「よう、ライズ。」
俺は校門からでてきたライズに声をかけた。
「あら、あなたなのね。何の用かしら?」
そこで俺はきちんとラッピングされた包みを差し出した。
「これは・・・何かしら?」
ライズの無反応に俺は内心がっかりしたものの気を取り直して言った。
「今日はライズの誕生日なんだろ。」
「そういえばそうだったわね。忘れていたわ。それじゃあこれはプレゼントなの?」
「そうとも。受け取ってくれ。」
「まあわざわざ受け取り拒否する必要はないもの。ありがとうと言っておくわね。」
そう言うとライズはプレゼントを受け取ってくれた。
「開けてもかまわないかしら?」
ライズがそう聞いたので俺は頷いた。
「かまわない。もうそれは君の物なんだからね。」
「それじゃあ・・・」
ライズはごそごそとプレゼントの包装紙をきれいに開けた。
するとそこからは一つの箱が出てきた。
「・・・ずいぶん厳重なのね。」
ライズはそういうと箱を開けた。
するとそこからは一本の銀のナイフが出てきた。
「これは銀のナイフね。ねえ、これは純銀製なの?」
珍しくライズが反応してきたので俺は嬉しくなった。
「ああ、そうだ。気に入ってくれたかい?」
「ええ、とっても。仕事に使うのにとっても役に立つわ。」
「仕事!?」
ライズの口から発せられた意外な言葉に俺は思わず尋ねた。
「仕事って・・・いったい何?」
俺の一言をきいたライズは珍しく笑った。
とはいえ微笑むようなものではなくほくそ笑むような感じではあったが。
「知りたい?」
俺は悩んだ。
知るととんでもないこと巻き込まれるのではないか、そう思ったのだ。
しかし好奇心には勝てなかった。
気がつくと俺はライズの後に続いて行った・・・。
俺がライズに連れられてやってきたのはマリーゴールドの片隅にある古びた屋敷であった。
その屋敷につくとライスは鞄の中から何本もの銀製のナイフを取り出し身につけた。
そして首に十字架をかけ、腰には聖水の入ったガラス瓶をぶら下げた。
「ライズ、君は一体・・・・。」
俺の問いかけには一切答えずに屋敷に足を踏み入れた。
すると門のところで待機していた気の弱そうな中年親父がライズに声をかけた。
「先生、うちの屋敷をお願いします。これは前金ですが・・・。」
そしてライズに金貨がたっぷり詰まっているであろう袋を手渡した。
その中身を確認したライズはうなずき、そして言った。
「・・・残りはこの件が終わってから払い込んで貰うわ。後は任せておいて。」
それを聞いた中年親父はペコペコ頭を下げつつも、素早くその場を走り去った。
「・・・ライズ、君の仕事って一体?」
ようやく俺の言葉に反応したライズは振り返り、そして言った。
「私は魔を狩るもの。」
「・・・嘘だろ?」
「いいえ、嘘ではないわ。まあ本業ではないけどね、まあアルバイトみたいなものよ。」
呆然と立ちつくす俺を後目にライズは屋敷の中へと入っていった。
そしてそれからしばらくの間、派手な音が鳴り響いていた。
しかしやがてその音も止み、そして何でもないような顔をしたライズが門から出てきた。そして俺にちらっと
一瞥すると何でもないような顔をして去っていった。
あとにはただ呆然とした俺が残されるだけだった・・・。
あとがき
このSSは構想1分、制作1時間30分で出来上がった物です。
実は今日、買い出しの最中に「そういえばライズの誕生日ってそろそろだよな。」と思いまして。
家に帰って攻略本に目をやったら今日ではありませんか。
その場で適当にアイデアを練り始めたのです。
きっかけはこうでした。
ライズの誕生日→革手袋・純銀のナイフ・版画集→なんでライズは純銀のナイフなんか喜ぶんだろう→銀の武器→魔物退治→魔を狩るもの。
というわけでこんな話になったのでした。なんかKanonの川澄舞みたいになっちゃったけどね。
平成13年1月28日 ライズの誕生日に