夕べの止まり木 2016年3月3日号
 

            おひなさまとちらしずし

    「おばぁちゃん、おひなさまの日には御馳走作ってね」。学校に行く途中、
祖母の家に顔をだし注文をした幼い頃の思い出が蘇えります。 

標茶の街で山崎商店を営んでいた祖母は、いつも忙しく
働いていて、近所では評判のお料理上手な人でした。物の
ない時代ほとんどのものを手づくりしました。おばぁちゃんの作る料理は、
食べる人の心までも温かくするものだったように思います。学校で辛いこと
があっても、転んで少しすりむいても、美味しいご飯を食べながら、美味し
いものの話をしたら、ぺろっと忘れるくらいご飯には魅力があったような気
がします。

今と違いすべて手づくりしなければ食事を用意できない時代では、得手不
得手こそあれ当たり前のことでしたし、調子の悪い時は、何を作って食べた
ら身体に良いのかなど、いろいろ考えながら食事を用意していました 

いつも春間近のこの時期になると感じさせられることがあります。三月三日
の桃の節句の前には、いつも決まって、桜餅とピンクの桜でんぶが載ったち
らし寿司を作っていました。ピンクの桜デンプも鱈を蒸して味付けした手づ
くりのもの。 ほんのり甘くて美味しい手づくりのものでした。

私の食べる人のために手づくりする姿勢は、小さいころからの食生活で身
につけられたものなのかもしれません。できることならば、もう一度おばぁ
ちゃんが作ってくれた桃の節句のちらし寿司が食べたい。