夕べの止まり木2015年10月15日号
 

                 かなえたかった夢?

 若いころはいろいろな国に行き、食文化の違いを実際に舌で感じたいと夢を持っていました。
でも、22歳のとき、喫茶店を営むようになり、その夢もかなわぬまま、今まで、ただ忙しい
まま生きてきてしまったと、たまに感じることがあります。

以前、この『夕べの止まり木』に書かせていただいたことがあるのですが、お店が小さな田
舎町の国道ぞいに位置しているためか、時には世界中をいろいろな趣で旅しているお客さまと
出会うことがあります。
今年も旅をしながら、その土地と人との関わりをスケッチと文字にしたため、テントと寝袋を
背負い、自転車で道内を回っている青年と出会いました。
彼の豊かな感性に接するうちに、私の知らない世界で一生懸命自分を磨くために生きていく人
たちがたくさん居ることをあらためて想い知らされ、またひとつ大切な人生を自分のものとし
て手に入れたような気がしました。
また、あらためて自分が抱いていた夢を思い返してしまったことも事実ですが。

夏に自転車で東京から来た若者に「なぜ、この土地の人はいつも声をかけてくれるのだろう」
とうれしそうに問いかけられました。
この土地ではあたりまえの人との交わりが都会に住んでいる人からは、ある種のカルチャーシ
ョックなのかもしれません。
私たちが若いころ抱いていた夢を今まさに実現している方々とこうして出会うことで、少しで
もその喜びを共有できたらと、私たちは旅人との絆をもとめているのかもしれません。

私の喫茶店が、その絆を育み、夢を持つ喜びを少しでも共有できる場として提供できたらとい
つも思うのです。自分の若いころの夢をいつまでも大事にしたいと思うから。