夕べの止まり木 2013年12月27日号

お正月の思い出

 「このたこやわらかくて美味しいよ」。私がまだ十代のころ、父親の実家
『山崎ストアー』では毎年暮れの時期になると、お正月用の魚、お餅などの
食材や、〆飾りなどを買求めるお客さんであふれんばかりでした。私はこの
時季になるといつもお店を手伝いながら、その活気に商売の楽しさを感じて
いたものでした。当時、お正月用のものを売る特設スペースはお店の外にな
り、防寒衣に身を包み、暖房器具にしがみつき、なによりも元気な声でシバ
レをふりはらい、売り場にはお客さんと売り子の笑顔があふれていました。

 ひと昔前までお正月にならないと食べられないものと言うものがあったよ
うな気がします。数の子、大きなたこ、つきたてのお餅など。今では一年中
パッキングされて手に入るようになり、しかも元旦から買い物ができる。年
の瀬から元日へといった、新年を迎える意気込みとか気構えなどが薄らいで
きたように思います。

 『山崎ストアー』の惣菜コーナーでは、うま煮や黒豆、なます、くりきん
とん、昆布巻きといった正月メニューがところせましと並び、その横には定
番のおからやスパゲッティサラダも。昔の商店街の姿を懐かしいと感じるお
得意さまも多いはずです。


 昔のことを思い出しながら嬉しくなるのは年をとった証拠だと嘆くことは
ありません。健康に年を重ねて、思い出を懐かしいと話せるお客さまがいる
ことこそが幸せの証拠だと思うのです。

 コーヒーを飲みながら、輝かしい昔の思い出に浸ってみませんか?きっと
少しだけ若返ると思いますよ。