reikotさんの「カルメン」レポート

青年座ミュージカル「カルメン」を鑑賞して

この作品を鑑賞するのは初めてです。公演当時東京で一人暮らしをしていたにもかかわらず見逃していることが悔やまれてなりません。
フランス語のオペラではなく、青年座が日本語で演じるミュージカル「カルメン」とはどんなものか? と興味津々で拝見しました。といってもカルメンのストーリーはうろ覚えですし、登場人物もおさらいしておきたくて、あらかじめオペラのビデオを観て、一応原作も読んでおきました。

2幕、計8場に凝縮された舞台にグイグイ引き込まれ、ストーリーを知っているにもかかわらず、次はどうなるの?どう演じるの?と心躍らせながら一気に鑑賞し、終演後ははぁ〜っとため息が出ました。(私だけでなく皆さん同じ感想だったと思います。)

圧巻だったのはもちろんジプシーのダンス! タンバリンやカスタネットも多用して踊るシーンはどれも迫力があり素敵でした。スペイン舞踊のプロが加わっているとはいえ、他の役者さんも非常に良く踊れていて感動しました。生で間近で観たかったです。ただ、見せ場としての印象が強い分、何回もダンスシーンが出てくると、少し長いと感じたり、またか…とちらりと思うこともあり、私にとってはtoo much気味であったことも確かです。

お芝居として見応えがあったのは、第2幕の1場と2場です。特に1場はオペラならリリアス・パスティアの酒場のシーンなのが、ここでは原作通りに老婆が営むカルメンの部屋という設定になっていて、カルメンとホセが愛を確かめ合う様子がじっくり演じられているのが良かった! ホセの帰営を促すトランペットが、カルメンのカスタネットダンスに被さるところが切なかった。ホセがカルメンの元を去ろうとするシーンの音楽は、樋口さんのオリジナルでしょうか? この場面の他にもオリジナルかな?と感じる曲がいくつかあり(カルメンの全曲を知らないので聞き分けられない)その度にドキッとしました。

2場は暗い山中ですが、オールキャストが出てきて豪華だし、それぞれの心情が丁寧に歌われていて感動的でした。この場のラストはオペラでは闘牛士の歌が流れるのですが、この舞台ではハバネラだった記憶があるのですが、合っているでしょうか?  あくまでもカルメンにフォーカスした舞台だな、と納得しました。


逆にそれに続く3場は物足りなかったです。闘牛場のシーンは、オペラでは闘牛士達が華やかに入場してきて、観客たちが熱狂して迎えるところが見所なので、楽しみにしていたのですが、そのシーンは割愛? あれっと思っているうちに殺しのシーンに移ってしまい、少しガッカリでした。
でも、その後調べたところ、あの場面はオペラでは最も花のある見せ場だが、それだけにお金がかかるので、小さい規模の公演ではどう演出するかがが課題なのだとか。それならカルメンの生き様を描く舞台の演出として当然のことなのかもしれません。

実は上映会ではアンコール上映が予定されていて、もちろん私はカルメンの再上映を望んでいました。あわよくば、もう一度じっくりと映像を楽しんで(確認して)感想を書きたいと思っていたのですが、急激な新型コロナ感染拡大の影響で上映会は延期になったままです。本当に残念でなりません。というわけで記憶があいまいなまま勝手な感想を述べて失礼いたしました。

失礼ついでに、樋口さんに質問させてください。
そしていつかまたお話できる機会があれば、答えを聞かせていただきたいです。
●ミュージカル「カルメン」のお仕事は楽しかったですか?
●カルメンの音楽作りにあたり、舞台監督や演出家から注文などはあったのでしょうか?
●樋口さんご自身は青年座のカルメンをどう作り上げようと思いましたか?
●ビゼーの作曲についてご意見を聞きたいです。
●本番の舞台には何回足を運ばれましたか?

感想文を樋口さん宛に直接書く、などという稀有な機会に恵まれたおかげで「カルメン」に初めて深く取り組みました。原作を訳者違いで2冊読み、オペラのビデオも2種類、対訳付きのオペラ音楽も聴き、単語(フランス語)の意味を調べたり、スペインの地理や文化的背景も調べたりしてとても面白かったです。
家族から「何をそんなに勉強しているの?」と聞かれたくらいです。
こうやって少し学んだおかげで、カルメンの世界に入っていけた気分です。そして完全にはまってしまい、まだまだ私のカルメン研究は続きそうです。