、そんなことをしたらセーラ様に嫌われてしまいますぞ。」

「うるさい!!ワシの可愛いセーラに手を出すなど許し難い大罪だ!!!」

「いい加減、孫離れしてくだされお館さま。さあさあゆっくり頭を冷やしてくだされ。」

そう言うとグスタフはアナベル・ピクシスを寒風吹き付ける屋敷の外へと追い出した。

 

 「それではお館さま、お気をつけて。」

そうグスタフに見送られてピクシス卿は自分の屋敷へと帰り始めた。

しかしその寒い気候に反して、彼の憤激は冷えるどころかどんどん熱くなっていった。

(おのれおのれおのれ。ワシの可愛い孫を外国人の分際で傷物にしおって・・・・。

絶対に許さん。一体どうしてくれよう・・・・。)

ますます熱くなる頭の中でピクシス卿は良い考えを思いついた。

(そうだ!外国人をドルファンから追い出してしまえばいい。名目などいくらでもでっち上げられるからな・・・。)

これならばセーラに嫌われずに二人を別れさせれるはず。

自分の頭の良さに酔いながらアナベル・ピクシスは夜道を歩き続けた。

 

 

 

 そして王室会議の席上、ピクシス卿は本当に外国人排斥法案を提出した。

そしてその案は本当に通ってしまった。

なんせ外国人の多量流入によってドルファンの失業率・犯罪発生率は極端に跳ね上がっていた。

そのため国民の大半がこれに賛同。

法案は驚くべき早さで可決、即座に実施の運びとなりドルファン歴29年3月15日、

帰化した人間を除き、ドルファン国内にいた全ての外国人は国外追放となった。

 

  「ふふふんふんふん〜♪ふふふふふふん〜♪」

アナベル・ピクシスはご機嫌だった。

可愛い孫セーラ・ピクシスの貞操を奪った(本人はそう思っている)東洋人傭兵を国外へ追い出したのだ。

本当ならば殺してやりたいがそんなことをすれば騙されている(くどいようですが本人の考えです)セーラは

自分を憎んでしまう。

それではあまりに悲しすぎるというものだし何より意味がない。

だが外国人排斥法のおかげで自分にが傷つくことなく東洋人傭兵を追い出すことに成功した。

もはや東洋人傭兵はドルファンには居ない。

しかも二度とドルファンに入り込むことは出来ないのだ。

 そんなわけで浮かれてスキップをしつつ、アナベル・ピクシスは分家屋敷へとやってきた。

可愛い孫の顔をみるためである。

ところがそんな彼にとんでもないショックが襲った。

 

 

 「なに!?セーラがドルファンを出た!?」

グスタフの言葉にアナベル・ピクシスは衝撃を受けた。

可愛い孫が自分を見捨てて国を出たというのだ。

「そ、そんな馬鹿な・・・・、なぜセーラはこの国を・・・・。」

そんなピクシス卿を哀れむような目で見つめたグスタフは一通の手紙を手渡した。

「これはセーラ様からのお手紙でございます・・・。」

 

 あわててその手紙を受け取ったアナベル・ピクシス。

彼はふるえる手つきで封筒を開くと中の手紙を取り出し、そして目を通した。

そこにはこう書かれていた。

 

 『私は彼と一緒に生きていきます。

なぜならば彼は私にとって、いえお腹の子供にとっても大切な人だから・・・。

だから私はこの国を捨てます。ピクシスという家名も・・・・。

ですから私を捜さないでください。これが私の選んだ道なのですから。』

 

 そこまで読んだところでアナベル・ピクシスはへたり込んでしまった。

自分で良かれと思ってやったことが裏目に出るとは・・・・。

こんなことは予想だにしていなかったのだ。

だがまだ手紙には続きがある。

彼は残りの部分に目を通した。

 

 『PS。おじいさまなんか大嫌い。顔も見たくないわ!!』

 

 

 

これ以降、ドルファンの老練な政治家アナベル・ピクシスは決して表舞台には姿を見せなかったという・・・。

 

 

 

あとがき

なんとなく考えついて書いてみたんですが・・・自分的には一番好きだわ、このSS。

 

あとがきその2

この話の中にはちょこっとHな部分があって誠に申し訳ありません。

つい調子に乗って書いてしまいました。

洒落でR指定にしておいたけどけどこれくらいなら本来、18禁とかR指定にしなくても大丈夫ですよね?

まずかったらメールなり掲示板に書き込んでください。

そのように分類しますから。

それにしてもセーラの妊娠・・・怒られそうだな・・・。

 

 

 

平成13年2月6日


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