sweet pool感想


 はい、ニトキラの第三作「sweet pool」です。例によってネタバレ全開で語っていきますのでご注意くださいませ。これも非常に購入を迷っていた作品でした。作画が余り好みでなかったのと、煽り文句が「恋ではなく、愛でもなく。もっとずっと、深く重い――」で、どうにも暗そうな雰囲気だったので、どうしようか長く迷ってました。でも、発表されたスチルが予想していたよりもずっと綺麗だったので、購入を決意。予約して買いました。ストーリーは都市郊外の学園が舞台。ごく普通の学生として淡々とした生活を送って来た主人公・崎山蓉司だったが、ある時を境に周囲が変化し始める。突然接触し始めてきた同級生に変わり者で有名な上級生。更に身体を苛む奇妙な苦痛と幻覚。一体、彼等の目的は。蓉司の周りで何が起こっているのか―――。と、いうような設定で話は進む訳ですが、内容はかなりホラーテイストです。肉片とか血とかかなり出てきますので苦手な方には要注意です。とはいえ、それほどグロくはないかと。
 問題はグロ以上にENDの痛さかと。暗いのは予想していたんですが、これほど痛いとは思いませんでした…(汗)。咎狗のシキ車椅子ENDがラブラブハッピーENDに思えるくらいの方じゃないと無理かと。ヘヴンのようなライトなBLやラメントのようなハッピーEND好きにはお勧めできません←…って、それ結城(苦笑)。ENDを見られるのは一応三人ですが、基本的にこの話は主人公蓉司と同級生の哲雄の物語なので、後の二人のENDはおまけみたいなものです。そして、どちらのENDも痛い…(哀)。
 でも、ストーリーはとても面白いです。前二作と同じライターさんなので、ホラーが苦手でなければ楽しめると思います。スチルも綺麗ですし、作品の雰囲気に合っていると思います。Yさんが「高校生に見えませんよ! 絶対にリーマンです!」と断言していましたが(笑)。でも、確かにリーマンに見えます…。音楽もいいのでさすがニトキラという感じです。音楽は「これは咎狗っぽくって、こっちはラメントという感じですねー」とYさんが曲別に言ってましたが、やはり、音楽に力を入れている感じがします。エンディング曲もわざわざ分けてありますし。ただ、セーブ画面の見にくさは何とかして欲しいです。そういうデザインにしたかったからしたんだと思いますが、もっとすっきりした方が見やすいと思うのですが。それから、このゲーム、選択肢らしい選択がありません。出てくるのは、本能と理性のみで、どちらを優先させるかで話の展開が変わる訳ですが、Yさんが「これ、どうなってるんですか? 画面が見にくくて、判らないんですけど」と選択時の画面の見にくさに駄目出しをしていました(笑)。一応、履歴でどちらを選択したか確認できるのですが、どっちを選択したか判らなくなってくるのが難点。
 結城は攻略サイト様のお世話になりましたが、修正パッチは事前に当てておいた方がいいそうです。というか、発売日にもう修正パッチUPってどうなんだろう…。後、初回限定パッケージが紙製だとは思いませんでした。綺麗ではあるんですが、保存には不向きではないかと。
 では、次からは個別ルート感想です。


■三田睦→一番最初に見たのは睦ENDでした。同級生、お友達設定に弱いので最初にいきました(笑)。名前の発音が結城と一緒なんですが「これでまことって読むんですねー。普通に読めなかったです」とYさんと言い合いました(笑)。つい、陸と読み間違えてしまう結城。同級生の睦は明るくて蓉司を気にかけていて、出だしは本当にいい子な感じなのですが、途中から変わっていきます。結城の最初の印象はわんこ攻め・リン+ケイスケだったのですが、いきなり黒スケに! 彼の「いい匂い」発言にはケイスケを思い出さずにはいられませんでした…。睦は段々と狂気に走っていくのですが、それは睦本人のせいとは言えないので「不憫な子ですねー」とYさんと言い合いました。蓉司と出会わなければ…というか、蓉司の特殊な体質(?)がなければ普通に生活送れただろうな、と思うと同情する余地があります。
 ENDがBADしか迎えられないのが痛いです。大食い設定ってこのためだったのか、と思い至ったENDでしたが、睦が後悔しているのが更に痛い感を増しています。哲雄ルートでは関係の修復、歩み寄りが見られるので救われるのですが、哲雄ENDを考えると切ないだけな気が……。

■翁長善弥→順番からいくと哲雄ルートの合間にやったんですが、哲雄は全部まとめて書くので善弥で。元組長の息子で変わり者として有名な上級生の善弥です。蓉司は病弱で留年してるから同い年なわけですが。蓉司に色々とちょっかいを出してくる彼は奇行が目立つ人ですが、舌のシーンで泣きそうになりました…。痛いよ! あれ! 結城はスプラッターなシーンとか大丈夫なんですが、リアルな痛みを感じさせるものが駄目なので辛かったです。
 哲雄や蓉司を拉致してみたり、蓉司を無理やり襲ったり、と加害者な彼ですが、一番の被害者でもある人です。「内なる存在」を無理やり身に入れられた上に出来そこない扱いされて、父親があの状態じゃ、おかしくなるのも当然かと。傍にいて世話してくれた姫谷の存在が彼の唯一の救いだったんじゃないかなー、と思います。振り回されている姫谷は不憫でしたが。ペットのイグアナの浴衣エピソードには笑いました。頑張ったね、姫谷…!(笑)姫谷とのやりとりを見て「何か、姫谷×善弥でいいんじゃ…」と思ったのは結城だけでしょうか。Yさんも「確かにありそうですねー」と言ってましたが。
 ENDは予想通りBADです。いや、善弥とのラブエンドなんて考えられなかったわけですが、蓉司がものっそい不幸なので痛いです。でも、善弥は本当に幸せそうに見えるので、彼だけはあれで幸せなんだろうなぁ、と。本能のみを突っ走っていくと辿り着くENDというのがらしいな、と思います。

■城沼哲雄→メインルート、同級生の哲雄です。無口、無愛想、何を考えてるか読めない哲雄ですが、ビジュアル的にとても格好良い人です。殴られた後でも綺麗な顔はずるいです(笑)。とにかく口数が少ないので「アサトよりもしゃべらないです」とYさんに言ったら、「アサトよりしゃべらないなんて、どんだけですか!?」と言われました(笑)。突如、自分にに近付いてきた哲雄に戸惑い、反発しながらも、どういうわけか引き寄せられていく蓉司ですが、二人の行動の基盤は生殖本能です。体内に宿る存在によってメス化された蓉司と理想に近いオスである哲雄は本能によって近付かずにはいられないわけですが、交流を続けていくうちにそれだけじゃなくなっていきます。「恋ではなく、愛でもなく」という煽りですが、ちゃんと恋愛感情は生まれているんじゃないかなーとゲームを進めていくうちに思いました。でも、無理やりはいかんよ、哲雄…!Yさんが「雨の中でしかも無理やりは駄目だろー!」と駄目出ししてましたが、結城も同意です。「それに触るな」発言には萌えましたが。哲雄は無口なのに、さらりと萌え台詞を放ちます。乱暴にして悪かった、とかのシーンも好きです。
 萌えシーンとしてはやはり、転寝が萌えます…! スチルも綺麗で、悶えます。ラーメン屋のシーンも好きなんですが、蓉司同様にYさんが「こんなとこ、行くように見えないですよねー。雰囲気的に絶対洋食なのに」と呟いてました。余談ですが、この時のスチルの蓉司のラーメンの緑の物体がレタスに見えます(笑)。スチル見ながら「ほうれんそう?」「いや、色的にきぬさやっていう考えも」とYさんと言い合いました。
 屋上でごはんとか、猫と戯れるシーンも何気ない日常がいい雰囲気です。Yさんが「にゃんこ可愛いー」と言っていて、「ポイントそこですか!?」と思わず突っ込みました(笑)。終盤、グロさが増していくわけですが、姫谷が手帳を読んでるシーンで「この説明を延々と読むのって辛いですー」とYさんがぼやいてました。「でも、これがないと設定まるっきり判らないですよ」「まあ、確かに姫谷がいなかったら、何にも判らないままですよねー」と言い合う私達。とはいえ、謎は謎のまま解明されないものが多々あるのですが(苦笑)。屋上に二人で逃げ込んだときのスチルは綺麗で好きです。影のキススチルでYさんが「何で急に少女マンガのような演出?」と突っ込んでましたが。では、次はEND別に感想を。
 本能ルート1・姫谷乱入END→見逃してくれよ、姫谷、と言いたくなったEND。彼の気持ちは判るのですが、蓉司のせいではないじゃん、と訴えたくなります。特に邦仁殺したの蓉司じゃなくて善弥ですよ、姫谷…! 唯一上屋のその後が判るENDですが、Yさんが「上屋はもっと、絡んでくると思ってました。何もせずに傍観して終わるなんて、今までの経緯からいうとない感じなのに」と腑に落ちない様子でした。そして、やはり謎は謎のまま終わる…。
 本能ルート2・心中END→「純正」を生み出した後の二人は死亡する、という設定通りのEND。個人的に「かまいたちの夜2」の真理が羽化して飛んでいくENDを何故か思い出しました…。Yさんが「産みっぱなしっていうのは駄目ですよ! 単なる同じことの繰り返しで解決してないし。姫谷は絶対に殺せそうにないし」と駄目出ししていたENDですが、このENDの二人が一番幸せそうに見えます。いや、間違いなく幸せなんでしょうけど、見ている側としては痛いです…(哀)。「永遠なんてない」とのやりとりが印象的でした。純正の子、どうなるんでしょう…。ある意味一番のホラーテイストなENDです。
 理性ルート1・同棲END→個人的に一番もやっとしたENDです(苦笑)。Yさんからももやっとするという同意を頂きました(笑)。サイト様が皆同棲ENDって書かれていたのですが、これって同棲って言えるの…? プールが出てきたときに「ああ、だからタイトルにpoolってつくのかなぁ」とどうでもいいことを考えました。蓉司は幸せだと言っていて、本当に幸せだったんだろうけど、痛い感満載のENDです。好きな人を守って死ぬっていうのはある意味とても満足で幸せなことかもしれませんが、やられた方はたまらないですよ、蓉司…。こうしてみると、お姉さん(+甥)の存在は本当に救いかと。ラストの哲雄のスチルは綺麗で好きです。哲雄のスチルはどれも格好良いですが。
 理性ルート2・グランドエンド→グランドエンドと聞いて、結城もグラウンドに行くんだと思ってしまいました(笑)。全ENDを見た後で出現する、別名記憶喪失ENDですが、これがトゥルーENDの模様。でも、やはりすっきりはしません。選択で蓉司が哲雄と一緒に生きたいと望むので、唯一蓉司が生存している可能性のあるENDですが、出てこないと意味ない気が…。哲雄は全部忘れてしまったのに、意識の底では覚えているので切ない感満載です。ラストの「蓉司」の呟きが前のENDの「哲雄」と対になっていて、より切なくなりますよ、奥さん! 後は脳内妄想しかないんでしょうね…(苦笑)。


 以上、個別ルート感想でした。謎は謎のまま終わるのとか、グロさとかはともかく、二人で生き残って一緒に生きていくENDがないのが辛い作品です。ハッピーエンドと言えるエンドが見たかったですよ、はい。どれも痛すぎる…。
 ただ、ストーリーは面白いので、グロ表現が平気でBADENDや切ない系ラストが好きな人にはお勧めです。ハッピーエンドスキーには向かないので、購入は考えた方がいいかも。



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