図書室のネヴァジスタ感想


 はい、タース・エンターテインメント作品・「図書室のネヴァジスタ」感想です。同人ソフトなので知らない方も多いと思いますが、買って損はないゲームだと思います。いつものごとくネタバレ全開で語っていきますので、これからプレイするという方はご注意くださいませ。感想をBLゲーム感想ページにUPしていますが、この作品、BLゲームというわけではありません。かといって、全くBLに免疫がない人にもオススメできないのですけれど。登場人物は男性キャラばかりでBL臭はめっさするので脳内妄想が得意な方にはいいかも。ただ、BLゲームを求めるなら他の作品を探した方がいいです。BL抜きで面白い作品なのですが。

 購入した切っ掛けですが、作品タイトルだけは実は結構前から知っていました。うろ覚えなのですが、何年前かのコミケでチラシ&体験版を配っていて、通りすがりに(笑)もらったという…。そのときは製作中でまだ完成されていなかったのですが、当時は体験版もやらずに忘れていて、本編をやってから体験版をダウンロードしてくるという今更っぷり。いえ、実は体験版にはめっさトラウマがありまして、PCを購入したてのバリバリの初心者時(今もいつまで経ってもビギナーですが)、「折角だから体験版とかやってみよー」とインストールしたらPCがフリーズしたのです。画面真っ暗でうんともすんともいわず、頭が真っ白になり半泣きで焦りまくったのは今でも忘れられない記憶です…ええ。以来、「体験版」と名のつくものは絶対にやるまいと心に誓ったわけですが、ボーナストラックが違うと聞いて、完成版クリア後体験版をやったという「体験版の意味なくね?」な事態に。購入迷ってる人は体験版をプレイしてみるといいかも。
 …って、話それましたが、そんなことがあったのもすっかり忘れた頃、某通販サイトで同人誌を買うことにしたんです。で、「同人誌一冊だけだと送料が勿体ない気がするから、他にも欲しいもの探してみよう」と見ていたとき、ネヴァジスタを発見したのです。「あ、これ、昔コミケでチラシもらった気がするー」と説明を見ていて、学園サスペンスという内容で面白そうだったのと価格もコンシューマゲームのベスト版くらいのお手軽価格だったので購入を決意、通販してみることに←きっかけ長っ!その後、特典付きの限定版(速攻で完売したらしい)があったと聞いて「それ欲しかったー!」と嘆いた結城です。

 さて、内容ですが、めっさ重くて痛くて切なさ満載です。やっていて「うがあああああ!」と叫びたくなることが何度も訪れます。勿論、コミカルなやり取りもありますが、やり切れなさが残るENDが多いのでやっていてじたばたしました。でも、メインルートをクリアしたときには絶対感動出来るはず。引き込まれるストーリーに圧倒されます。
 ストーリーの方ですが主人公は二人。そして、物語の軸となる五人の学生。彼らを取り巻く関わりの深い登場人物達。貴方は望んで、大人になりましたか――。嵐の夜に死んだ少年・御影清史郎。その事故について一通の手紙が彼の兄・津久居賢太郎の元に届く。手紙に招かれるまま弟の学校に訪れた彼は殴られ気を失い、目覚めたら五人の学生に監禁されていた。一方、突如、欠員補助の教員として学校に招かれた槙原渉は過去の事件から「何があっても生徒を信じる」と決めていた。その彼が入居したのは「幽霊棟」と呼ばれる教員寮。そこには五人の先客――生徒がいた。不穏な噂のある学生達、呪われた少年の死、不気味な古書――ネヴァジスタ。謎めいた事象の果てに聞いた少年達の本当の声とは――。
 と、作品紹介を見ながら書きましたが、この作品は二人の主人公・賢太郎と槙原の視点の章が交互に続くザッピング形式となっています。それぞれの事情が判ってとても面白いです。終盤、二人が合流した後も混乱することなく読めますし。ただ、それぞれの時間軸が前後するので時々「?」となることがありますが。例を挙げるとマッキーのパートで生徒が怪我して終わり、となったのに、次の賢太郎のパートではぴんぴんしたその生徒が現れるという…(笑)。ちょっと違いますが、乙女ゲームのイベントで喧嘩したキャラが通常イベントで何事もなかったように現れたときの釈然としない気分に似てるかも。この場合は時間軸がずれているので仕方ありませんが、片方のパートで謎だったことが「あ、これはこのときのこれだったんだ!」と謎が解けたりしてシナリオのリンクや伏線がすごく上手に作られていると思います。

 システム的には快適です。セーブ数も100あるし、機能も揃っているし、回想もスチルなしでもチャプターで全部見られます。このチャプターは分岐の表示も出るので攻略の際にはすごく便利です。音楽も綺麗でボーカル曲もすごくいいです。ゲーム中に絶妙のタイミングでかかるから気分的にすごく盛り上がります。演出がすごく上手い方なのだと思います。サウンドトラックがないのが残念ですが、ゲーム用の書き下ろしではなく借りてきた楽曲が多いそうなので仕方ないですよね…。
 スチルは可愛い系の絵柄で枚数は充分だと思いますが、好みが分かれるかも。結城は絵柄の許容範囲が広いのでどんと来い!な感じですが。立ち絵とスチルに多少の差が出るのはよくあることですが、若干デフォルメ調のスチルがギャグっぽいシーンでもないのに出るのにちょっと違和感があります。違和感といえば、作中で怪我をしたという描写があるのに立ち絵が無傷なのが気になりました。差分作るのは大変だと思いますが、違和感があるのでいっそ立ち絵出さない方が良かったかも。後、これは絵師さんの絵柄なのでしょうが、学生と大人の年齢差が余りない気が…年齢不詳設定キャラ多いのもそのためかと思ってみたり。まあ、後は好みの問題なので。
 ボーナストラックも十分楽しめる内容なので、コンプして良かった!という気になります。エンディングリストは便利ですが渡河の演出が判らず、どうやって出すのかめっさ悩みました。「そんな演出いらないから!」とサポートページ見ながら一人でツッコミ入れてみたり(笑)。後、気になる点はテキストが中央合わせなのと、キャラの台詞に「」がないこと。モノローグはフォントを変えてあるので台詞なのはすぐに判るのですが、キャラが多いので区分けで「」があった方が判り易かったかと。おそらく、ウィンドウの仕様でテキストが最大三行表示なのが原因なのだと思いますが。

 メインルート(久保谷)をクリアするのに結城は八時間はかかったと思います←もっとかかったけど、途中で分岐をBAD選択していくつか回収したのでそれくらいかと。どのシナリオもボリュームたっぷりで読み応えがあります。選択肢がどちらを選べばいいのか判りにくいですが、選択肢を潰していけばいいので時間かかっても自力でコンプ出来ます。結城は攻略サイト様のお世話ならずともコンプ出来ました。一気にクリアしましたが、これはじっくりやるゲームだと思います。
 キャラはやっぱり主人公・賢太郎スキーです。購入動機の一つにサンプルの賢太郎のスチルが良かったから、というのがありましたし。生徒ではレンレンが一番です。ルックス的には清ちゃんもめっさ好きですが……って、本当に黒髪短髪スキーだな、自分…!(笑)
 注意点としてはハッピーエンドと思えるENDがメインルート一本だけということ。受け手の受け取り方次第といっても個別ルートのENDはやっぱり「うがああああ!」と叫びたくなります。後、このゲームは全部のシナリオをやらないと謎が埋まりません。全ルートをクリアして、初めて物語が完成する感じです。切なくてイタイのが苦手な方は個別のラスト見るのが辛いと思いますが(実際、結城もきつかった)、結城はフルコンプのために頑張りましたです、はい。後、物語の黒幕(?)をこれほど「フ、フルボッコにしてやりてー!」と思ったのは初めてです(苦笑)。彼も被害者な訳ですが、鉄拳制裁を加えたいと思ったのは決して結城だけではないと思うのですが…(汗)。
 結城はメイン(久保谷)→和泉→辻村→白峰→茅の順でやったのですが、一番最後は辻村がいいと思います。個別ルートはキャラによって担当というか、主人公の関わり度が違うので、どちらの主人公が好きかによっても違うと思いますが、ラストは辻村がオススメ←結城は最後にしてませんけど、何となく進めた順なので。ルート的には一番痛いのは和泉な気がします。あ、久保谷が最初なのは制限で固定だからです。
 では、次からは各ルート感想を。ネタバレなので、見たくない方はご注意を〜。



■メイン(久保谷瞠)ルート→まず最初は久保谷ルートから。結城、実はこれが久保谷ルートだとは思っていませんでした。通常ルートいうか、久保谷ルートは別に用意されているのだとばかり。しかし、現れることなく終わり、クリア後、公式サイトでこれが久保谷ルートだと知って驚いたという…(笑)。言われてみれば確かに久保谷がメインなのですが、彼の物語の謎がこのルートクリア時に解き明かされないので気付かなかったんですよねー。彼の背負う過去的にここで解明されちゃうのは無理だとゲームをクリアした後なら判るのですが、久保谷は他ルートにも関わってくるし出番多いから個別はないのだと勝手に結論付けてました←ざ・勘違い。
 勘違いといえば、プレイ前は賢太郎のことも学生なんだと思ってました(爆)。いや、公式サイト見ないで購入して、通販ページにも学園サスペンスとあったので普通に主人公も学生なんだとばかり。完成版が届いて解説見て「高校生・学生寮・学園サスペンスときておいて何で主人公が生徒やないねーん!」と思わず突っ込んでしまいました←何で関西弁? 高校生がストライクゾーンなので趣味丸出しの発言でした。
 で、インストールして早速始めたんですが、冒頭の「その夏最後の嵐の夜――僕は死んだ」を見て火垂るの墓を連想しました。この台詞、ずっと清ちゃんのだと思っていたのですが、他の方の感想で「コンプして清ちゃんじゃないって判った」というのを読んでようやく台詞のキャラに気付きました…コンプしてたのに気付かなかったであります、隊長!←隊長って…。
 そのまま賢太郎のターンに進むのですが、この声1〜5って誰がどの台詞なんでしょうね? ヴォイスがついていたらすぐに判るのですが。このときのスチルで二人、タバコ吸ってるのですが、吸う余裕なんてあったのか、と思ってみたり。いや、逆にテンパってたのか…? そういや、ネヴァジスタって全年齢対象ゲームなのですが、コンシューマだったら最低でも12禁つけないとけない内容な気が(個人的には15禁くらいだと思う)←その前に未成年の飲酒・喫煙でアウトだけど。虐待、暴力描写もありますし(勿論、推奨しているわけではない)。毎回思うのですが、この手の制限基準ってはっきりしなくて不思議です。
 その後、マッキーのターンで選択を久保谷にしたんですが、理由は単純に選択肢が一番上だったから(笑)。取りあえず潰していこうと思ったので上からいったんです。丘の上学院って名前に森の中だったら森の中学院だったのかなぁ、とどうでもいいことを呟きつつ進めていくと左腕(石像)登場。「あー、何かかまいたちっぽいかもー」と勝手な印象を抱きました。でも、「かまいたちの夜」と雰囲気が似てる気がします。いえ、単に結城が初めてやった謎解きのノベルゲームがかまいたちの夜だったので、基準になってるだけかもしれませんが。寮内での怪談は普通に怖いです。このとき、マッキーが皆からいじめられていて不憫だと思っていたんですが、まだまだ甘かったです…。この後もどんどん酷い目にあっていく槙原先生に涙。何気に大人組はどのルートでも酷い扱いをされている気がします。
 次の賢太郎のパートで賢太郎がいい性格(笑)をしていることが判りますが、結城はそんな賢太郎スキーです。やっぱり、どこまでも主人公スキー。マッキーは?というツッコミが入りそうですが、マッキー眼鏡だから!(爆)……というのは冗談ですが(いや、眼鏡に萌えないのは本当だけど←新八は別格)、賢太郎の方が感情移入しやすいというか、理解しやすいというか。単にルックスが好みなだけという話もありますが(笑)。勿論、マッキーも好きですが、マッキーは傍にいたらいろんな意味できつい人だと思う。古川くんや元カノのゆっこちゃんの気持ちがプレイしてるとよく判ります。かといって賢太郎の彼女にもなりたくないですが(笑)。
 その後、マッキーの私服に吹き(いや、傷を隠すためなんだろうけど、あれは…)、賢太郎の小学生並みのあだ名の付け方に笑い(久保谷もまんまだったけど)、賢太郎の監禁生活にウハウハしました←え。公式で貫太郎の見どころは首輪と入浴だと言われているのを知って吹きましたが、確かに!(笑)結城がいいと思った通販ページのサンプルスチルも茅に脅されている賢太郎だったので人のことは言えないのですが、皆、賢太郎は虐げられているのが好きなのでしょうか…?←不憫。哀れな主人公…でも、賢太郎の危機は平気なのに、マッキーのいじめは痛々しいと感じるのはやっぱりキャラ性? 人徳?(笑)結城は基本主人公至上なので、酷い目にあって欲しくないのですが。
 ネヴァジスタの登場に後は何が書いてあるんだろうとドキドキしていたんですが、あっさり胡散臭い牧師に持っていかれました(笑)。神波は登場時から「何か胡散臭いよなー。裏がありそう」と思っていたんですが、個別ルートであれほどとは思わず驚いた記憶があります。でも、このネヴァジスタの内容、結局は詳しいことがこのルートでは明かされないので、ちょっと消化不良というか、学生たちの苦しみに感情移入しにくいところがあります。個別で解明されるからネタバレを防ぐ意図があるのだと思いますけど、もうちょっと詳しくやって欲しかったかも。
 そういや、このネヴァジスタ登場でホラー展開になるのかと思ってました。「書かれている順に人が死んでいく」とか「朝起きるとページが増えていてその通りのことが起こる」とか(笑)。実際には関係なく、マッキーの過去・古川君のことが明らかになっていく訳ですが。古川君のことはひたすら涙なのですが、賢太郎を責める気にはなれないんですよねー。彼はそれが仕事で、事実だったから。けど、その結果起きてしまったことについては背負うべきだし、抗議するマッキーの気持ちもよく判ります。でも、「地獄に堕ちろ」は教育者の発言としては頂けません。まあ、マッキーの毒舌は仕様ですが(笑)。絶対、一言多くて墓穴掘るタイプだと思います(笑)。
 その後の、マッキー監禁の痛々しさに「マッキー!」と叫びたくなりました…。皆さん、ここの灯油ぶっかかりスチルが宣伝用に使われていることに驚いてましたが、結城も後に知り驚きました。五人そろっていて使えそうなスチルが他にないからだと思いますが、パッケージにさえ使われない主人公二人が哀れ…(笑)。そして、おいしいとこを持っていく賢太郎。賢太郎とマッキーの立ち位置というか、子供たちとの距離感が違っていて面白いです。絶対にマッキーの方が親身に真摯に子供達と向き合ってるのに、賢太郎の方が近い気がします。ストーリーがあげては落ちるの繰り返しでどんどん引き込まれましたが、特に終盤の二人の対面にはやっぱり叫びたくなりました。この辺の演出もすごく上手いと思います。
 そして、賢太郎の監禁の謎が明らかになるのですが、一言。「清ちゃん、それ、死体遺棄じゃね?」さらっとスルーされちゃいましたが、すごく突っ込みたくなりました。それに、そもそも、手紙見せ合っていればこんなに事態は混乱しなかったのではないかと←誰にも見せるなって言葉に忠実に従った結果だけど。ネヴァジスタを読み進めていくうちに傷ついていく子供たちが痛々しいです。そして、自分達の秘密を勝手に書かれてなお、清史郎の望む通りにしようとする学生達にもびっくり。清ちゃんは本当に「少年」なんだなぁ、と。子供ゆえの潔癖さと純粋さと残酷さと傲慢さ総てを持っていて、真っ直ぐで全力投球。一昔前の少年漫画、後、BLの王道っぽい主人公にいそうだと勝手ながら思いました。
 賢太郎が手紙を書くだりからラストまでがめっさ好きです。清史朗の手紙が本当に「兄ちゃん、大好き」と言っていて、泣けます。屋上での一連のスチルも本当に大好きです。やっぱり、兄弟だけあって似てるよなあ、と思ってみたり。久保谷の「皆死んだら嫌だ」という台詞はその場にいた全員の思いだよね、と思いながら、爽やかなラストに安心しました。
 ……と、思ったらおまけでまさかの牧師!やっぱり、裏があったかと思いつつ、個別ルートで解明されなかった事情が明らかになることを期待してプレイ続行することに。


■鳥ルート→個別はまず小柄で可愛い容姿でありながら一番の男前に思える和泉咲からいってみました。というか、他のキャラへの分岐の選択肢が判らなかったのです。後に分岐が増えたことに気付きましたが、判り易かったので最初は和泉ルートに入りました。分岐に入るときのモノローグが不穏だったので、「え、何か、バッドテイスト? 最後に転校してさよならとかいうオチ?」と若干ビクビクしながら進めたのですが、自分の想像は果てしなく甘かったであります、隊長!(泣)
 結論から言うと、結城には和泉ルートが一番キツイルートでした。プレイされる人によると思いますが、ぶっちゃけると結城は近親○姦が苦手というか、出来れば避けて通りたい設定なのです(汗)。ブラコン、シスコン、ファザコン設定はむしろ大好物なんですが、あくまでも家族愛でおえたいのです←ちなみに血がつながってなければ大丈夫。
 このルート一番の見どころは記憶喪失の賢太郎!←そこかい!? 真夜中のお散歩シーンとか、和泉だけを信じる賢太郎とか、めっさ萌えました。後、このルートに限ったことではありませんが、脇もいいです。何気に獣医さんがいい味出していると思います。
 さっちゃんは余り表情変わらないのでクールに見えますが、その実熱い人なのだと思います。咲様と呼びたくなる人です(笑)。僕は和泉咲だって言い切る気高さがすごく好きです。このルートでは重要人物である年の離れた姉・花のため、自分のために父親が欲しくて、その父親だと思って慕っていた神波に真実をばらされて打ちのめされる咲が見ていて本当に痛々しかった。神波と花の過去のすれ違いは「お前らー!」と言いたくなりましたよ、はい。たら・ればは言っても仕方ありませんが、ここで花と神波が結ばれていたらまた違う道があったのでしょうか。
 屋上の咲を助けるシーンで、槙原の男っぷりに拍手したくなりました。ここでああいう台詞を心から言えるところがマッキーなんだと思います。ここでのやり取りで窮地に立たされる槙原のために潔く転校を決める咲はやっぱり男前。
 終盤、神波に復讐しに来たという咲に胸のすく思いでした。そして、ここでもおいしいとこを持っていく賢太郎。この後あっさり記憶が戻って「ここで戻るんかい!」と突っ込みましたが。久保谷に関しては絶対に殺せるわけはないと思ってました。「お兄ちゃん」だと思っていたんなら尚更。
 花との問題も解決して、未来を語ってようやく幸せになれそうだと思って安心しかけたのですが――「ここでワインかいー!!!!!」と画面に向かって叫びました。真面目に呆然とするENDでした…。「久保谷、何で割っとかなかったんだい!」と久保谷と原因の清ちゃんを恨みたくなりました…。そういや、清ちゃんのことがすっかりスルーされてる個別ルート。手紙のこととか皆いいんだろうかと思ってみたり。「……ひょっとして、個別ってみんなこうキツイオチなんだろうか…」と嫌な予感に苛まれつつも、その他の子の事情が気になって仕方ないのでまた別ルートへ。


■冬ルート→お次は俺様に見せかけてヘタレでツンデレ入ってる辻村煉慈です。五人の学生の中では一番の好きキャラです。いろんなルートをやる度にめっさ可愛い性格だというのが判ります。辻村煉慈ブログが本気で見てみたいです。
 この順なのはやっぱり何となくというか、狙ってたわけじゃなくルートに入ってしまったので、折角だから突き進もうと思ったから(笑)。でも、過去の経緯がよく判るルートなので、プレイした後、これは一番最後にやるべきだと思いました。担当はマッキーなのですが、マッキーとの距離の縮め方というか、懐いてからの煉慈の態度が判り易くて可愛さに悶えます。
 このルートは特に流れるような文章というか、テキストのリズムが美しいと思います。煉慈が小説家という設定なせいもあるのでしょうが、テキストがすごい好みです←いえ、どのルートもですが。序盤のレンレンのアゲアゲでいこうに笑い、マッキーの友人の言葉にすごく納得しました。「依存」「共依存」…生徒を依存させてしまうマッキーの言う通りに「信頼と依存の境目」は曖昧ではっきりと判るものではないと思います。この辺りのバランスが上手くとれなくて古川君とはああなってしまったんでしょうが、マッキーだけの責任にするのは酷かと。でも、見ていてはらはらするのは間違いないのでゆっこちゃんの選択は正解ですねー。
 雨の中、迎えに来るマッキーとのシーンが好きです。スチルも綺麗ですし。一番印象に残るスチルは前髪下ろし眼鏡煉慈スチルですが。眼鏡萌えのない結城ですが、あのスチルには萌えました。確かにあれなら著者近影詐欺ですね(笑)。
 レンレンは不器用でお父さんも不器用だったのだと思います。寛子さんとの関係は意外でしたが、レンレンって女の子の扱いも不器用そう…。くっついたら大切にしてくれそうですけど。
 そういえば、星座の話でまさかの☆矢ネタが。今の子判らないんじゃないかと思ってみたり←ちなみに結城は友人が☆矢好きだったので、基本設定くらいは判りますが、読んだことはないです。☆矢に限らず、ちょっとネタ古くないか?と思うとこがたまに出てくるので、意外にライターさん年上だったり、とか考えちゃいました←失礼。
 古川君メールが偽物だというのは判ってましたが、マッキーとの仲がこじれないかハラハラしてました。意外にあっさり好意的に受け取ってくれたのでホッとしましたが、僕のことかなり好き発言には笑えました。事実だけど(笑)。某牧師さんの黒さが結構早くにバレるのでそちらもドキドキでした。やっぱりフルボッコに…以下略。
 青いネヴァジスタの登場で、今回の賢太郎の立ち位置はこうなのか、と思いつつ、そんなに英語苦手かレンレン、と突っ込んでみたり。内容が判るにつれ、本当に泣きたくなりました。だって、煉慈に向けた物語ではなかったから。違うだろうな、とは思ってましたが、やっぱりレンレンのために彼に向けた物語であって欲しかったです。そして、一番可哀相なのはとばっちり食った和泉父なのではないかと…。後、過去回想の顔のない立ち絵が怖くてビビります…(汗)。
 そういえば、ネヴァジスタって全部英語で書かれているのでしょうか? そもそも、英語苦手な人は作ろうなんて思わないかもしれませんが、日本語のがあってもいいような…。赤いネヴァジスタを清ちゃんが書けるか疑問だったのですが、このルートで解決。しかも、出版関係者なら上手く材料や装丁を手配出来たはずだよな、と思ってみたり。
 吾郎氏の煉慈に対する複雑な感情は判るのですが、やり方が大人気ない気がします。無邪気な残酷さで人を傷つけてきた煉慈には自業自得な面もありますが、孤立するレンレンが不憫でした。マッキーも悲惨な目にあいますし。そして、やっぱり賢太郎はおいしいとこ持って行ったけど(笑)。辻村父の病室に行ったマッキーはやっぱり先生で男らしかった、うん。
 これで、ハッピーエンドにいくのかなーと思っていたんですが、「やっぱり、ワインかいー!!!!!」←絶叫。ぶちゃっけて言ってしまいますと、この後ゲームを続行するかちょっと悩みました。残る二人の結末がここで読めてしまったから。さすがに外さないだろうと思って、キツイなーと思ったのですが、フルコンプ魂と、残る二人の物語も知りたい欲求が抑えられなかったので続行しました。最初から終わりの判っている物語――と浮かんだ言葉に何か最遊記外伝を思い出しつつ、二人マッキー担当だったので残りは賢太郎でいってくれるのか不安に思いながら次へ。


■勇者ルート→お次は個人的に五人の中で一番優しくていい子だと思うハルたんこと、白峰春人です。過去に弟を失くし、そのことに負い目を感じてずっと自分を責め続けていた春人が、同じように弟を亡くした賢太郎と心を通わせて、もがき傷付きながらも前を向いて進んでいこうとするルートです。「お兄ちゃん」である二人の交流は傷の舐め合いというよりは同志、とか戦友という雰囲気の方が似合う気がします。全部マッキー担当かとちょっとビクビクしてたので、賢太郎担当だったのでホッとしました(笑)。…担当のわりにハルたんのこと2回も人質にしていますが。マッキーのときも思ったのですが、春人が酷い目にあっていると痛々しく感じます…賢太郎は見ていられるのですが(爆)。やはり人間性なのでしょうか。あ、個別ではありませんが、賢太郎が春人の頭を撫ぜるシーンが好きだったりします。
 このルート、古川君の事情がすごく判るルートで、彼に立ち絵があったことに驚きました。初登場時の立ち絵はあれでしたが、普通に爽やかでカッコいいよ、古川君…。清ちゃんとの絡みも多いので、彼のいろんな意味ですごい性格(笑)が垣間見れます。バルスとか、すごく清ちゃんらしい…。あかずの間トリオのやり取りはすごく楽しそうで、この後に訪れる悲劇の結末を知っているだけにめっさ切ないです。古川君を受け入れられなかった春人の気持ちも、それに怒る清ちゃんの気持ちも、それを受け入れて去ろうとする古川君の気持ちも考えると泣けてきます。そして、その後の神波の行動にまた「フ、フルボッコに…」以下略。
 後、このルートの賢太郎はかなり酷い目にあうのですが、本当に死ぬかと思いビビりました…←実際、衰弱死するENDもありますけど(泣)。でも、これが本当の監禁の実情なんだろうな、と思います。他のルートでは賢太郎が結構あっさり監禁生活を受け入れているというか、精神的にへこたれないというか、監禁によるダメージが余りないように見えますが、普通は見も知らずの高校生五人に理由も判らずに監禁されたら精神的に不安定になるのが当たり前ですよねー。監禁に対する認識が甘すぎるよな、そういうこと、清ちゃん考えなかったのかなぁ、とか思いつつプレイし、マッキーすら言うのを躊躇った古川君の遺書の話をあっさりしちゃう久保谷に「久保谷って本当に賢太郎のこと嫌いなんだな…」と苦笑いしました。いや、久保谷はわりとどのルートでもあからさまに賢太郎のこと嫌ってますが←清ちゃんが大好きな反動かなあ、と。賢太郎スキーだから弁護するわけではありませんが、確かに清ちゃんに冷たかったし酷いなぁ、とは思いますが、清ちゃんと別れたときって賢太郎は高校生だったはず。自分のことで手いっぱいだったろうし、幼い弟のことまで気にかける余裕はなかったんじゃないかと。賢太郎の回想の清ちゃんとの会話見てると本当に仲が良い兄弟だったのが判るのでまた切ないです。
 春人の過去の回想で、アイドルの古さに吹きました…いつの時代のアイドルですか。やっぱり、ライターさんって結構年が…げふげふ。戻ってきた春人に言った母親の言葉に深い意味はなかったのだと思いますが、言った言葉は取り返しがつかないんですよね。この辺のくだりで某クロックの大塚を思い出しました←春人の場合はこれほど酷くありませんが。落合さんの告白に「やっぱり、お前か! 神波!」と叫びながら、瞠君は恋人発言にめっさ引きました…。これ、事実だったら普通に刑務所行きだと思うのですが、そこで洗脳されてしまうのが神波マジック。他のルートのときも思ったんですが、ここまで神波の思う通りに運んでしまうのが不思議です。
 終盤、古川君の残した写真と手紙に涙が出そうでした。このルートだと古川君の結末が不明のままで終わるのでマッキーが不憫です。神波のところへ乗り込んでいく春人に「ノッティンガムの悪領主なんかじゃない、ハルたんは勇者だよ」って言ってあげたくなりました。賢太郎が「こいつは――命の恩人だ。――俺の英雄だ」っていうところがすごく好きです。賢太郎はやっぱり美味しいところを持っていくなあ、と。何だかんだいって、どのルートでも誰かしらを助けにきて成功してますが、このルートでは骨と皮になったはずなのにいつの間にそんなに体力回復したんでしょうか。ハルたんの部屋でこっそり筋トレしたのか…(笑)。
 ラスト、両親との距離もなくなり、レンレンとも友情を深め、このままハッピーエンドにいくかと見せかけて――「やっぱり、ワインかーい!!!!!」←絶叫。清ちゃんが連れていったとかじゃなく、何で割っておかなかったのか、久保谷、と言ってみても虚しいですが(泣)。ここまできたら最後までやるしかない、と残る一人へ。


■船ルート→個別ルートラストはクール眼鏡かと思いきや、天然不思議系何を考えているかよく判らない生徒会長の茅晃弘です。こちらも賢太郎担当だったのですが(公平に二人ずつ担当なのは頷けるのですが)、茅の担当が賢太郎なのが意外でした。他のルートをやったときの印象でてっきりマッキーになるんだとばかり。やってみて、マッキーのことを気にかけてたのって本当に清ちゃんが手紙に書いたから、というだけなんだなあ、と判り、ちょっと複雑だったのですが。後に久保谷までマッキーの一生がどうなっても眼をつぶれる的な発言をしていて、マッキーが不憫でした…(哀)。このルートではマッキーの扱いが特に酷い気が…監禁シーンは見ていて痛々しいです←マッキーの監禁はどれも痛々しいですが。
 茅は妄想というか過去の回想と夢と現実をごちゃまぜにしているので、どこまでが現実でどこからが茅の空想なのか判断がしづらいのでちょっと判りにくかったです。最初にあっさり賢太郎が殺されてしまうシーンが出てくるので、夢オチだろうと予想しましたが、茅ならやりかねないと思ってみたり(笑)。懐いてくる茅を見ながらいったいいつから気に入っていたのか首を傾げました。まあ、賢太郎は何だかんだ言いつつ、「お兄ちゃん」気質なので懐くのは不思議はない気がしますが。兄を壊してしまった茅と弟を亡くした賢太郎がマッキーと古川君を彷彿させる共依存めいた関係になるのは自然かと。
 賢太郎に「お前、携帯落とし過ぎ!」と突っ込みつつ進めたショップでの「シャアを知らない〜」発言にいや、賢太郎だってシャア世代じゃないだろ、とまた突っ込んでみたり。やっぱり、ライターさんって結構、年齢が以下略←しつこい。ここでのやり取りや、何気ない日常生活での二人の会話が好きです。言動の端々に賢太郎が「お兄ちゃん」だって滲み出ていて微笑ましいです。茅に限らず学生達との会話で清ちゃんとのやり取りが想像できるというか。
 屋上でのシーンがすごく好きです。何故に体育座り?(笑)いえ、このスチル可愛くてめっさお気に入りですが。賢太郎の大人気なさに笑いつつ、茅の過去を聞くわけですが、学生達の中で茅の過去が一番悲惨だなと思いました。ここまで凄惨な過去だったらおかしくなってしまうのも道理かと。先鋭恐怖症の理由も茅が「白峰春人」に執着するわけもここで判明し、茅にとっては唯一絶対の縋れるものが「白峰春人」で、でも、それがハルたんじゃないのもまた判って涙。「初めての友達」に執着する気持ちというのは結城にも判る感情なのですが、どうしたかったんだよ、久保谷、と突っ込んでみたくなったり。過去の経緯が判って、久保谷が何かと茅を気にする理由も判りましたが、態度を豹変させた茅に「ハルたんのせいじゃないのにー」と言いたくなりました。春人のために作られた船が壊されたシーンに胸が痛みました。
 そして、人間関係がごちゃごちゃになってこの先どうなるのかと思っていたら、ここで黒執事ならぬ黒牧師が登場。またしてもフルボッコに…以下略。ここで茅を連れ出して奇妙な同居生活が始まるわけですが、賢太郎の部屋に賢太郎らしさを感じました。そして、一言、「絶対一緒に住みたくねー!」(笑)。すごい綺麗好きというわけではない結城ですが、あの部屋、絶対片付けないと暮らせないと思います。絶対にGのつく生物がいそうだ…。チキンカレーの会話に笑ってしまいましたが、前述の通りに二人の日常会話が好きです。「貴方のような人を僕は見たことない」のやり取りに、やっぱり茅は天然たにし(笑)…もとい、天然たらしなのだと思ってみたり。ここのスチルで賢太郎って殴られた痕や怪我が似合う気がする、と改めて思ったりしました(汗)。マッキーだと痛々しさを感じるのに賢太郎の場合はやっぱり感じないのはどうしてなんでしょう…。
 携帯での会話にやっぱりハルたんはいい子だと思い、前向きになった二人の前にまさかの(いや、賢太郎の同僚が出てきた時点でこうなることは予想してたけど)告白記事。迎えに来たマッキーに「え、マッキー、監禁は? めっさ元気でぴんぴんしてるんですけど」と突っ込み、またもや妄想世界にいってしまう茅に涙。「誰か僕を助けてよ」っていう茅の叫びは本当に痛いです。そして、もう一つの約束を果たそうとする二人に、やっぱり助けにくる賢太郎。どこまでもおいしいとこを持っていく賢太郎はもはや仕様だと思われます。
 旗本退屈男は高校生は知らないと思います←結城だって見たことないし。実は賢太郎年齢詐称しているのか…(笑)。兄との関係も修復の兆しを見せ、白峰や久保谷とも友情を深められそうな茅に「いつくるか」と思っていたんですが、やっぱりきました。くる〜きっとくる〜ワイン!「やっぱり、きた! ワインー!!!!!」←絶叫。「久保谷、割っとけよ!」とお馴染みの言葉を叫びつつ、ラストの茅の賢太郎に向けた言葉に涙。ここまでで何か、HPを使い果たしたような、燃え尽きた感がありますが、おまけのルートを埋めてボーナストラックを開いてフルコンプするために残りを回収へ。


■おまけ&ボーナストラック→とりあえず、残った分岐を回収し、新たに発生した分岐を回収。追加のルートはEND3につきます。とりあえず、一言、「タイトル長っ!」(笑)。そして、まさかの中略!(中略)なんて初めて見ましたよ、奥さん! その後も「他で散々やっただろう」とか「主役の特権だから」とか英語のエセ通訳とかギャグ満載。そして、明かされる緊縛スキル持ちの清史郎の日常。感想としては「清ちゃんは絶対に弟にしたくねー!」(笑)。いえ、清ちゃんは好きですが、身内だったら絶対に苦労するはず……って、だから賢太郎はあんな目に(笑)。さっちゃんのつけたタイトルにAVというか、そのままBLにもありそうだと思いました(笑)。ギャグばっかで笑えるルートでしたが、でも、結局、問題は何も解決していないんですよねー。このルート続きがあったらどうなったんでしょう…。
ボーナストラック1→神波と久保谷の回想録。二人の歴史が垣間見れますが、久保谷と出会ったことがその後の人生を変えたってことなんですねー。まあ、花のことがあるのでいずれは踏み切っていたかもしれませんが、こうも思い通りにはならなかったと思うので運命の悪戯の怖さを感じます。
ボーナストラック2→メインルート後の後日談のような話。不思議なことに個別ルートでしか解決してないはずの学生達の問題も総て解決されているらしい(笑)。ここはパラレルと割り切るのが楽しむ方法だと思いますが、一つだけ大きな疑問が…「幽霊島事件って何?」皆、普通に口にしていて流れからいって、事件後→清ちゃん帰還→幽霊島事件→ボーナス2なのだと思いますが、めっさ気になります。幽霊棟とかけてるんだと思いますが、その関係の話をファンディスクとかファンブックで出して頂けないでしょうか、はい。このままじゃ気になって夜も眠れません…←寝てるけど(笑)。この話でことごとく皆の願いを当ててしまう清ちゃんに、学生達が傾倒していた気持ちがちょっと判った気がしました。そりゃ、絶対に好きになっちゃうよね、うん。体験版のボーナストラックと話がリンクしているのでやってみるといいかも。
ボーナストラック3→過去話。飾られている集合写真を改めて見てみると、このときの情景が思い浮かんでまた違って見えるかも。このときはもう決意してたのでしょうか、清ちゃん…。



 以上、各ルート感想でした。ストーリー的に重くて痛いのですが、読み応えがあるし面白いので興味がある方はプレイしてみてください。同人ソフトということで一般のソフトよりも手に入りにくいかもしれませんが、通販もしてますし、お値段分以上は絶対楽しめますので是非に。




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