#番外07 地層は地質屋さんのごちそうだ! ご飯よりも地層の観察! 【New】
# Extra 07: Geologists may consider strata, rocks, minerals, and fossils as the most delicious meal which the Earth presents for them  
 

【写真】グランドキャニオンのリムトレイルにある "Trail of Time"  入り口案内標識(左)と岩石の展示例(右)

まず始めにアメリカ合衆国アリゾナ州のグランドキャニオン国立公園の写真を紹介します。

左の写真は、サウスリム・トレイルにある"Trail of Time"(時の流れを感じる小径;私の翻訳)の入り口にあるシンボリックな岩石製の看板。岩石の色使いと配列はグランドキャニオンの地質構造 geological structureが反映されていて、とてもすばらしいですね。
具体的にこのサインの構造を説明いたしますと、@深い谷底、最下部は峡谷 A谷底を構成する火成岩(黒緑色の岩石) Bその上に乗る傾斜した古期地層群(カラフルな岩石の積層) Cさらに不整合で乗る水平な新期地層群(カラフルな岩石の積層) D両地層群の傾斜不整合 E水平な地層群に見られる階段状の地形 F最上部は平坦な地形(盾状地)が表現されています。

一方、右の写真は同トレイルにおける岩石・化石の屋外展示の例です。この岩石は約7億5000万年前の石灰岩です。下から上に向かって炎のように伸びる白い構造物は化石もしくは堆積構造ではないでしょうか。

このようにサウスリム・トレイルに沿って谷側には、共通化した展示台の上に実物標本が多数展示されています。地層名、岩石名、年代等が彫り込まれています。実際に谷に降りないと見られない岩石や化石の実物が簡単に見て触れるのは大変ありがたいものです。 地層名や岩石名と、年代(絶対年代)の表示だけで特に細かい説明は添付されていませんが、これもご地層(=ご馳走);(後述)の一例です。このような説明板付きの土台の上に乗った実物展示は私にとって、いや、たぶん地層好きの人々にとってもこの上ないご馳走ですね。 とは言っても、なめたりかじったりは絶対しません(笑;でも、ハグすることはあるかも・・・)

ヤバパイ・ポイントでの日の出鑑賞後のウオーキング途中、2017年10月16日午前6時50分頃撮影。

Top photos: Grand Canyon National Park, Arizona, U.S.A.
Photo above left: A symbolic rock-sign of the entrance of "Trail of Time" represents the geological structure and rocks of the Canyon. The usage of rock's colour on this wall is very excellent, I think.

Photo above right: An example of Open-air exhibits about the rocks and fossils formed the wall of the Canyon.
These exhibits are very useful, interesting, and significant for peopele who are not able to walk down the valley or not to raft in the valley in order to understand corretly the geology of the Canyon. And, visitors may be able to have a kind of geological time travel from Pre-Cambrian to Triassic only in a short walk between Verkamp's Visitor Center and Yavapai Point along the South Rim Trail.
These photos were taken in the early morning after my appreciation of the sunrise at Yavapai Point on October 16, 2017.



 さて、ここからが本題です。
地質屋さん はご飯よりも地層や岩石・鉱物・化石が大好きです。言いかえれば、地層などは地質屋さんたちの大好物です。
そのせいか、野外で地層等を観察しているとご飯を食べること(お腹が空いていること)を忘れてしまいます。 地層を見ていると胸が一杯・お腹も一杯になってしまうのですね。(これらは、職業病 an occupational disorder の症状の一つと言えましょう)。 したがって、地層等は地質屋さんの「ご馳走」になり得ます(∵「ご地層」=「ご馳走」)。または、飯の種です。

また、時には、美しい岩石や地層の標本をみていると、無性に何かの食べ物お菓子 、さらにはご馳走 a good fare に例えたくなってしまうのは私だけではないでしょう。

そこで、私が採集し観察した標本の中で、ケーキやお菓子等にみえる地層や岩石のサンプルを紹介したいと思います。
ただし、一部には無理やり当てはめている感があるかもしれません。

(注)地質屋さん、ないし地質屋 とは?
 地質学や古生物学等に関して大学・大学院等において学んだ後に、地質・古生物・岩石・鉱物等を個別対象として専門的に調査・研究を行っている人々のことで、大学等の教員や研究者、国や地方公共団体の専門官、博物館の学芸員、民間地質コンサルタント、小中高校の理系(地学系)教員を指します。
または、学習歴や学校歴を問わず同様に個人レベルでフィールドを自主的に歩き(もちろんグループでも)、地質・古生物の道を究めようという熱意のある人のこと。
  (注:あくまでも個人的な分類・定義です。)

 この流れで、「ジオロ爺屋」(ジオロジーヤ;geology-ya)という第2のペンネームも思いつきました。
「地質屋」という呼び名が現にあること、私が高齢になったこと(爺や)と、地質学 geology;ジオロジーからの発想です。
また、年配の地質屋・ジオロジスト a senior geologist を指す言葉と言っても良いかもしれません。
このページでは、以下この第2のペンネームを使用することにします。



#番外07-01 「京ダンゴ石」・京都府京丹後市
  "Kyodango-ishi" or "Kyodango-stone" from Micocene strata, Kyotango City, Kyoto Prefecture


まず、手始めにご馳走のひとつとして「京ダンゴ石」を紹介しましょう。
 
【石の外見や内部構造】
  フィールドにおける初見では、1〜2mmの砂や2〜5mmの小石が引っ付いているので、東京名物のお菓子「雷おこし」 に似ています(図1)。
 
  しばらく、地質屋さんの習性について紹介します。(あくまでも、私の知る範囲内であり、個人的な捉え方です。)

その存在と外見が気になり出すと、私たち地質屋は次に内部(中味)を知りたくなります。つまり、ハンマーで石を割って肉眼ないしルーペで内部観察 をします(地質屋の習性・その1)。
これは、和菓子のまんじゅうを食べる際に中味を確認するのに似た行為と言えますが、現地でできるだけ情報をつかみ、また、その後の野外調査に生かすためです。

時間の制約、テクニックや道具の不足により割り方が不十分になることも多く、さらに野外観察の限界がありますから(時間や経験・知識)、必要に応じて室内観察用のサンプルを持ち帰ります(地質屋の習性・その2)。

また、石の臭いをかぐこともあります(地質屋の習性・その3)。

持ち帰った標本は、実験室で(私の場合は自宅の庭等で)岩石カッターで切断後、切断面を研磨して(私の場合はホームセンターで売っている刃物用の砥石と耐水サンドペーパーで)詳細に肉眼ないし双眼実体顕微鏡 で観察します(地質屋の習性・その4)。

さらに、切断して約3cm角の岩石チップを作り、そこから厚さ約0.03mmの岩石薄片 を作成して偏光顕微鏡で岩石組織や鉱物の観察をします(地質屋の習性・その5)
なお、このサンプルに対してはこの作業は未実施です。地質屋さんの習性の話しはここまで。


「京ダンゴ石」と現地にて名付けた岩塊は、当日フィールドにて一部内部の観察ができましたが、さらにサンプルを地質屋の習性から当然持ち帰って観察しました。ダイヤモンドカッターで切断し、一部研磨しました(図1)。
その結果、これら大小の岩塊は
泥岩の角レキ片を中心として、分級がきわめて悪い、細粒〜極粗粒の火山灰と思われる角張った砕屑物(淡赤色)が泥岩片(灰色)の周囲に強く固結した岩塊
  であることがわかりました。 さらに、泥岩片と周囲(砕屑物層)の境界部は直線的ではなくてかなり入り組み、乱れていますので、中心部の泥岩片は元々軟質泥 soft mud だったと思われます(ともに暫定観察の結果)。




図1 ご馳走:「京ダンゴ石」(切断標本)、京都府京丹後市

Fig.1 My favourate stone ; "Kyodango-ishi" may be translated to "Dango stone", from Kyotango City, Kyoto Prefecture. Very coarse to fine reddish pyroclastic materials with white pumice are concentrated around single gray muddy stone as a core. Photo shows the cross section of some concretions which was created by the weathering and the wave action.



図2 「京ダンゴ石」を多数含む露頭・京都府京丹後市

Fig.2 Outcrop of strata containing lots of "Kyo-dango-ishi"(may be translated to "Dango stone" ),from Kyotango City, Kyoto Prefecture. "Kyodango-ishi" may be a kind of concretions, is reliefed in Miocene softer strata.

【命名者】 ジオロ爺屋 
This rock was named by "geology-ya"; another my handle name of chiyodite, originally in front of the outcrop on March 29, 2017.

【命名の経緯】
京都府京丹後市 の海岸露頭から多数産出し、そのやや平たいダンゴ状の形態を持つことから、私の得意のダジャレ感覚から「京ダンゴ石」と呼ぶことにしました。
(ここにわざわざ説明するまでもなく、京丹後市の「たんご」と食べ物の「団子・ダンゴ」a dumpling を掛けました。一方、京都市内または京都府内に「京ダンゴ」なる食べ物があるかどうか知りません。)
淡赤色の粗粒部分がまんじゅうの皮、灰色の部分がまんじゅうの餡に相当します。
 
【補足説明】
ある年、京丹後市の日本海側沿岸部において京都府在住の地質屋さんたちと現生の穿孔貝や生痕化石について調査していた際に偶然見いだしたもので、中新統(海成層)のある層準に集中して含まれています(図2)。 実は、調査現場でこの塊の存在を同行の案内者(=地元の研究者)に指摘したところ、彼らは全く気づいていませんでした。要するに、ことわざ「犬も歩けば棒に当たる」“The walking dog finds a bone.” よろしく、chiyoditeが歩けば何かを発見するの巻でした。
 
この塊の詳しい成因については専門家(大学研究者等)に問い合わせるなど私の今後の研究課題とします。 したがって、産地の詳細はここに特に記しません。

なお、参考までに記しますと標本を載せるのは100円ショップの紙皿で(以下同じ)、そばに置いてある2本の棒は団子の串です(笑)。

   
#番外07-02 「湖成層のミルフィーユ」その1・栃木県塩原温泉
  " Mille-feuille stone" of Pleistocene lake deposit, Shiobara Onsen, Nasushiobara City, Tochigi Prefecture

 塩原温泉の中塩原地区には、木の葉化石園 Konoha Fossils Museum という施設があり、周辺の湖成層 から産出した多くの木の葉化石 fossil leavesが展示されています。木の葉ばかりか魚 fossil fishes やカエル、さらにはネズミの化石 fossil mice まで産出するそうです。約 年前湖に堆積した地層です。 細かな縞模様の間に木の葉が綺麗にサンドイッチされて保存されているのがわかります。この縞模様の薄層を葉層・ラミナ lamina 、この縞模様を持つ状態を葉理・ラミナ構造 lamination といいます。
 
図3は、木の葉化石園でかつて販売していたサンプルで一部葉の化石がついています。ラミナに沿って刃の広い平タガネを当てて石を割れば、さらに木の葉化石が出てくるでしょう。
現在は、園内で発掘体験ができますが、石自体は一般向けに販売していないようです。学校等教育関係者に限って販売しているそうです。

  木の葉化石園については、「#29 博物館と穿孔貝D 木の葉化石園」でも紹介していますので、そちらをご覧ください。





図3 木の葉石(木の葉化石園の販売品)・栃木県塩原温泉

Fig.3 Konohaishi, one of the five famous stones in Shiobara Onsen from oldays. The package of these small stone is now for sale not against all people but against school teachers at Konoha Fossils Museum.


一方、図4は上塩原地区の湖成層のサンプルで、薄いチョコレート色と白色のラミナの互層から構成されていて、化石園周辺の湖成層とは異なる層相です。木の葉化石はほとんど認められません。
図3と図4の標本を比較してみると化石園周辺の湖成層の方が固結がよく、そのせいか、節理 joit が発達していて、販売されている岩石には褐色の断面がよく観察できます。

後者の方を「湖成層のミルフィーユ」 と命名することにします。

この標本から興味深いことがわかりました。
水流下で歯ブラシを用いてラミナに優しく、かつ平行になぞると、チョコレート色と白色のラミナそれぞれ内部にさらに細かな構造が現れるとともに、ラミナの硬軟に応じた凹凸ができます(図5)。 ここでは、その構造を「マイクロラミネーション Micro lamination 」と呼ぶことにしましょう。 このマイクロラミナ構造を使うと、古塩原湖における、堆積物を運搬堆積した水流の方向(古流向 )を復元できるのではないでしょうか。

図6や図7の写真は塩原湖成層で、箒川の支流沿いに見られる崖の一部です。




図4 ご馳走:「湖成層のミルフィーユ」・栃木県塩原温泉

Fig.4 My favourate stone ; " Mille-feuille stone", that is, Pleistcene laminated lake deposits in Shiobara Onsen, Nasushiobara City, Tochigi Prefecture. .
These small blocks of " Mille-feuille stone" are putted on a paper plate which I purchased at so-called "100 yen shop".



図5 「湖成層のミルフィーユ」の断面の接写・栃木県塩原温泉

Fig.5 Close-up of the specimen above. Light chocolate colored lamina in dry but dark in wet, and white lamina of lake deposits were brushed clean with a teeth brush under the running water carefully. So, the cross section of this stone cut by machine changed flat to a rugged surface.
We can realize very fine lamina inside each lamina in paralell lamination, which are about 1 mm thick each, on the vertical section. I think that these inclined each lamina could indicate the direction of the paleocurrent in ancient Shiobara lake. Here, I want to name these structures like lamina in lamina "micro lamination".




図6 塩原湖成層の露頭(下半部:スランプ層、上半部:リズミカルな成層部)・栃木県塩原温泉

Fig.6 Outcrop of Pleistocene lake deposit, Lower half where a hummer is placed is strongly folded strata, that is, the slump deposit. 



図7 湖成層のリズミカルな成層部に含まれる炭化木片(ペン右脇)・栃木県塩原温泉

Fig.7 Close-up photo same as upper half strata of Fig.6 at nearer location. This is rhysmically layered part of lake deposits. A black flat particleis beside a pen may be a fossil stem, a kind of coal.

【命名者】 ジオロ爺屋 
This rock was named by "geology-ya" originally after coming back to my home on November 29, 2018.

【命名の経緯】
細かく成層した状態がきれいで、小麦粉やクリームでできたお菓子の「ミルフィーユ mille-feuille」に似ているので命名しました。

【補足説明】
「ミルフィーユ mille-feuille」はフランス語で、 milleは「千」、feuilleは「葉」を意味するそうです。
そこで、ここで仮に「ミルフィーユ mille-feuille」を「地層の単位」としましょう。
塩原湖成層におけるラミナの厚さを平均3mmとし、湖成層の厚さを15mと仮定した場合、5000枚になりますので、「5 ミルフィーユ」と言いかえることができます(笑い)。


#番外07-03 「湖成層のミルフィーユ」その2・岡山県蒜山高原
  " Mille-feuille stone" of Pleistcene lake deposit, Hiruzen Highlands, Okayama Prefecture

 きれいなラミナを示す第四紀の湖成層は日本国内には塩原以外にもいくつかあります。
岡山県北部に位置する蒜山(ひるぜん)高原 はその代表格で、高原の盆地の地下にはきれいな湖成層(蒜山原層の一部)が分布しており、一部の地区では工業的に採掘しています。
ここへは1980年代に勤務校の理科職員夏季研修旅行(山陰山陽方面;5泊6日)で大山(だいせん;第四紀の火山)の次に訪問したことがあります。

その際に採集したサンプルが図8です。



図8 ご馳走:「湖成層のミルフィーユ」岡山県蒜山高原(済みませんが、準備中です。

Fig.8 My favourate stone ; another " Mille-feuille stone", Pleistocene lake deposit, Hiruzen Highlands, Okayama Prefecture.(Sorry, under preparation)
 



図9 「湖成層のミルフィーユ」の露頭 岡山県蒜山高原(済みませんが、準備中です。

Fig.9 Outcrop of Pleistocene lake deposit, Hiruzen Highlands, Okayama Prefecture.(Sorry, under preparation)
 


塩原湖成層とは、硬さが異なり、ハンマーで簡単に崩せるほどずいぶん軟らかい地層です。部分的にスランプ構造 slump structure が見られました。

このサンプルを生徒地学実験の材料として使用したことがあります。
何ら化学的な前処理も必要なく試料を水に溶いただけの試料からプレパラートを作れば生徒にも簡単に観察できる教材となり、生徒用の生物顕微鏡淡水棲のケイ藻 fresh water diatoms、たとえばコシノディスクス Coscinodiscusメロシラ Melosira がたくさん確認できました。 もちろん、ケイ藻用の封入材(プリューラックスなど)があると検鏡しやすいです。
(なお、私は、勤務高校の化学実験室にあるドラフトチャンバーでいくつかの原材料からこの封入材を自作したことがあります。確か成功したと記憶。)
蒜山高原の珪藻土は確か自宅にまだたくさん所有していますので、必要な方はお申し出ください。

ここの珪藻土の用途は、昭和化学工業のHPによれば各種液体の濾過助材だそうです。過去には、食品の増量剤として利用したと私は記憶していますが、純度の高いケイ藻であれば、無味無臭・無害ですから食べても影響しなかったことでしょう。

【命名者】 ジオロ爺屋
This rock is named here by "geology-ya" originally.

【命名の経緯】
塩原湖成層に準じます。


#番外07-04「腐ったジャガイモ石」・茨城県ひたちなか市
  "Kusatta-jyagaimo-ishi", may be translated to "Rotten-potato stone", from Hitachinaka City, Ibaraki Prefecture.

茨城県ひたちなか市のある海岸で穿孔貝の調査をしていた際に観察できたレキです。穿孔痕(穴)が多数あいたレキですが、千葉県や神奈川県など関東地方でみる通常の海浜レキと大いに異なっています。

【レキの外見や内部】
レキの外見は薄い褐色を呈していますが、穿孔痕内部がとても 、いや、異様に と表現した方がよいほどに黒い のです(図10)。
一瞬しておかしいと感じ、地質屋の習性・その1からすかさずレキを割って内部を観察しました。すると、レキ内部は灰色であり(灰色細粒砂岩、凝灰質?)、黒くはありませんでした。
穿孔痕の内壁だけがなぜか黒いのです、不思議ですね(そう思うのは私だけ・・・)。





図10 ご馳走:「腐ったジャガイモ石」・茨城県ひたちなか市 スケール代わりの乾電池は単4

Fig.10 My favourate stone; "Kusatta-jyagaimo-ishi", may be translated to "Rotten-potato stone" , from Hitachinaka City, Ibaraki Prefecture.
As many black holes seem to be traces of devouering in potato by insects or catapillers, I named these gravel "Rotten-potato stone". A dry battery is LR03 about 44mm long.

【命名者】ジオロ爺屋 
This rock is named here by "geology-ya" originally.

【命名の経緯】
薄い褐色ないし黄土色をした大小の円レキそれぞれは、全体としてまんじゅうというよりもジャガイモ potatoに見えます。そして、多数の黒い穴は、「虫が食い漁った後の腐った穴ぼこ」に例えられます。そこで私は、「腐ったジャガイモ石」と命名しました。

一方、私が当時勤務していた学校の教頭先生 vice-principle にお見せしたところ、遠目には豆大福 a Japanese rice cake stuffed with beans に見えることから「豆大福石」と命名したいとの申し出を受けましたが、私の権限で却下しました(「権限」は、立場上のものではなく冗談です)。 却下した理由は、黒い穴はあくまでも穴であり、黒豆には見えないからです。
「腐ったジャガイモ」では、ご馳走にはならず、お腹を壊す元どころかこれを食べたら死んでしまうかもしれません。それにしてもひどい喩え・表現ですね(笑い、そして自己反省 self-reflection)。

【補足説明】
この石を観察して次のような疑問を持ちました。

○疑問その1:穿孔痕の内部はなぜ、みな黒いのか?

ひたちなか市の海岸以外、たとえば房総半島や三浦半島の海岸では、砂岩やシルト岩といったレキに現生の穿孔貝による穿孔痕が多数みられますが、内部が「黒」のものは一つもありません。 黒い部分を化学分析する必要性があり、試しに埼玉県産業技術研究所に依頼して調べたところ母岩との差はありませんでした(科研費報告書)。
したがって、他の分析方法や分析機器で調べて「黒い原因」を解明したいところです。

○疑問その2:穿孔痕の新犯人(穿孔貝等)はだれか?

黒い穴の中には穿孔貝の貝殻がほとんど入っていません。現在のところ、このやや堅めの石を穿孔した生物が正確につかめません。今後、穿孔貝の探査の必要性があります。

○疑問その3:このレキはいったいどこから来たのか?

このレキの採集した海岸は中生層の分布域ですが、このレキは中生代の地層由来ではない模様です。
暫定的な解釈としては、このレキは近隣に露出している中生代より新しい地層由来であり、穴は現生の貝によるものではなく、化石穿孔痕fossil boringsではないかと私はにらんでいます。 穿孔痕内部にあるべき砂(軟質砂岩?)は海岸の磯で波に洗われている内に抜けてしまったのではないでしょうか? 
とにかく探査の必要性があります。

繰り返しになりますが、不思議で不思議でなりません。
したがって、こちらも現在、私の研究対象となっています。



#番外07-05 「角切りメロンのヨーグルト添え」・栃木県那須塩原市
  Kakugiri-melon-to-Yogurt-no-ishi, may be translated to "Angularly cut melon wtih Yogurt", from Shiobara Onsen, Nasushiobara City, Tochigi Prefecture.


塩原温泉のある小沢を地質調査していて見つけた、緑と白のまだらな石です(図11)。

【石の外見や内部構造】
この石のまだら状態は、言いかえると、三角形や四角形をした緑色の部分を主体としていて、それらの隙間を白色の部分が複雑に入り組んみながら埋めていると表現できます。
地質学的に見ると前者の部分は、細粒の緑色凝灰岩 Fine grained Green tuffで、後者の部分は石英 quartzないし小さな水晶:微晶 fine rock crystalsです。




図11 ご馳走:「角切りメロンのヨーグルト添え」・栃木県那須塩原市

Fig.11 My favourate stone; "Angularly cut melon wtih Yogurt". Several green blocks which are composed of angular Green tuff in various size with thinner quartz band. This rock colud be considered the brecciated zone of Green tuff formation filled with quartz vein, I think. In other words, I think that this specimen tells us the ancient brecciation by Hydrothermal activity after the solidation and the alteration of the volcanic ash.

【命名者】ジオロ爺屋 
This rock is named here by "geology-ya" originally.

【命名の経緯】
私は、この石に対して角レキ状の緑色凝灰岩部分をメロン(の果肉)に、白い石英の部分をヨーグルトに見立てて表記のようなご馳走(ご地層)の名前を付けました。
この石英脈を例える場合、特にヨーグルトでなくとも、生クリームでも良いでしょう。

【補足説明】
この石の成因を考えてみましょう。
周囲の地質は緑色凝灰岩の分布域ですから、この石の成因は凝灰岩層を破砕しながら熱水が入り込み、ゆっくりと冷却する過程で石英脈 quartz vein が形成したと解釈できます。 つまり、ある程度の深さでの熱水活動 Hydrothermal activity による 角レキ化作用 brecciation があったと考えられます。 石英脈の一部には空洞が残り、小さな水晶が群生しています。

凝灰岩破片は数mm以下の大きさのものも多数含まれるため、この凝灰岩層の元となった火山灰の堆積後すぐに入り込んだのでなく、十分固結し変質した後相当時間をおいて熱水が入り込んだものと想像できます。

恐らく、昔の人がこのような小さな水晶の群生を「鮫石(さめいし)」と呼んだのでないでしょうか。鮫石は、「塩原五銘石」の一つです。



#番外07-06 「温泉水と川砂のクレープ石」・栃木県那須塩原市
  "Crepe stone", sands cemented by hot spring, from Iwanoyu, Fukuwata Spa district, Shiobara Onsen, Nasushiobara City, Tochigi Prefecture.

福渡温泉の岩の湯は、箒川の右岸にある露天風呂で、名前の通り2mほどの高さにある岩の間から温泉が湧出しています。地元の自治会が管理している人気の露天風呂ですが、吊り橋から湯に向かう階段が崩落して危険なため残念ながら閉鎖されています。

この湯はさらに2019年10月の台風19号通過時の豪雨によって箒川が増水し、湯船が水没してしまいました。土砂がほぼ満杯に堆積してしまった湯船の姿からは、再開は一層困難と思われます。
この温泉エリアには、地質調査帰りに何回か立ち寄っていますが、この露天風呂はまだ一度も利用できていません。

では、以下に私のお気に入り・「温泉水と川砂のクレープ石」について説明しましょう。



図12 ご馳走:「温泉水と川砂のクレープ石」・栃木県那須塩原市

Fig.12 My favourate stone; "Crepe stone", Iwanoyu, Fukuwata Spa district, Shiobara Onsen, Nasushiobara City, Tochigi Prefecture.

泉質は、湯宿のように「成分分析表」が提示されていませんから詳細はわかりません。この温泉が「ナトリウム・カルシウム・塩化物泉」ないし「ナトリウム・カルシウム・塩化物・硫酸塩泉」とするネット情報がありますが、 福渡温泉とたぶん同じでしょう。湯温は、わき出し口で直接温度測定はしていませんが、排湯の温度は手を入れると熱く感じる程度で、数分間は我慢できるレベルです。おそらく50℃前後ではないでしょうか。

2020年2月のある日に、いつもどおり立ち寄りました。足湯ならぬ“手湯”で、寒風で冷えた手を入れて温めるくらいしか、利用できませんでした。深い穴があればそこに湯を貯めて足湯くらいはできるのですが、ちょうどよい穴がありません。
前回訪問と何ら変わらないな〜と眺めていると、“ある驚くべき事実”に気が付きました。

湯船の外への温泉の流れ出し(排湯)は、排水口から緑色凝灰岩の岩盤の上を伝い、広がりながら最終的に川面に行き着きます(図13)。岩場と川面の間には砂の堆積があるのですが、この部分を注意深く見たところ、砂が褐色を呈して固まっていることに気が付きました(図14)。
手では簡単に壊れない硬さであり、さらには私が乗っても壊れないほどの強度があるのです。これには大いに驚きました。
前回はまったく気が付きませんでした。一方、凝灰岩の岩盤には目立った積層は見られません。

とにかく現地にて、温泉水が砂層中に浸透していった結果、砂粒同士を固着していると暫定的に解釈できそうだと思いました。




図13 岩の湯(露天風呂)と温泉水の排水路状況(茶色に呈色)・箒川右岸

Fig.13 Open-air bath and drainage in Iwanoyu, Fukuwata Spa district, Shiobara Onsen, Nasushiobara City, Tochigi Prefecture. We can distinguish this brown dorainage to two kinds of routs; the one on the surface of rock, green tuff, and the other on the river deposit, wet sands and small gravel.




図14 「温泉水と川砂のクレープ石」の産状(手袋を載せた茶色部分) 岩の湯・露天風呂下
「クレープ石」下の川砂や小石は固結しておらず、えぐれている点に注意 

Fig.14 Close-up of brown dorainage rout in Fig.13. "Crepe stone"; brown hard sand layer(upper) cemented by the elements of spa water from the riverside cliff, Iwanoyu. As lower river sand layer under this hard layer is not cemented, this still soft layer with pebbles is eroded by river water or raindrop.
A lefthand glove of mine is put on "Crepe stone" as a scale.


【命名者】ジオロ爺屋 
This rock is named here by "geology-ya" originally.

【命名の経緯】
地史的にみればかなり短時間に小石や川砂が温泉水の影響を受けてしっかりと固結している(後述)ことから、私は小麦粉や牛乳等をもとにした材料が鉄板の上で焼き固まる姿をイメージしました。そこで、この石に対して「温泉水と川砂のクレープ石」と命名しました。
塩原温泉の有名なスイーツである「とて焼き」の生地・クレープもイメージできることでしょう(私も、何回かとて焼きを食べたことがありますが、大変おいしかったですね)。 もちろん、「もんじゃ焼き石」や「お好み焼き石」でも名前は構いませんが、具(小石)が少ないので「温泉水と川砂のクレープ石」としました。

【補足説明】
自宅に持ち帰ったサンプルを双眼実体顕微鏡、倍率×20〜×30で観察したところ、褐色をした表面の砂粒は赤褐色や白色の物質にコーティングされており、砂粒同士が固着しているのがわかります。 一方、下部の砂は砂本来の色合いをしていますが、何か透明な針状の結晶が成長しています。

これらに対して顕微鏡下で希塩酸(商品名サンポールの希釈液)を滴下する実験を行いました。すると、どちらも激しく発泡しました。 したがって、砂粒を結着している透明〜白色鉱物は方解石 calcite、成分は 炭酸カルシウム calcium carbonate であることは間違いないでしょう。
温泉水中の鉄分が固結に関係しているのではないかという、私の現地での予想はみごとに打ち砕かれました。

私なりに成因を想像するとともに、疑問点や今後の予想もまとめてみましょう。

地表に噴出後炭酸ガス分圧の変化が起こり、また温度の低下に伴って溶解度の低下が起こるため、温泉水の成分のうち炭酸カルシウム成分がゆっくりと析出したのでしょう。そして、針状結晶が形成されました。
この結晶成長には、冬場という気象条件、つまり日陰で気温が低く、低温となっている砂場という環境が関係しているかもしれません。このあたりを専門家に伺いたいところです。

けれども、温泉の泉質から考えてこのように炭酸カルシウムが順調に析出することはあるのでしょうか?

一方、緑色凝灰岩の岩場(河岸部分)では炭酸カルシウムの層を見ていませんし・・・(意識を持って見ていないだけかも)、不思議ですね。

→ 岩の湯において湧出する温泉水の成分分析をする必要があるでしょう。
 
この固結層は、前回訪問した昨年12月には全く気が付きませんでした。流路が変わったかもしれません。
昨年10月下旬頃少なくとも増水が落ち着いて以来、2〜3ヶ月で形成された自然の固結物です。この項目は地層となっていますが、地表にあるこの最新の固結物も地層に入れることにしましょう。

再度河川の増水がればこの「現代的な、形成途上の若い地層」はいずれ流出してしまうことでしょうし、大雨があると結着物は溶けて去ってしまう可能性も考えられ「ただの砂」になってしまうかもしれません。 一方、大幅な増水後に新たな砂が堆積すれば、同じような地層の形成が始まるとも予想されます。



#番外07-07 「石灰華のポッキーチョコレート」・栃木県那須塩原市
  "Chocolate Pocky", from a small valley floor, Shiobara Onsen, Nasushiobara City, Tochigi Prefecture.
2020年4月18日 新規公開  New ! , released on April. 18. 2020



塩原温泉地区の緑色凝灰岩地帯を調査していて、温泉水の流下する小沢の存在に気が付きました。 本流との出会いの沢床(緑色凝灰岩)が“異常に黒く汚れている” のでおかしいと思いました。もしやと思い沢水に手を入れると本流よりも生暖かいことで判断できました。

そこで、地質屋(ジオロ爺や)の習性としてこの沢を登っていくとさらに水温の上昇が確認でき(温度計は携帯していませんが)、おまけに興味深い現象・自然の造形物 の存在に気が付きました。
この沢では、小さな瀬が階段状に繰り返されているだけではなく、瀬全体の底が黒く、かつ瀬の縁ないしその直下には多くの棒状の黒い物質“棒状石”が多数並んでいたのです(図18)。

次に、地質屋(ジオロ爺や)のくせとして棒状の黒い物質を手にとって観察してみました。
表面は黒いものの自然にできた横断面をみると内部は黄白色をしており 、また年輪のような縞 が何本か認められます。

自宅に持ち帰って、ていねいに研磨した横断面が図15の右写真や図17です。そして、希塩酸をかけると激しく発泡することから黄白色の部分は炭酸カルシウム であることがわかりました。

一方、縞模様の黒い部分の組成は容易にはわかりませんので、今後の課題です。

黄白色部分のさらに内側、例えるならば「お菓子のポッキー」のプリッツに相当する軸部分には木の枝の断面が見られます。つまり、この断面では小枝の年輪と石灰華の縞模様が同時に見られます。これは小枝の周囲に炭酸カルシウムが付着成長したことを示しています。





図15 ご馳走:「石灰華のポッキーチョコレート」とその横断面(最下段の棒状石)

図中のスケール代わりのコインは、米国1セントコイン(直径約20mm)


Fig.15 My favourate stone;"Chocolate Pocky", calcareous growth around the twig, made from the elements of the hot spring water. From a small branch floor, down stream of hot spa water dorainage, Shiobara Onsen, Nasushiobara City, Tochigi Prefecture.
Singel one cent coin, ca. 20mm diameter, is located as a scale(Left photo).

Right photo: Cross section of this material shows the growth of sinter like an annual ring around the twig. So, we can realize two defferent kind of bands, that is, the one is circular woody cross section inside, the other is irregularly circular calcareous band outside.


この小枝状の“棒状石”の中には炭酸カルシウムの層をほとんど持たず、断面までも真っ黒なものもありました。(図15の上から三段目、右側)。


【命名者】ジオロ爺屋 
This rock is named here by "geology-ya" originally.

【命名の経緯】
みなさん、江崎グリコ株式会社の有名なお菓子「ポッキー」はご存じだと思います。 もちろん私もチョコレート味に限らず他のテイストのコーティング製品や地域限定品も食したこともあります。 “棒状石”中心の小枝が、ポッキーのプリッツ部分に、その周囲の黄白色や黒い部分がポッキーのチョコレートコーティング部分に例えられると思いました。

【補足説明】
実は、小枝よりもずっと太い、直径2〜3cmもある棒状石もあります(図16)。
こちらは、棒や箸に何かの食材を巻き付けたものに例えることができそうです。まず私は秋田名物のきりたんぽ Kiritampo; cooked rice sticks; one of the special product in Akita Prefecture を思い浮かべました。
氷のつらら icicle 、ないし鍾乳洞のつらら石 のように先端部が丸まっているものや尖るタイプがほとんどの産状です。
「串の付いたフランクフルトソーセージ」に例えてもよいかもしれません。




図16 ご馳走:「石灰華の焼きすぎきりたんぽ」


Fig.16 Two bigger calcareous sinters like the stick. These may be comparable to well-toasted Kiritampo, which is one of very famous traditional food in Akita Prefecture.


図17は“きりたんぽ状棒状石”の石灰華の横断面で、中心に入っていた木の枝はやや腐っており、ここでは取り除いてあります。この横断面から、石灰華の付着成長はどの方向にも均等ではなく、片側に石灰華が厚く成長していることがわかります。

また、穴の内側には小枝の表皮がややラフな印象として残っています。強いて言うならば、小枝の印象石ですね。ただし、正確にはこれは化石とは呼べません。化石は地質時代の地層から産出するものですから・・・。
ポッキーチョコレート状やきりたんぽ状の“棒状石”の産状を示すのが図18です。



図17 ご馳走:「石灰華の焼きすぎきりたんぽ」の横断面の例 上下のサイズは約26mm、黒色皮殻の厚さは約2mm

Fig.17 Cross section of a calcareous sinter like well-toasted Kiritampo. This specimen is ca. 26 mm wide at the maximum. Yellowish thicker band inside is calcite; calusium carbonate. The blackish crusty layer is ca. 2 mm thick, but its chemical component is unkown at present. The research on this blackish material will be continued.




図18 ご馳走:「石灰華のポッキーチョコレート」や「石灰華の焼きすぎきりたんぽ」の産状

Fig.18 The occurence of many calcareous sinters at the rim in the small valley.

一方、ほぼ垂直ないし斜めに垂れ下がった木の枝をコーティングしながら石灰華が成長していって“棒状石”が形成されるだけではなく、沢床にある小枝や落ち葉等の積み重なった上にも厚く成長しているケースも見られました(図19)。 この場合は、ポッキーというよりも「あんこ玉」と形容できると思います。




図19 ご馳走:「石灰華のあんこ玉」 図中のスケール代わりの5円硬貨は、直径約22mm.


Fig.19 Some spherical or hemispheric calcareous sinters at the small valley floor. Singel five yen coin, ca.22mm diameter, is located as a scale.

石灰分を含んだ温泉水が流れ込む沢において、沢床に落ちていた木の枝に石灰華が付着成長していくプロセスが考えられます。 しかし、私には容易にそのメカニズムが理解できません。

#7-6クレープ石では、温泉水中の石灰分が砂粒や小石を接着している事実をお伝えしましたが、ここでは砂や小石の固結物は見当たりません。この現象も不思議ですね。

源三窟の石灰華石灰岩(#29 博物館と穿孔貝D 木の葉化石園)には木の葉の化石がありますが、小枝や太枝の化石は知られていません。堆積環境が異なっていたのでしょうか。

温泉配管内部石灰質等の沈殿物が形成していって最終的に管を閉塞してしまうことがあると聞きます。
そうなると下流にある温泉宿には温泉が届かず大変困った事態になります。 沈積物が少ないうちは定期的に管の内部をブラシ等で清掃して予防することができるでしょうが、長いパイプの清掃は容易ではありません(実施している宿の例は知りません)。 閉塞した場合にはその部分を探し当てた後に新しいパイプに取り替える工事が行われます。これは、まさに人体の動脈硬化 hardening of the arteries血管梗塞 infarction of the blood vessel におけるステント手術やバイパス手術のようですね。


ここで以下のような疑問がわいてきました。
○疑問1:この棒状の石灰華はどれくらいの時間、年数でできるのでしょうか? 言いかえると、棒状石の古さはどれくらいでしょうか?

□予想される答え
一概にはわかりません。現在のところ調べる方法は思いつきませんが、かなり新しい生成物でしょうから木の枝は放射性炭素法(C14法)の対象とはなりません。 この沢の歴史、言いかえると温泉水の流出の歴史によると思われます。温泉水の流出は相当昔からあったのか(塩原温泉の開湯以前)、温泉利用のための取水以後に起こったのでしょうか・・・

○疑問2:この棒状の石灰華の成長は止まっているのでしょうか、今後も続いていくのでしょうか? 

□予想される答え
十分調査した訳ではありませんが、20cmオーバーとか極端に太いものは見られません(石灰華が薄く付着した丸太はありますが)。ある時に形成が始まって現在の太さに至ると思われます。 この沢の地形の歴史温泉水の流出の歴史(自然流出か、それとも人工流出か)によると考えられます。仮に何十年も何百年も同じように温泉水の流下があれば数10cm以上の太さがあってもよいのではないかと想像します。

○疑問3:この棒状の石灰華の内部には黒い極薄層があるもののほとんど石灰質であるのに対して、外側が共通して黒いのはなぜでしょうか?

□予想される答え
温泉水の流下の変化(流量や水質等)が考えられます。とにかく黒い物質が何なのか解明されないとわからないとも言えます。

再度この小沢を訪問して新しいことがわかり次第、以下に紹介します。



#番外07-08 「芋石」・栃木県那須塩原市
  "Imoishi", potato stone; Mold of Miocene borings created by rock-boring bivalves, from Shiobara Onsen, Nasushiobara City, Tochigi Prefecture.

現在、準備中です。
ここへの公開が可能となるまで、恐れ入りますが「#29 博物館と穿孔貝D 木の葉化石園」の芋石をご覧ください。
Sorry, under construction.
Please look at "Imoishi", potato stone in the page of "#29 Museum and boring shell D Konoha Fossils Museum" until the release of this part.


#番外07-09 「東松山のまんじゅう石」・埼玉県東松山市
 

この石について既に、「#7 埼玉県東松山市葛袋、中新統の岩石穿孔性二枚貝類の穿孔痕、および 東松山市化石と自然の体験館」の#7-3の中で触れていますので、そちらをご覧ください。

Please look at "#7 Miocene borings created by rock-boring bivalves from Kuzuhukuro, Higashimatsuyama City, Saitama Prefecture, and "Fossil and natural experience house"



以下、続く。
To be continued.




写真 グランドキャニオン国立公園の光景

写真左:グランドキャニオン国立公園・サウスリムの東方、デザートビューにある石造りのタワーに向かう人たち。
写真右:タワー最上階の窓からの眺め。正面の谷には傾斜した地層群と蛇行するコロラド川がわかる。ほとんど緑がなく、乾燥した岩場が見え、名前のとおりの風景である。
また、台地に噴出した第四紀の火山も近くに見られる。なお、コロラド川は名の由来の赤い色ではなく、緑色をしています。

Left photo: Visitors walk on the road to the Watchtower at Desert View, Grand Canyon National Park, Arizona, USA.
Right photo:View from the window at the uppermost stair in the Watchtower. All visitors can look at very wonderful scenery, that is, very old formations and rocks, Colorado River(but no reddish), and Quaternary conical small volcano near the Rim.


since: March.6.2020

last update: April.18. 2020