ポップス、スクリーン・ミュージック のりにのってる20才のピコ 
1973年 ライトミュージック 発行月不明
 フォーク向きの人、ロック向きの人、シンガー=ソング・ライターという名称がぴったりな人。
 樋口康雄、歌、演奏、作詞、作曲、編曲、何でもこなす彼を、どう定義したらよかろうか。“マルチ人間”と呼ぶにはあまりにも人間的すぎる。
 昭和27年10月13日、東京に生まれる。麻布高校をへて、上智大学に在籍。
 “スィング・アウト”に参加、“ステージ101”に出演したり、「ABC Pico First」を発売、現在、TV、ラジオの企画、構成、映画音楽、CM・ソングと多忙な生活を送っている。
音楽とは何ゾヤ!
 最近、“哀愁のシェリー”に出演していたトリディー・ヤングという女優のシングル盤化された曲をアレンジしたり、ロマン・ポルノ路線から脱皮をはかる日活映画“哀愁のサーキット”の音楽を担当。
 又、東宝「赤い鳥逃げた」でも音楽を担当している。映画音楽と言っても、従来の映画があっての音楽という形式をやぶり、クランク・イン前に、監督とメイージ創りをした上で、曲作り、音作りをしたという本格派。
 愛称ピコから想像する彼は、マシュマロみたいに、やわらかくて、甘い雰囲気を持った中性体だが、「ベートーベンには勝てないナ」なんて、なにげなく意味有りげな事を言う。
 仕事に関する話を聞いても、樋口康雄とは、職人なのか、芸術家なのか、オタマジャクシの遊びが好きなのか、判断つけがたい。

樋口康雄
 LP「ABC Pico First」を発売したからといって、TVに出る訳でなし、そうかといってステージ活動に終始する様子もなく、それ程、生真面目に学校に行っているようでもない、というと毎日レコードばかり聞いて、家に閉じこもっているのだろうか。
と思えば、ほとんどのレコードというか故意に他人のレコードを聞かないと言う。クラシック畑からPop's界に移住した音楽家程、ぎらぎらの音楽感を光らせれるものなのだが…。

Pianissimoにもどる