第9巻感想




 はい、進撃の巨人弟9巻感想です。表紙は獣の巨人VSエレン+ミカサです。実際にこのシーンはないのでイメージなんでしょうが、この巻で初登場の今までに登場してきていないキャラを表紙に出すのってネタバレだと思うんですが、大丈夫なのでしょうか。結城は余りネタバレを気にしない人間ですが(まあ、推理小説とかで読む前に犯人が判っていたらもう読みませんが)、コミックス派の人に「何これ? まだ見てない、早く読みたい!」と思わせて買わせる戦略?とか思ってみたり。いえ、進撃の巨人の表紙ってイメージというか、IFっぽいものが多いので、単純に本編ではない組み合わせを描く読者サービスなのかもですが。
 まずは104期メンバーのターンです。調査兵団に入団したのって21名でしたが、この前の壁外調査で亡くなった人っていないんですかね? 更にエレンと顔見知りというか仲が良いのは限られてくる訳ですが…今までに出てこない人達って単に絡みがなかったのか、それとも訓練場所が違ったのか。憲兵団入りしたマルロやヒッチが今までに出てこなかったことを考えると、訓練所っていくつかあって、エレン達とは別の場所から調査兵団に入った人もいるかと思うんですが。調査兵団に入るまでエレンを知らなかった新兵ってエレンのことをどう思っているのか気になるところです。
 サシャの耳の良さは凄いと思いますが、余りその特技を活かせていない気が。移動を促すナナバさんを初めて見たときに性別に悩んだんですが、この感じだと女性ですよね? 更にミケさんのことを呼び捨てにしているので同じ分隊長クラスなのか、もしくは同期なのか。壁が破壊されたと言ってますが、どうにも疑わしいです。超大型巨人や鎧の巨人は扉部分を狙って破壊してきたのに、壁に穴を簡単にあけるものなのか。そもそも、そんなに簡単に壁が破壊出来るならもっと前にやっていた気が……でも、現実に巨人がやって来たことは事実ですし、別勢力の仕業なのか。
 ミケさんの「人は戦うことをやめた時に初めて敗北する。戦い続ける限りはまだ負けてない」の台詞が印象的です。巨人が来たと思われる南――自分の故郷へ向かうコニーの辛くても確かめずにはいられない気持ちが痛いです。そして、南班を守るために一人で9体の巨人に立ち向かうミケさん。ここで何人かミケさんと行動を共にしていたら違ったのでしょうか。いや、結果は変わらなかったかもですが。
 リヴァイ兵長に次ぐ実力者だというミケさんですが……巨人を5体も倒した活躍が描かれていなくてちょっと残念です。そして、現れた獣の巨人。戻ってきた馬をわざわざ捕まえて投げつけてくるあたり、エレン達と同じ知性のある巨人――おそらくは中に人がいるものと思われます。更にミケさんを食おうとした巨人を止め、周りの巨人達を従えているように見えるのは獣の巨人の能力なのでしょうか? それとも、この巨人達だけが特別なのか。更に驚いたのは巨人でありながらしゃべったこと。巨人化したエレンは言葉をきちんと発することが出来ず、女型の巨人もしゃべらなかったので(アニの場合わざと話さなかったこともあり得ますが)巨人化すると話せないのかと思っていたのですが、この巨人は話せるようです。更に「同じ言語のはず」という発言からすると、普段は別の言語を使っているのか、それとも、壁内で話されている言葉の情報は伝わっていて共通だと知っていたのか。でも、立体起動装置の名前や戦い方は知らないんですよね? うーん。
 あっさり殺されてしまったミケさんに驚きです。いや、進撃はいつどこで誰が死んでもおかしくない世界ですが、ここにきてミケさんが死亡するとは思ってませんでした。他のキャラもあっさり死にそうな怖さが進撃にはあります。
 獣の巨人の話し方がちょっと子供っぽい気がするんですが、ひょっとして中身は子供なんでしょうか。エレンにしろアニにしろまだ少年少女という年齢なので、巨人化出来る年齢には制限でもあるのでしょうか。昔、見たロボット系のアニメで乗れる年齢に制限があったのですが、そういうパターンとか。子供に戦わせるしかない状況は嫌だと思うのですが。


 場面変わってサシャのターンです。サシャ父は何気に格好いいと思います。自分達の伝統を貫くためによそ者は排除したいサシャと、周りの変化を受け入れて他者とともに生きていくべきだと諭す父。どっちが正しいということはないのだと思います。ただ、世界は確実に変化していっているので、生き残るためには受け入れるしかないんでしょうね…。平和な世の中だったらまた違ったんでしょうが。そして、サシャの食い意地はここでも……別にトラウマがあったようには見えないので、やはり、サシャは生来の食欲魔人なんでしょうね。
 母親が食われるのをただ見ているだけの女の子の目がうつろで痛々しいです。馬にさえも敬語で話すサシャは自分の言葉遣いにコンプレックスがあるようで。同期二人のサシャに向けた「いいじゃねぇか、お前はお前で。お前の言葉で話せよ」も「今だってありのままのサシャの言葉でしょ。私はそれが好きだよ」もサシャのことを大事な仲間だと思っての発言だと思うので好きなシーンです。とるに足らない日常を思い出すのはそれが実は大切だったからじゃないかなーと。
 女の子を逃がし、ろくな武器もなしに巨人と立ち向かうサシャは格好いいです。再会した父親の「サシャ…立派になったな」と「お父さん、ただいま」もじーんとするシーンですが、やはり、どうしても芋女のイメージは抜けていません(笑)。サシャには盗み食いや食べ物に執着するシーンが必ず出てくるせいだと思いますが。サシャとくっつく人はエンゲル係数高すぎて大変そうです。


 次はエレン達のターン。何もしゃべらないニック司祭が人類の滅亡よりも重要だと思っている理由は明かされないようです。アニの残した水晶体のかけらからやはり、壁は巨人の硬化能力を使って作られたものだと判明。更にエレンを使って壁を塞ぐ作戦を立てるようですが、それは本当に可能なのでしょうか。巨人化を解いても作り出した硬化した皮膚が残せるのなら確かに可能ですが、超大型巨人、鎧の巨人、女型の巨人は個々の能力が違うようなので、エレンに硬化能力があるとは限らないのでは。というか、エレンは巨人化しても独自の能力を見せてない気がするので、何か別の能力があるのか。ただ巨人化するだけじゃ面白くないので何かあると思うんですけど←いや、面白い、面白くないの問題じゃありませんが。
 夜に移動すればいいと発案するアルミンはやはり、作戦立案能力に長けていると思いますが、同時に夜間に移動するって今まで考え付かなかったのが不思議なんですが。巨人は夜間に活動しないって判っているのなら夜間移動案は出ていも良さそうなのですが……。照明の技術が発達していない、障害物などがどこにあるか目視出来ないと危険とかその辺の理由なんですかね? そして、やはり、謎な地下室。グリシャもまた世界の謎を知っていたはずですが、ウォール教関係者でも、女型の巨人側でもないとすると、今は失われた幻の真実を知る一族の末裔とかそんな設定でもあるんでしょうか。
 ニック司祭の言う世界の真相を総て知る権利と話すかどうかの選択権を持つ人物。この流れから言うと、クリスタですよね。正直、クリスタがそんなに重要な位置にいるとは思いませんでした←これももう何度目。それよりも名前の判明したモブリットさん(モブハン推奨派には地味に嬉しかったり)とユミルの名に驚きました。ユミルってあの特別編に出てきた「ユミルの民」の「ユミル」なのでしょうか。彼女だけあえてずっと名前が出てこなかったことを考えると、無関係だとは思えないのですけど。
 そして、クリスタを庇うような発言をするユミル。憲兵団へ入団させたくて成績をわざと落としたのも、調査兵団へ入ったのもクリスタの推論だとクリスタのためのようです。ユミルは自分のためで、そうしたのは「クリスタの家」のせいだと言ってますが……やはり、これはガチなんでしょうか。いや、恋愛感情ではないのかもですが、ミカサがエレンに執着するようにユミルにもクリスタに対する執着があるのでしょうか。


 次は南班のターン。家族の名を呼びながら故郷の村を駆け回るコニーが痛々しいです。無人の村、家は壊されているのに血痕もなく人が食われた痕跡はなし。更に逃げるのに必要な馬は繋がれたまま――これの意味するところは一つしかないような気がするのですが。更にコニーの家にいた自分では動けない巨人。家が外側から破壊したというより、内側から破壊したような状態で、コニーにかけた声「オアエリ」は「お帰り」だとすると……これって、村の住人が発生した巨人だということでしょうか。知性はないように見えたので、エレンと同じ巨人化出来る、中に人がいる状況ではなく、外の巨人と同じ状態なのでしょうが。ということは、外の巨人も元は人間だったということなのか? 壁内に発生した巨人が獣の巨人の能力によって変えられたのかは不明ですが、獣の巨人に従っていたことを考えるとその可能性は捨てきれないので、今後、この能力を使われたら物凄くやばいと思うんですけど。いや、推論ですが。グリシャの注射の件もあるので、あれと同じような成分の薬の可能性もありますが、どっちにしろ、それを無差別にまかれでもしたらそれだけで終わりな気がします……。
 ちょっとだけ登場のリコ班長とハンネスさんも推論を裏付けている気がします。南と西班が合流。前述で何で夜間移動案が出なかったのか不思議だったんですが、想像以上に暗いのと、進行方向に活動停止した巨人がいたらぶつかる危険性があるんですね。更に暗闇に対する恐怖心が邪魔をするだろうから、兵士の精神が持たなそうです。
 調べた結果、壁に穴はなかったということに。ならば、巨人はどこから発生したというのか。自分の家にいた巨人に疑問を抱いているコニーをからかって止めるユミル。この様子だとユミルとライナーは何か気付いてると思われます。
 ユミルのライナーは女に興味がない発言で、ああ、これが同人とかでライナーはそっちの人扱いされている所以かと思いました(笑)。ライナーはクリスタと結婚したいとか思ったりしてるんだから、ただの冗談だと思うんですが。でも、ライナーには女の子より同性に「兄貴」とか呼ばれて慕われてそうなイメージがあります。ユミルの男に興味がなさそうは……本物っぽっくって洒落にならない気が。
 ユミル、缶詰発見。進撃世界に缶詰の技術があったのか、と驚きました←どんだけ文明遅れてると思ってたんだ、自分。いや、むしろ、食糧不足なので保存技術は物凄く発達してるのかもしれません。酵母の話もありましたし。で、ここで鰊は海水魚なのでおかしいのでは?という話題があるときいてようやくそれに気づいた結城です。それよりも、その後の文字が読めない発言に気を取られてたんですよね。缶詰の文字がライナーの言う通りに普通の人には読めないものだとすると、書かれていたのは壁が出来る前に使われていた言語=100年以上昔に失われた言葉なのかなーと。で、その考えだとその缶詰は100年以上前のものになる訳ですが、その時期に作られた缶詰が綺麗なまま残ってるとは思えないのですけど。例え、綺麗に残っていたとしても100年前の缶詰なんて絶対に食べたくありません(笑)。それか、単純にこの地方には昔の言葉が残っていたか、文字は読めないけど、ただのデザインとして使っていたとか考えられますが。
 そこへ、巨人襲撃の知らせが。巨人は夜間は動けないのでは?という疑問が湧きますが驚いている暇はありません。嘘予告のアイドルみかりんがこの巻で一番インパクトがあった、と思いつつ、次の巻へ手を伸ばしたのでした。



2015.4.6up




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