坂東玉三郎 チャリティーコンサート
思い出のスタンダードと共に

2011/07/30


坂東玉三郎チャリティーコンサート 八千代座への道 

7月30日、八千代座で行われる「坂東玉三郎チャリティーコンサート」へ行った。
八千代座は、足の便が悪く、公共の交通機関を利用して行くのは難しいため、公演専用バスで現地に向かうことにした。

朝9時40分、博多駅からバスに乗車。空港発10時のバスに乗るのも厳しいので、前泊する羽目になった私(トホホ)。同乗の参加者は、50代後半以上の年配のご婦人がほとんど。一人参加の人が多く、車内は至って静かだった。が、空港から10人前後の参加者が乗り込んでくると、平均年齢は一挙に10歳以上若返った(笑)。おそらく顔なじみのファンの方々なのだろう、話に花が咲き、車内には、これから始まるコンサートを心待ちにする玉三郎さんファンの喜々とした雰囲気が、いっぱいに満ち溢れていた。

のどかな景色が広がるなか、バスは1時間40分ほどで八千代座に到着した。 


八千代座の入り口では、地元のスタッフが開場の準備を整えている最中だった。向かいには、物販のテントや休憩用のテントが並び、私たち参加者は、時間まで土産物を物色したり、付近の商店を冷やかしたり、記念撮影をしながら開場を待った。



山鹿の町のいたるところには、この公演のポスターが貼ってあった(私の宿泊先にも貼ってあった)。案の定、ポスターは樋口さんの名前のままだった。しかし、八千代座内に貼ってあるポスターも樋口さんの名前のままだったのには驚いた。さすがにパンフレットは修正されていたが、よそに貼るぷんはともかく、八千代座内に貼るポスターくらいは修正するべきではないだろうか? 所詮、音楽監督なんて、その程度のものなのかもしれないが、音楽監督であろうがなかろうが、名前というのは一文字間違えただけでも失礼にあたる。私は、いくらなんでも、これは多田さんに対して失礼ではないかと思った。 

開場前、受付で31日のチケットを払い戻してもらった。対応してくれたのは、事情をまったく知らないお手伝いの人。この人に文句を言っても始まらないので、何も言わずに8000円のチケット代だけ受け取って、その場をあとにした。

正午の開場と同時に小屋の中へ。他の人たちは、開演ぎりぎりまで、外で買い物や見学を楽しんでいるようだったが、私は一刻も早く、会場内に入りたかった。というのは、八千代座は座席の並びが特殊で、チケットを手にしても自分の席がどこかわからなかったので、まずは、座席を確認したかったのだ。案内された場所は、舞台ほぼ正面の前から7列目の升席。ひとつの升には、前3人、後ろ2人の計5人分の座布団が並べてあり、座布団には座席番号が縫い付けてある。枡は思ったより広く、足も崩せそうでちょっと一安心。そして、何より客席から舞台までの距離が近いのがいい。

そしてもうひとつ。私は早く会場に入って、今回のコンサートの編成を確かめたかった。ステージの上には、ピアノ、ドラム、ベース、サックス、ギターが並んでいた。この時点では、わからなかったが、これにバイオリンが加わった総勢6名が今回の演奏メンバーだった。なんとなくバンド編成になる予感はあったので、これには驚かず。

一息ついてから、ここまで来たのだから、八千代座内部の写真を撮っておきたいと思い、係の人に写真撮影を願い出た。「本当はお断りしているんですが、開演前でしたら撮影してもいいですよ」とお許しをいただけた。ラッキー♪

こちらは2階席後方にある設備。
古い建物に、なんだか似つかわしくない感じ(笑)。








開演間近になると、客席も徐々に埋まってきた。この地の利で客席は、ほぼ満席。
恐るべし玉三郎人気!
これは2階から1階升席を撮影したもの。左手に花道があり、その向こう側に椅子席がある。また上手側にも椅子席がある。1階の升席と2階席には傾斜がついており、後方の席でも舞台が見やすくなっている。

観客の中心は中高年以上の女性だが、若い女性の姿もかなり見受けられた。BLITZでは和服の観客をかなり見かけたが、八千代座では和服の観客を見つけることができなかったのは、ちょっと意外だった。まあ、この暑さだし、正座しなきゃだし、和服で来るには、相当、覚悟がいるってことだろう。
開演前、大量のサイリウムが観客に配られた。ファンのかたが用意してくださったものらしく、アンコールの時に、みんなで振ってくれということだった。八千代座でサイリウム、いいじゃないですか!BLITZでも、やってくれたらよかったな~。

午後1時。司会者から開演を告げるアナウンスがあった。そのなかで「歌舞伎公演ではありませんので、掛け声はご遠慮ください」という注意があった。BLITZのレポで、私は「玉三郎さんのファンから絶妙のタイミングで掛け声がかかった」と書いたが、それは1日目の公演のこと。実は、2日目は間の悪い掛け声に、あきらかに玉三郎さんが歌いにくそうな表情を浮かべているのが見て取れた。だから、このアナウンスには妙に合点がいって、思わず笑ってしまった。そういえば、会場で言葉を交わした玉三郎さんのファンの方が、「玉三郎さん、結構厳しいのよ。足を広げて見てたりすると怒られちゃうから、いつもスカーフ持参で足を隠すようにしているの」という話を聞かせてくれたが、玉三郎さんは、ファンに対しても言うべきことは、はっきりおっしゃる方なのかもしれない。でも、それは、玉三郎さんがファンの存在を認めてくださっているからこその発言だと思う。私は、そういう玉三郎さんとファンの関係を羨ましいなと思う。

さて、司会者が舞台袖に退場し、いよいよ複雑な思いで迎えた八千代座のコンサートの始まりである。

続く