樋口康雄×上田知華 LAST WORKS

上田知華 40周年記念コンサート
〜All About KARYOBIN〜
with 金子飛鳥ストリングス


・ひとり季節に取り残されて
数日後、「ひとり季節〜」について、知華さんから「66小節目の3、4拍のコード、チェロがEの音を取っていますが、コードとしてはAm7 ですか? それともC on Eでしょうか?」という質問がありました。樋口さんは、「コードとしてはAm7です。チェロが下からE,Cという和音をとっていますが、その下にピアノのすごい低いAのオクターブがあり、下からA,E,Cという Am7の和音のtenthの乖離(開離)和音となっていて、とても重厚な響きを作ろうと思っています」と回答しました。
知華さんは、歌については、これから練習をこなしていくつもりでしたが、1曲たりとも「これは大丈夫」などと、なめてかからないようにしようと心に誓っていました。

・近づく本番
本番が迫ってきたせいか、それから半月ほどは知華さんからメールが来ることはありませんでした。そこで樋口さんは、ご機嫌伺いをかねて次のようなメールを送りました。

知華さま

練習の毎日でお疲れのこととお察しいたします。もうわずかな日数しかありませんので少しドキドキですが、よい演奏ができてお客さんが喜んでくれるのを想像すると
楽しみで少しワクワクの感もあります。

さて、18日のリハの詳細などはもう少し先でしょうか? コンサートの当日は私関係のファンサイトの人たちが全国から8人ほど来ますので、ゲネが終りしだい開演前にファンの集いをやる予定です。なので、当日のスケジュールなども早めにわかればありがたいですが、まあ、18日のリハ後ということでしょうね。
そんなわけで、どうしてるか気になっていたのでメールしました。練習に関して何か手伝うことがあればおっしゃってくださいね。それでは。

樋口康雄

すると翌日、知華さんから18日のタイムスケジュールが添付された返信が届きました。そこには、「先週木曜日に、あれ?胸が痛いな、と思ったら風邪でした。鼻水も喉の痛みも熱も何もなく、ただひたすら咳。まいりました。ここ数年の風邪のパターンで、数年前も本番数日前にこのような状態になり、咳込みそうになりながら歌うという最悪の事態になりました。今回は、もう治るでしょうから、少なくともその最悪の事態だけは免れそうです」と書かれていました。と同時に、「当日の お天気が大荒れ!みたいなことにならないことを祈って、引き続き頑張ります!! 」と、コンサートにかける意気込みも綴られていたのでした。

to be continued


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