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パセリと野の花/石川セリ

    
みずみずしさにあふれた珠玉の作品集

1972/11/5
キャニオン C-3013 (LP)

『ABC/ピコ・ファースト』と同時期に制作された『パセリと野の花』は、音も編成もそっくりで、双生児のようなアルバムだと言われています。たしかにその通りなのですが、私はそれとは違う意味で、この2枚を双生児のようなアルバムだと思っています。

私は『ABC/ピコ・ファースト』と『パセリと野の花』は、2枚そろってはじめて完結する対のアルバムだと思っています。
ビートルズのアルバム、『ラバー・ソウル』のなかに収められているジョンの"Nowhere man"とポールの"You won't see me" 、ジョンの"Girl"とポールの"Michelle"はそれぞれ対をなす曲です。また、ジョンの"I found out"のアンサーソングがポールの"Too many peaple"であり、この曲のアンサーソングがジョンの“How do you sleep”であるとも言われています。ちょうどそれと同じように、私は「あのとき」と「あなたに夢中よ」、「悲しみは青い馬にのって」と「鳥が逃げたわ」、「夜明け前」と「天使は朝日に笛をふく」、「きみだけさ」と「聞いてちょうだい」は、テーマや歌詞において対を為す曲だと思って聴き続けてきたのでした。

『ABC/ピコ・ファースト』と同じ系譜にある『パセリと野の花』は、ボサノバ、ジャズワルツ、60年代ポップスなどのエッセンスをとりいれた、どれも石川セリという歌手を知り尽くしたうえで提供されたとしか思えない良質のポップスです。きっとこの手の女性シンガーが、本来、彼の趣味に合っていて、こういう仕事にはノったということなんだろうなと想像しています。



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