未来予想図U



「先輩のバカァ!」

 エレンはそう大きな声で叫ぶと、勢いよく駆け出した。背後から少し焦ったような声がかけられた気がしたが、きっと気のせいだろう。先輩――リヴァイはもう自分のことなど興味がないのだから。リヴァイと付き合い始め、彼の誕生日に初めて身体を繋ぎ、今頃は蜜月期間であってもおかしくはないのに、人生というものは思う通りにはいかないものだ。まして、恋愛沙汰ともなれば、そこには自分の意思だけではなく相手の気持ちも介在してくるのだから。
 取りあえず、今は家に帰って自分の部屋のベッドで布団を被って泣こう。何を考えるにしてもごちゃごちゃとしてまとまらない今はいい考えが浮かぶはずもないし、この際思い切り泣いてすっきりしてからにした方がいい。
 そう考えたエレンは脱兎のごとく自宅に駆け込み、自室のドアを開け中に入った。このままベッドにダイブしよう――そう思って視線を向けた先にあったものに少年は固まった。いや、正確に言えば向けた先に存在した人物に、なのだが。

「………」
「………」
「えーと、久し振り?」
「ああ、久し振りだな」
「………」
「………」

 そんな挨拶を交わしてから、エレンは違う、こんな挨拶をしている場合ではない、と心の中で自分に突っ込み、目の前の男――かつて遭遇した未来の自分に向き直った。

「何で、ここにいるんだ、オレ! また何かあったのか?」
「落ち着け、オレ! まずは自分の周りをよく見てみろ」

 そう言われて部屋を見回したエレンは、そこが見慣れた自分の部屋ではないことにようやく気付いた。内装、家具、照明――何もかもが自分の部屋とは異なっていた。

「ここは――」
「そう、ここはお前の部屋じゃなくて、オレの部屋だ。今度は逆に過去から未来に来ちゃったパターンみたいだな」

 何なら、窓から外を見てみるか、と男に問われ、エレンは恐る恐る窓の外を眺めてみた――果たして、そこにはいつもの見慣れた風景はなかった。二階の自室よりも地面が遠くに見えるので、ここはもっと高い階上、おそらくはどこかのマンションか住宅団地だろう。未来の自分は同棲中のはずだから、社宅等に住んではいないと思われるので、ここは二人が借りているどこかのマンションの一室というのが妥当かもしれない。

「未来って……マジか?」
「マジだ。オレの方はあれから順調だから、問題が起こったならそっちか?」

 男にそう言われてエレンは今の自分の状況を思い出し、ボロボロと涙を零した。

「え? どうしたんだ、オレ! 何があった?」
「どうしよう、オレ! オレ、リヴァイ先輩にヤリ捨てられる!」
「はあ? リヴァイ先輩はそんな人じゃねぇぞ、オレ! それは好きになったオレが一番知ってるはずだろ!」
「そうだけど……でも、もう、先輩はオレに興味がなくなったんだ! まだ捨てられてねぇけど、もう時間の問題なんだ、オレ!」

 そう言いながら、エレンはリヴァイと結ばれてから今までのことを思い返した――。


 未来の自分達が去ってからエレンは猛ダッシュをかけ、どうにか時間ギリギリに約束の場所へと辿り着いた。エレンの様子にリヴァイは驚いていたが、楽しみで寝付けずにいたらうっかり寝過ごして慌ててやって来たと誤魔化した。さすがに未来の自分がやって来てあれこれもめて遅れそうになりました、などとは言えない。リヴァイなら自分の言葉を信じてくれるかもしれないが、証明する手段がないし、十年後も付き合っています、とは未来の自分ではないが縛るようで言い出したくはなかった。問題は解決したのだし、ここは黙っているべきだろう。
 その後、二人で楽しいデートをして、ドキドキしながら男の部屋で迎えた夜、エレンは幸せだった。まあ、恥ずかしかったし痛かったし苦しかったけれど、気持ちよいこともいっぱいしてもらったし、リヴァイと繋がれたことが単純に嬉しかった。最後の方は意識を飛ばしていて覚えていないのだが、確かにエレンは無上の喜びを味わった。
 翌日、男は甲斐甲斐しくエレンの世話を焼いてくれたし、何も問題はないように見えた――のだが。
 おかしい、と思い始めたのは年が明けてからだったと思う。当然、二人で初詣でにも行ったし、連絡もし合っていた。だが、どうも男の態度が余所余所しいというか――素っ気なく感じられるようになったのだ。リヴァイとの交際は公言していないし、同性同士の恋愛は色々とデリケートだ。人前で手を繋いだり恋人同士のような振る舞いが出来るとは思っていない。だが、二人きりのときはそれなりにいちゃいちゃというか、恋人らしいことはしていたのに、それが全くなくなってしまったのだ。というか、まず、二人きりにならない。
 今までは時間があればリヴァイの家に寄ったり、一緒に話したりしていたがそれがなくなった。どうも避けられているような気がする。ひょっとしてこれが釣った魚には餌をやらないというものなのだろうか。いや、釣られたのは大分前なのだが、何か心境の変化でもあったのだろうか。エレンは内心の不安を押し隠しながら、リヴァイに忙しいのかと訊ねたら首肯された。

「生徒会選挙が二月に控えているからな。引継ぎもあるし、色々と忙しい」

 リヴァイは春から三年生になるので次の選挙には出ないが、準備や引継ぎなどで忙しいと言われればそうなんですかと頷くしかない。それでも、七月時の選挙の時は自分と会う時間はあった――いや、今回は引継ぎがあるから前回とは違うのかもしれない、とエレンはもんもんとした葛藤を抱きながら時を過ごした。そうして、そんなときに同級生の女子の世間話を耳にしたのだ。エレンとしては聞くつもりではなく、たまたま通りがかりに耳に入っただけだったのだが。

「え、あんた、彼氏と別れたの?」
「だって、あいつさぁ、超絶下手くそなんだもん。なのに、すぐやりたがるしさ。こっちは痛いだけだっての」
「でも、あんたの彼、カッコ良かったのに勿体ない」
「顔はいいけどさ、正直、もうしたくないよ。なのに、やりたがるからさー、もう別れようって」
「えー、私ならそれだけじゃ別れないけどなぁ」
「えー、そっちも大事だよ。自分勝手にヤる奴は性格も自分勝手だもん。別れて正解」

 余りにも明け透けな話にエレンの方が赤面したくなったが、彼女達は自分が通りすがりに聞いているとは思ってないからこそ話しているのだろう。というか、友達同士でそういった話はするのだろうか。友達から彼女の惚気話は聞いたことはあるが、エレンはそういった方面の話は聞いたことがない。付き合っている相手との最中の話など普通はしないのではないか――いや、もう別れた相手のことだからだろうか。それとも人によるのか。そうして、ふと、エレンはあることに気付く。

(そういや、あれから先輩としてない)

 リヴァイとそういう行為をしてから数週間――そろそろ一ヶ月が経ってしまう。その間、身体を繋げるどころかキスすらしていない。長年連れ添った熟年夫婦ならともかく、この年代の男子が恋人がいながら全く求めてこないというのはおかしいのではないだろうか。

(オレが超絶下手だっとか? いやいや、あれ、女子の話だし! そもそもオレ初めてだったし、先輩としかしたことねぇから基準が判らん!)

 リヴァイの気持ちを知りたいのなら、女子の意見を聞いても参考にはならないだろう。ここは男の意見だと、エレンは同級生に訊いてみることにした。
 エレンは率直に二回目の行為を男がしないというのはどういう気持ちからなのか、と訊ねてみた。普段、恋愛関連の話をせず、そちらの方面には鈍いと思われるエレンからの問いに同級生たちは困惑していたが、知り合いから相談されたと真面目な顔で言うエレンに自分達の意見を述べた。

「えーと、彼女の方は嫌がってねぇんだよな?」
「ああ、問題ない」

 エレンがそう言うと、うーん、と同級生たちは首を傾げた。

「一回目ですげー失敗したとか? 下手とかボロクソに言われたとか?」
「イヤ、彼女は嫌がってないんだろ? それはないんじゃねぇ?」
「なら、彼女の方が良くなかったとか……マグロで嫌になったとか?」
「イヤ、一回目ならマグロでも仕方ないんじゃねぇ? ずっとなら嫌になるかもしれねぇけど。俺は逆に初めてでガンガン来られる方が引くけど」
「イヤ、やってくれるならその方がよくね?」
「綺麗なおねーさんと一回だけとかならそりゃおいしいけど、自分の彼女が明らかに今までやりまくってました、男食いまくってた過去ありだったら嫌じゃん」
「初めては初めてで気を使って疲れねぇ?」
「やりまくってる相手だったら比べられそうで俺は嫌だな。つーか、浮気されそうだし」
「男の方も何か事情があるんじゃねぇの。運動部とかだと部活が忙しくて彼女放っておいて振られるとかよく聞くし」
「そもそも、場所が確保出来ないとやれないし。家以外だと金かかるし、親いるときはまずいし」

 その辺どうなの?と振られてエレンは返答に困った。どこまで情報を出していいのか判らなかったからだ。

「えーと、相手は学校の先輩で委員会とかで忙しいみたいだって言ってたな」

 取りあえず、無難なことを言ってみる。相手がリヴァイで自分のこととはさすがに思わないだろう。

「なら、普通に忙しいだけじゃねぇの?」
「イヤ、俺ならやる時間は作る!」
「俺も作る!」
「やっぱ、場所が確保出来ねぇんじゃねぇの? 親が家にいてやるタイミングがないとか。その彼女にも自分から誘ってみるように言えば?」
「は?」

 思いも寄らない言葉を投げかけられ、エレンは固まった。

「彼女の家に誘われて、今日は親いないんだとか言われたら普通は乗ると思うけど。というか、普通に彼氏と話し合った方がよくね? まあ、そういうの言いにくいのかもしれねぇけど」
「…………」

 正論を言われ、エレンは黙るしかなかった。


 そうは言われたものの、リヴァイに何でしないんですか、とは訊きづらい。良くなかったとか言われたらまず立ち直れないし、どうしたら改善されるのか見当もつかない。かといって自分の家に誘うというのも出来ない。
 勿論、リヴァイが自宅に来たことはある。だが、それはエレンの母親が家にいる状態でのことだ。
 エレンの父親は医者で中々家に帰ってこられなかったのもあって、エレンの母親はずっと専業主婦だった。エレンが高校に入学し、そろそろ働きに出ようかとパートタイムで近所で働き始めたが、短時間のため、学校から帰るともう帰宅している。買い物に出かけたりもしているが、いつ親が帰ってくるか判らない状況ではそういう行為には及べないため、自然とリヴァイの家ですることになっていた。リヴァイの両親は共働きで帰宅がエレンの家よりも遅かったからだ。更にリヴァイの両親は良く言えば子供の自主性を重んじる――放任主義だったため、自室を覗かれる心配はなかった。

(先輩を家に呼びたいから母さんに出かけろとは言えないし……どうしよう)

 リヴァイの家に行きたいとお願いすることも出来るが、彼の親の帰宅時間を詳細に把握している訳ではないから早く帰宅する日に当たる可能性がある。それに、このところの様子だとお願いしても断られそうな気がする。

(……って、何か、オレだけすごいしたいみたいじゃねぇか? イヤ、したくない……訳じゃねぇけど、単にもっといちゃつきたいというか、恋人らしい時間を過ごしたいだけであって、そっちのことばっか考えてる訳じゃねぇし、そもそも先輩が冷たいというか素っ気なくなった理由を知りたいだけであって、こう話し合いというかそういうのをだな)

 ぐるぐると考え込むエレンにチャンスが訪れたのはその後すぐ――数日後に母親が出かけるのでその日は帰りが遅くなると言われたのだ。早くても帰宅は夜の十時過ぎになるから、夕食は一人で食べてくれとのことで、丁度いいことに父親もその日は夜勤のため家にはいない。
 エレンは勇気を出して、自宅に来ないかとリヴァイを誘ってみたのだが――玉砕した。

「悪いが、その日は生徒会の会議があって遅くなる」
「……そう、ですか……」

 では、その会議が終わったら――とも言ってみたが、かなり遅い上に、その後、役員達と約束もあるので駄目だと更に断られ、エレンは引き下がるしかなかった。遅くまで大変ですね、無理しないでくださいね、という自分の顔が歪まないようにするのが精一杯だった。

(……何か、仕事と自分どっちが大事なの?って迫る理解のない恋人みたいになってんな、オレ)

 自分を一番に優先しろ、などとは言わないし、思ってもいない。ないが――正直に言って寂しい。リヴァイは生徒会の仕事も手伝わせてくれなくなったから、仕事中の彼も見られない。役員ではない自分が生徒会の会議に出席する訳にもいかないし、傍にいられるのなら七月の選挙で立候補しておけばよかったと今更ながらに思った。不謹慎な考えだとは判っているが、そうすれば、二期連続で生徒会長になった男と自然に一緒にいられたのに。
 意気消沈しながら迎えたその日、エレンは帰り際に担任に用事を頼まれた。面倒ではあったが、リヴァイとは一緒に帰れないし、家に帰っても一人で落ち込むかもしれない。なら、気を紛らわした方がいいだろう、とエレンは教師の頼みごとを聞いた。
 単純作業なのですぐに終わるとの教師の言葉通りに三十分もしないうちにそれは終わった。助かった、と礼を言う教師にエレンは首を横に振った。

「こういう作業は生徒会の手伝いをしたときにやったので慣れてます。もう、会議始まってるのかなぁ」
「生徒会の会議? 今日はないはずだが?」

 エレンの呟くような言葉を耳にした教師が怪訝そうに少年を見やった。

「え? でも、今日は会議だって――」
「イヤ、ないな。会議なら生徒会室か会議室を使うだろう? 今日は誰も鍵を借りに来てないから中には入れないはずだ。勘違いだろう」

 教師の言葉にエレンは混乱した。男が勘違いしたのだろうか――いや、生徒会長である彼が予定を間違えるのは有り得ない。彼の性格からしてもきっちりと確認をしているはずだ。ならば、彼が嘘を吐いたというのだろうか。

(何で? 他に用事があったから? なら、そう言えばいいのに、どうしてそんな嘘なんか――)

 エレンは混乱しながらも真実を確かめるため、教師に挨拶するとリヴァイの教室まで急いだ。
 上級生の教室に出向くのは居心地悪くはあったが、エレンは教室にリヴァイの姿がないのを確認して、教室に残っていた彼の同級生に男の所在を訊ねてみた。

「ああ、あいつならつい今さっき帰っていったけど――」
「今、帰った!? あ、ありがとうございました!」

 エレンは急いで校門へと向かった。急げばまだ追いつくかもしれない。

(何で、先輩、何で――)

 会議はなかった。そして、おそらくは用事もないのだ。用事があるならすぐに帰るだろうし、学校で何かやることがあってエレンの誘いを断ったにはしては時間が短い。考えられる可能性としては、下校中にエレンと出逢わないようにリヴァイは時間をずらして学校を出た、ということだ。教師に呼び止められなければ、エレンはもう下校していただろうから、リヴァイとかち合う可能性は低い。もしかすると、誰かと待ち合わせをしていて、それに合わせて学校を出た――という場合も考えられるが、どちらにしろ、エレンは嘘を吐かれたということになる。そんな回りくどい真似をしなくたって、都合が悪いならそう言ってくれれば良かったのだ。それとも、何か自分に知られたくない用事でもあるのだろうか。
 辺りを見回しながら校門を出て――エレンは固まった。大分先を歩いていたが、視認出来る距離にリヴァイはいた。そして、その隣には同じ学校の制服を着た女子がいた。エレンは頭が真っ白になり、瞬間叫んでいた。

「先輩のバカァ!」

 そのまま駆け出したエレンは自室に駆け込み、今に至る――。


「女の子と一緒に帰りたいからってオレに嘘を吐いて避けるとか酷くねぇ? 胸か? 胸を触りたいのか? 筋肉より柔らかい方がいいよな、そりゃ。イヤ、オレ、筋肉質じゃねぇけど! むしろ、もっと筋肉つけたいけど! 先輩、運動部じゃねぇくせに腹筋割れててずるいとか思ってるけど!」
「落ち着け、オレ! ああ、これってあのときかのあれか! 誤解だから、オレ!」
「責任とれって言ったことを気にする必要なんてなかったんだよ、オレ。先輩は責任とる気なんかもうないんだ」
「人の話を聞けよ、オレ! イヤ、オレってこういう奴だった! キレると他見えなくなるタイプだった!」

 男がああーと頭を掻いていると、少年は座り込んでいた体勢から立ち上がり、ドアに向かった。

「……こうなったら、責任をとらせてやる」
「イヤ、待て! 何をする気だ、オレ!」

 慌てて男が少年を後ろから羽交い絞めにする。

「オレ、もう先輩としかしたくねぇのに、ずるいだろ! 責任とってもらって出来なくしてやる!」
「イヤ、だから、何をする気だ、オレ!」
「踏み潰す!」
「踏み潰すって何を……ってナニをか! やめろ、オレ!」
「なら、切り落とす!」
「イヤ、それ犯罪だろ! オレを犯罪者にすんなよ! 全国放送でニュースが流れるだろうが、それ!」
「じゃあ、握ってへし折る!」
「だから、全部ダメだからな! 大体、オレ、腕力じゃ先輩に敵わねぇんだから、無理だろ!」
「……じゃあ、せめて蹴る」
「イヤ、それ、男ならしちゃダメだぞ。死ぬ程痛ぇぞ」
「……痛いのはオレだ」

 男が見ると、少年はまたボロボロと涙を零していた。

「……先輩」
「泣くなよ、オレ」

 よしよし、と男が少年の頭を撫ぜると、いやいやするように頭を振った。

「撫でてもらうなら先輩がいい」
「うん、オレも先輩がいい」
「……先輩がいいんだ。一緒にいるのも、触り合うのも、キスするのも先輩がいい」
「うん。判ってる。オレがそうだから。オレ、十年も先輩一筋だから、お前より一途歴長いんだぞ」
「愛情は時間じゃねぇ。オレだってすっげぇいっぱい先輩が好きだ」
「うん、知ってる」
「……先輩、もうオレのこと好きじゃねぇのかな。嫌になったのかな。だから一緒にいてくれねぇのかな。オレ、何かしたのかな。判んねぇよ」
「……オレじゃなくて、先輩に訊けよ」
「…………」
「判ってる。嫌いになったって言われるのが怖くて逃げたんだよな。でも、大丈夫だよ、オレ」

 十年後のオレが言うんだから大丈夫、と笑う未来の自分にエレンは泣き疲れて眠ってしまうまで涙を零した。


「……こっそり聞いてないで、入ってきてくださいよ、先輩」

 床で丸くなって眠っている過去の自分に毛布をかけてやりながらエレンが言うと、ドアを開けてリヴァイが入ってきた。

「一緒に止めてくれれば良かったのに」
「イヤ、俺が入った方がややこしくなるかと思ってな。十年前のことで踏み潰されても困る」

 そう言ってリヴァイは眠っている少年の髪を撫ぜた。

「しかし、クソ可愛いな、高校生のお前」
「……そんなこと言うと踏み潰しますよ?」

 むう、と唇を尖らせる恋人に男はくつくつと笑った。

「自分に妬くな」
「妬いてません。若い子の方がいいのかとか、未成年に手を出す気か、変態とか微塵も思ってないです!」
「妬いてるじゃねぇか、この野郎」

 そう言って、男は手を伸ばして恋人の両頬を掴んで貪るように口付けた。ぴちゃぴちゃと舌同士の絡まる音が響いて、んんっという恋人の甘い声がリヴァイの鼓膜を心地好く刺激した。

「……お前はいつになってもクソ可愛いな」
「……先輩は高校生の時の方が絶対に可愛かったです!」
「お前が俺を甘やかしたのが悪い」

 ちゅっちゅっと恋人の顔に口付けの雨を落としながら言うリヴァイに、成人しているのに子供っぽい仕種がよく似合うエレンはむくれた。

「高校生の時はそんなにふてぶてしくなかったのに……」
「そういう俺一筋なんだろうが、お前」

 先程の発言を揶揄するようなリヴァイの言葉に、ううーっと唸り声を上げて真っ赤になった恋人の頭をくしゃりと撫ぜて、男は飲み物でも持ってくると告げて部屋を後にした。

「………?」

 そのままキッチンに向かおうとしたリヴァイはふと何か物音が聞こえたような気がして神経を研ぎ澄ませた。

(俺の方の部屋か?)

 リヴァイ達が住んでいるのは賃貸マンションの五階だが、二人の寝室というか部屋は別々になっている。一緒に寝るから一つでいいだろうとも思ったが、一人になりたい時間があるかもしれないし、肉親や友人などが訪れた時、寝室が一緒では変に思われるだろうと考えて別々の部屋を選んだ。リヴァイとしてはカミングアウトしても構わないと考えているが、エレンは周囲に知られたらリヴァイの出世に響くのではないかと気にしている節がある。
 今後のことはこれからゆっくり話し合っていくとして――問題は何やら人の気配が自分の部屋からすることだ。

(物盗りか? 居直り強盗になられたら厄介だな)

 窃盗犯の侵入に気付いた場合は騒ぐのは得策ではない。騒げば危害を加えられる可能性が高いからだ。だが、今、別の部屋には可愛い恋人が二人いる――こういうとリヴァイが不実な男のようであるが、そちらに侵入されたら困る。人の気配に気付いて侵入者が出ていく可能性もあるが、その前に恋人が気付くかもしれない。恋人の性格を考えると、窃盗犯を黙って見逃すとは思えない。
 ならば、自分が対処するべきだろう。銃規制の厳しいこの国で窃盗犯が拳銃までは用意していないだろうし、所持しているなら刃物くらいだろうか。複数犯だった場合も考えて慎重に窺いつつ、自室に入ったリヴァイは中にいた人物を見て固まった。相手もこちらを見て呆然としている。

「………」
「………」
「……自分の呆然とした顔なんざ初めて見たな」

 自分――というにしてはまだ若い。おそらくは高校生くらいだろうその人物はリヴァイが十年くらい若返ったらこうだっただろう、という顔をしていた。いや、十年前の自分そのものとしか思えないし、おそらくは彼は十年前の自分なのだろう。恋人のそれを見ていたが、よもや、自分も過去の自分と出逢うとは思わなかった。
 後は――どのタイミングの自分なのかだ。

「オイ、信じられないかとは思うが、ここは十年後の俺の部屋だ。実家はもう出ているから、住んでいる家自体が違う。お前は俺からすれば十年前の俺だ。――理解出来たか?」
「……瞬間移動したら、タイムスリップまでついてきたのか。冗談なら面白くないな」
「俺がそんな冗談を言うとでも?」
「イヤ、思わねぇ。俺ならな」

 ふう、と溜息を吐く過去の自分を見て、リヴァイも溜息を吐いた。

「で、今のお前はどの時点の俺だ? エレンに生徒会の会議があると嘘を吐いたのがバレて、先輩のバカァと叫ばれた直後なら面倒がないんだが。ちなみにエレンは女と帰るために嘘を吐いたのかと勘違いしている」
「一緒にいたのは女じゃねぇ。クソメガネだ。丁度帰りが一緒になって、方向が同じだから並んで歩く羽目になっただけだ」
「判っている。俺だからな。クソメガネのことに関してはエレンは顔見知りだが、遠目だったから気付かなかったんだろう。で、どの時点だ?」
「……エレンを追いかけようと思ったら、信号が赤で足止めくらっている間に逃げられて、連絡を取ろうにも電話も通じず、一端頭を冷やしてからエレンの家に行こうと思って自分の部屋のドアを開けたらここだった、という次第だ」

 丁度エレンの方と同じタイミングだったらしい。ここにきてからのタイムラグはあるが、恋人の経験からいってここにいる間の時間はカウントされないだろうから、二人とも同じ時間に戻るだろう。

「取りあえず、エレンの誤解を解け。このままだとヤリ捨てされたと思って泣いたままだぞ」
「……泣かせたか」
「ああ。俺はよくよくあいつに関しては学習能力が欠けているらしい。いつだって余裕がねぇ」
「十年後もか?」
「十年後もだ。まあ、年相応にある程度は抑えられるようになったが。あいつは俺のことを甘やかす傾向にあるから、図に乗るなよ。負担をかけねぇように気を付けろ」
「判ってる。それで失敗した。初めてなのに、優しく出来なかった」
「あいつは酷くされたと思ってねぇぞ」
「あいつがそう思ってなくても、がっついて気絶させたのは事実なんだからいい訳出来ねぇだろうが」

 リヴァイがエレンを避けた――というか、接触をしないようにしたのは初めての夜でがっつきすぎたと反省したからだ。勿論、充分すぎる程丁寧に慣らしたし、気持ちよくなれるようにたくさん触れた。だが、実際に繋がったら思っていた以上に気持ちが良すぎて配慮とかそんなものが飛んでしまったのだ。エレンの「動かないで」も「怖い」も「やだ」も全部きいてやれなかった。泣きじゃくる姿に興奮すらした。最終的に気絶までさせた。
 翌日のエレンの態度からしてリヴァイに嫌悪や恐怖は抱かなかったようだし、どうやら行為自体は気持ち良いものとして認識したようだが、だからといって意識を飛ばす程するというのはやりすぎだろう。そう自省したリヴァイはしばらくは行為はしないと決めたのだが、エレンを見ると触りたくなるのだ――これは前からのことではあるが、身体を繋いでからはそれが顕著になった。触りたいし、キスもしたい。だが、そうしたら止まれなくなるかもしれない。またがっついて今度こそエレンに嫌われて二度としたくないなどと思われたら困る。
 触りたいが、触ってはいけない――そうした欲望と格闘していたリヴァイにエレンから誘いがきた。どう考えても二度目のお誘いで、しようというサインなのは判っていたが、口をついて出たのは会議があるという嘘だった。そうして、嘘を吐いてしまったために、エレンとかち合わないように時間を潰して下校し、同級生の女子と遭遇し、それを目撃されて恋人に誤解されるという事態に陥ったのだ。

「いい訳はしないで説明しろ。それで誤解は解ける」
「判っている。……泣かれるくらいなら全部話した方がマシだ」
「安心しろ。あいつはそれでも俺をカッコいいと思い続けるから。それと、鼻血のことは未だにバレていねぇ」

 その言葉に高校生のリヴァイは眉を顰めた。

「抹消したいと思っていることを当の本人が言うか」
「本人だから、だろう。俺しか知らねぇからな」

 エレンが気を失ってしまい、後始末を色々しているときにどういう訳かつつーっと鼻血が出てしまったのだ。慌ててティッシュで押さえたので汚すことはなかったのだが、気絶している全裸の恋人を前にして鼻血を出すなんて自分は変態だったのだろうか、との考えが浮かび、いや、決して興奮したから出たのではないと自分に言い聞かせた。今度は最中に出てしまわないかという不安があって二度目に踏み切れなかったというのもある。

「あれ以来、そういうときに出たことはねぇから、たまたまだったんだろう」
「それを聞いて安心した。――ところで、帰り方は知っているか? ドアを開けたらここだったんだが」
「ああ、それならまたドアを開ければ帰れる。どういう仕組みなのかは判らねぇが」

 以前、恋人の過去の部屋に行ったリヴァイはドアを開けたら現在の部屋に戻るという不思議体験をした。どうやって繋がっているのかは判らないが、ドアを開ければ来た時間に戻れるはずだ。
 なら、すぐにでも――という高校生の自分をリヴァイは止めた。

「帰るんなら、一つ試したいことがあるんだが、いいか?」

 怪訝そうな顔の自分に、また自分では見たことのない顔を見たな、と思いながらもリヴァイは自分の試したいことを提案した―――。



「エレン」

 優しく髪を撫ぜられて、その心地好さにうっとりとしていたが、耳元で囁きかけられる自分の名に――その声の持ち主に気付いて意識が浮上した。

「……先輩?」

 ゆっくりと瞼を押し上げると、こちらを覗き込んでいる恋人の姿があって、エレンの口元が自然に笑みを作る。リヴァイが優しく触れて傍にいてくれる――何ていい夢なんだろうとぼんやりとした頭でエレンは思った。

「目元が赤いな。冷やした方がいい。泣かせて悪かった」

 そっと目元を撫ぜる指の感触がとてもリアルで――現実としか思えなくて、今度こそはっきりとエレンは覚醒し、飛び起きた。

「え? え? 先輩? 現実? 未来に来たのは夢?」
「夢じゃない。ここは十年後のお前の部屋だ」

 確かに周りを見回してみれば住み慣れた自分の部屋ではない。おそらくは泣いているうちに疲れていつの間にか眠ってしまったのだろう。

「え? でも、先輩が何でここに? 先輩の部屋と未来のオレの部屋が繋がったんですか?」
「イヤ、そうじゃねぇ。繋がったのは未来の俺の部屋だ。ここにお前がいるって知ったから実験に乗ってみた」

 リヴァイが行ったのは未来の自分と過去の自分が一緒に部屋を出た場合どうなるか、だった。未来から自分の過去に行ったときはドアを開けたら戻ったので、過去から未来へ行った場合もそれが適応されると思われる。だが、未来と過去の自分が同時に一緒にドアを出た場合、過去の自分だけ戻されるのか、それとも未来の自分も過去に一緒に飛ばされるのか。それとも部屋から出ることは出来ずまた部屋に戻されるのか。
 結果としては、未来の部屋からは出られたが、過去に戻されることはなかった。そうして、そのままエレンの部屋へと移動したのだ。

「家の中だからセーフ判断なのか、一緒なら外まで行けるのかは判らねぇが。ただ、お前に早く逢いたいと思ったから移動出来る方に賭けてみた。まあ、失敗したとしても俺が元に戻るか未来の俺がついてくるかくらいの可能性しかなかったからな。早く、お前の誤解を解きたかった。まず、言っておくが、今日の帰りに一緒になったのはクソメガネで、たまたまだ。あいつとは帰る方向が一緒だから歩いていただけだ」
「クソメガネって……ハンジ先輩ですか? そうか、気付かなかった」

 ハンジというのはリヴァイの同級生の女子であり、生徒会で書記を務めているのもあって、エレンも顔見知りだった。以前、周囲から二人は恋人同士なのかと訊ねられた時、お互いに恋愛感情はかけらもないし、例え世界に二人きりになったとしても有り得ないね、とハンジに笑いながら断言されたリヴァイは彼女に蹴りを入れていた。リヴァイ曰く、全くその気はないが、そう思っていない相手に逆に言われるとムカつくという心理らしい。

「会議は――」
「なかった。咄嗟に口から出た嘘だ。お前と二人きりになるとまずいと思ったら勝手に口から出てきた」
「何で、まずいんですか? オレのこと……嫌いになりましたか?」
「違う。変わらずにお前が好きだ。ただ、二人きりになるとお前に触りたい欲求が抑えられなくなると思ったからだ」

 リヴァイの言葉にエレンはきょとんとした顔をした。

「それ、我慢する必要がありますか?」
「……触ったら、最後までしたくなる」
「……えーと、すればいいんじゃないでしょうか……」

 真っ赤になって俯いたエレンの余りの可愛らしさに思い切り抱き締めて無茶苦茶にキスしたい衝動をリヴァイは理性を総動員して堪えた。

「……初めての時、お前が泣いてもやめてやれなかった。お前が怖がってたのに、余裕がなくて気絶までさせて――だから、反省したんだ。触るとしたくなるから、なるべく接触を避けるようにしていた」

 リヴァイの言葉にエレンはぽかんとした顔になった。

「えーと、オレ、別に嫌じゃなかったですよ? そりゃ、多少は痛かったり怖かったりしましたけど、先輩優しくしてくれましたし――最後は意識なくしたけど、逆に迷惑かけたかなって思ったくらいで」
「優しく出来たのは最初だけだ。お前の反応が可愛くて、中に入れたら気持ちよすぎて、動くのを止められな――」

 エレンはその言葉にぎゃあと叫んで、リヴァイの口を塞いだ。

「そこまで具体的に言わなくていいです! えーと、つまりは先輩がオレを避けたり嘘吐いたのは、オレに触りたくなるからで、嫌いになったとか、そういうんじゃないんですね?」

 リヴァイが頷いたので、エレンはほっとして手を放した。

「良かったぁ。これで踏み潰さずに済みました」
「何を踏み潰すつもりだったのか、非常に気になるんだが……イヤ、嫌な予感がするから言わなくていい」

 心なしか顔色を悪くしたリヴァイに、エレンは両手を広げて見せた。

「先輩、ぎゅうしてください!」
「は?」
「今までの分、取り戻します! それに、触って慣れればいいと思います。大体、先輩と触れ合ってドキドキするのオレも一緒なんですから、先輩がしないって言われたら不公平です!」

 いや、俺の場合はドキドキというよりはムラムラなんだよ、とは空気が読めるリヴァイは言わなかった。

「今回、先輩に避けられて人に色々と意見を訊いたりして、オレも考えたんですけど、こういうのは、二人で話し合って進めていくべきだと思います。えーと、オレも頑張りますので、先輩も頑張ってください。大丈夫です、もうバレちゃいましたから言いますけど、この先十年は約束されてますから!」

 そう言うエレンにリヴァイは微笑とも苦笑ともとれる笑みを浮かべて、恋人の望むままその身体を抱き締めた。

(ああ、先輩の匂いだ。あったかい。気持ちいい)

 久し振りに感じたぬくもりにエレンが顔を綻ばせていると、リヴァイが耳元でぼそりと呟くように言った。

「……今日のお前の家に行くって話、今からでも遅くはないか?」
「………! はい、えーと、今度はゆっくりでお願いします。オレも落ちないように頑張ります!」
「なるべく、善処する」

 なら、帰るかとリヴァイは座っていた体勢から立ち上がり、エレンの手を引いて起こした。

「えーと、これ、一緒に出たら一緒に帰れるんですかね? 入ってきた場所は別々なんですよね?」
「どうだろう。だが、俺が自宅に戻されてもすぐにお前の家に行くから」
「はい。待ってます」

 そう言ってドアを開けようとした二人の前でそれが開いた。

「話し合いは終わったか?」

 顔を出したのはリヴァイで、後にエレンも続く。

「えーと、ご迷惑をおかけしました」
「気にするな。以前に迷惑をかけたからな」

 そう言う男に、十年後の先輩もカッコいいな、と改めてエレンは思った。前回、逢ったときはゆっくり見ている時間もなく二人で未来に帰ってしまい、自分も観察するどころではなかったのでこうしてじっくり見るのは初めてだ。先輩も十年後はこんな感じになるのか、と考えていると、不意に両目を塞がれた。

「そんなに熱く見るな」
「ええ? でも、先輩ですよ?」
「俺だけど、俺じゃねぇからダメだ」

 ええーっと唇を尖らせるエレンをリヴァイは離さない。来た時の悲壮感はどこにいったのか、目の前でいちゃつく二人に、社会人組は溜息を吐いた。

「あーでも、先輩はやっぱり、高校生の時の方が可愛げがありましたよ。初々しいというか」
「……そんなことばかり言っていると、あいつらの前で目隠して口塞ぐぞ」
「何でもありません。空耳です、先輩」

 出ていく二人に、リヴァイの方が若い自分へと小さな紙袋を渡した。

「餞別だ。高校生だと出費も痛いからな」
「え? 大丈夫なんですか? 未来から過去へものを持ち込むのって何かとんでもないことになりそうですけど」
「消耗品だから大丈夫だ。電化製品とかなら不味いかもしれねぇが」

 それを見たエレンの問いに男はそう答え、食べ物か何かなのかな、と思い、恋人も不審そうな顔をしてはいたが受け取っていた。
 じゃあな、と手を振る二人に同じように振り返して、エレンはドアを開けた――。


 戻った先はエレンの部屋だった。リヴァイとは別々にならず、一緒に戻ってこられたようだ。

「オレの部屋からはオレの部屋に出るってことですかね? オレが未来のオレと一緒に先輩の部屋に入って出たら先輩の部屋に出たのかも……」
「さあな。結局、仕組みは判らねぇし、どういった基準で繋がってるのかも判らねぇから、対処のしようもないしな」
「うーん、何か破局しそうなタイミングで繋がってるみたいだから、そういうすれ違いをなくせばもうなさそうですけど……」

 というか、破局しそうになるなんて早々あって欲しくないので、もう起きないで欲しいとエレンは切に願う。
 そうだな、とリヴァイも頷き、ふと、手にした紙袋の存在を思い出した。いったい、何を渡してきたんだろう、と未来の自分からの餞別を開けみてその場で固まった。

「何が入っていたんですか?」

 言いつつ、中を覗き込んで、エレンも固まった。

「……『極薄型!まるでつけていない感触!スキン』と『濡れないあなたも安心。ぬるぬるローション』だな」
「読まなくていいですから!」

 まるで、これからやるぞ!と言わんばかりのものを渡された事実にエレンは真っ赤になって頭を抱えた。いや、確かにこれからするのだが。やることを知られているのは恥ずかしい。

「まあ、折角もらったんだから使うか。新品だし」
「使うんですか! それ!」
「初めてのときだって使っただろう。用意してこなかったから丁度良かった」

 羞恥に涙目になっている恋人の頬に手を添えて、リヴァイは優しく口付けを落とした。

「今度は最後までちゃんと優しくする」

 そう甘く囁かれた少年が落ちない訳がなく――この後、渡された品を存分に使って、再び二人は身体を繋いだのだった。




《完》



2016.12.7up




 pixivの方で続編の要望がありましたので、書いてみました作品。タイトルは前回の続きならこれにするしかないだろうと思ってました。してる描写ないのに何かエロくさい気がします(汗)。前回はオレ、オレのやり取りが書きたくて出来たんですが、同じ人物だと書き分け表記が難しいので、画力あったら漫画にした方が判りやすかったなーと思いました。ちなみに今回は踏み潰すを入れたかったのです、はい。リヴァイ、帰りは靴どうしたんだ、とツッコミ入れられそうですが、靴は借りて帰りましたので大丈夫です(笑)。



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