夕べの止まり木  2010年9月21日号 原稿

         田舎の喫茶店 

                    和田山麻美

 今年の夏の『喫茶ぽけっと』は、レンタカーでの観光の
お客様が多い年でした。地図を片手にご飯を食べながら、
道を尋ねられ、他にお客様がいない時は、ここぞとばかり
に観光案内をし、今顔を合わせたばかりのはずなのに、ず
いぶん前から知り合いのように話が弾みます。

 定年退職をし、御夫婦で旅をしている方と短い時間にい
ろんな話をしました。キャンピングカーを買い、時間をか
けて道内を回り、初日に、初めて縁あって『喫茶ぽけっと』
に来てくれました。

 そのお客様が「都会ではこんな温かい接客はないですよ。
寄ってよかった。観光とは人も含めてなんですね。」思い
がけないお客様の言葉に、田舎だからこそ出来る癒しの空
間、それが私の役割なのかなと思うことができました。


 若い頃、―田舎くさい―と言う言葉に抵抗がありました。
でも今では、それが逆に、心のこもった接客とともに、綺
麗な緑溢れる日常の景色や澄んだ空気、美味しいお料理、
お客さんどうしのつながり、すべて含めて田舎くさい北海
道の道東、特に大きな観光施設のない標茶の街に来てよか
ったと思ってもらえたら素敵なことです。


 何もない街ですと嘆いていないで、何もないからこそ、の
んびりと、ゆったりと、都会の疲れを癒すことができ、「ま
た寄るね。」と一言残してもらえるような街であってほしいと
思います。