初期のシングアウト
下のYouTubeの映像は、テープに収められていた69年7月から10月のライブでシングアウトが演奏していた曲である(※Youtubuの映像は削除される場合があります)。このほかには「朝日のあたる家」や「ひょっこりひょうたん島」なども演奏している。日本版フィフィス・ディメンションとして活動を開始したと言われているシングアウトだが、テープに残されている7月、8月のライブではフィフィス・ディメンションのナンバーは演奏されておらず、当初から日本版フィフィス・ディメンションをめざしていたかどうかは疑問だ。むしろ彼らは、「自分たちはいろいろなタイプの曲を演奏するグループだ」ということを強調しており、実際、ジャズから民謡(フォークソング)まで、当時流行していた曲は、なんでも演奏していて、これといって目指していた音楽性があったとは思えない節がある。そんななか非常に興味深いのは、10月のライブでフィフィス・ディメンションのナンバーを演奏するシングアウトをイベントの司会者が絶賛している点だ。もちろん、司会者は場を盛り上げるために彼らを持ち上げているに違いないのだが、それにしても「本家よりうまい。今日のライブのいちばんの聞き物」とまで言っている。実際、シングアウトの演奏は、なかなか聴き応えのあるものであった。こうした周囲の反応を敏感に察したシングアウトは、この頃から日本版フィフィス・ディメンションを意識するようになったのであり、当初からフィフィス・ディメンションタイプのバンドを目指していたわけではないと考えるのは私だけであろうか?
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