夕べの止まり木 2009年2月22日号 原稿 
           SLの来る町標茶

                  和田山麻美

 純白の雪原を真っ黒い煙を吐いて力強く進む蒸気機関車に心を
奪われたのは、父が脳梗塞を患い、釧路の病院に向かう道でした。
 喫茶店を道路の拡幅工事のため建てかえ、子供も小さく、不安
な日々の中で、SLに出会い、この力強さや真っ黒い煙を写真に
撮ろうと思ったのがきっかけでした。

 日曜日のお休みの日、朝早く起きて、家事を済ませ、釧路湿原
へと車を走らせ、車の中はお気に入りのCDをかけ、時には口ず
さみ、自分だけの大切な時間、どんなときにも幸せ探しをしてい
ました。
 写真は、今まで撮ったことがなく、家にあったカメラを持って、
真っ黒い煙が上がる所は湿原だと聞き、割りと臆病な私が、しか
も一人で向うなんて考えてもみませんでしたが、十年目の今もま
だ、お気に入りの一枚が撮れなくて通っています。
 
 冬の湿原号一一七号車は、標茶の桜保育園に隣接している公園
で保存会の方々の手厚い管理の元保存された為、今回選ばれて走
ることが出来ました。
 新しいものが重宝される時代だからこそ、古き良き時代のもの
も大切な思い出として甦らせる事も重要なことなのかもしれませ
ん。

標茶は何もない所だけれど、水は美味しいし、町のあちらこちら
に温泉があり癒される街です。星は綺麗だし、何と言っても心が
温かい人が大勢います。

 ただ、今心配なのは、私達が年老いてからも、標茶の町立病院
が存続しつづけているかどうかです。町民が必要としている限り
存続のため、何ができるかを考え行動しなければと考えていると
ころです。