桐秋さんの「聴く会」レポート

楽しい会でした。皆さん、お世話になりました!

レポート、と言うほどでもないですが、まず、あの国際フォーラムのだだっぴろい吹き抜けのホールに掲げられた電光掲示板、そこの「樋口康雄を聴く会」の文字、すごかったですね。

子供の頃、「鶴吉」を皮ぎりに「樋口康雄の音」をなんとか録音したいと、NHKの新しいドラマが始まるたびに期待して録音の準備をするのですけど、なかなか現れない。数年に一回、「かぐや姫」や「幕末未来人」みたいな短い番組があるだけで、(それも、当時、番組の音楽担当についての事前告知があるわけでもなく、出会えたのは幸運みたいなもの)まるで砂浜で金のカケラを探すようなものでした。録音した音楽を、下手なピアノで音をたどってみたり・・それにしても、どこの誰とも知れない、現れたと思ったら消え、つぎにいつ現れるかも、このまま消えてしまうかもわからない、存在した証拠といえば、古びたカセットテープ数本のみ・・という状態がずいぶん長くつづいていました。
なので、この「樋口康雄」という4文字には、その頃感じたミステリアスで不思議な感じが(音楽そのものもなんか不思議でしたしね)、まだソコハカとなく漂ってるような感触があるのですよねー。それが、電光掲示板にデカデカと・・。いやもう感無量。(笑)

そして、大学時代、偶然古レコードで「abc」を手にしていながら、「ピコ」がすごく売れてたアイドルだったということも一年前まで知らなかった私。(歌手デビューに挫折した若者かと思ってた←大笑い)。こんなケースは珍しいだろうな(笑)と思いながら、「ピコファン」の方々とのはじめての対面の場へむかいました。

(ここからはドキュメント調で)
妹をつれて、開場15分前に、会議室前に行ってみると、吹き抜け部分を見下ろす廊下に、2,3人のご婦人方。
もしかして・・と声をかけてみると、やはり、「guです。」「ああ、レコードを送っていただいたという・・」「そう!」うーん、やはりネットはすごい。初対面なのに、もうすっかり語りつくしたあとのような会話の通い合い。まもなく、ペットボトルをかかえて女将さんご登場。SACHIKOさんとご一緒。「あ、いま鍵を・・ちょっと待って」そのうちにも、会議室の電光パネルの「樋口康雄を聴く会」の文字に、「すごいすごい」と、写真を撮られる方、また、「TVの位置をもうちょっと、こう・・。」と、女将さん、hirutanさんが前の席でモノを動かしたりと、早くもなごやかなムードが生まれる。

テーブルの上には、各地のお菓子が並べられ、女将さんからは、「これ、ケーキ。樋口さんからの差し入れ!」思わず歓声があがる。
「わたし、オリエンテーションの会場で、握手してもらいました!」「レコードがほしい、って、樋口さんに手紙出したんです。そしたら、ご自分が持ってらっしゃる最後の一枚を送っていただいたんです!」「幕末未来人のテーマが好きで、ピアノ譜はありませんか?って、お手紙したんです。そうしたら、自筆のピアノ譜を書いて送っていただいたの!」以前から聞いてはいたものの、(あーやっぱり、ホントに人気アイドルだったんだ・・貧乏な若者と思っていたオレはいったい何なのだろう・・・)恥ずかしいような、いやあれじゃ無理もないぞ!という気もするような・・・。

女将さんが司会席に座られて、いよいよ本日のテーマである鑑賞会が始まった。
まずアイドル時代の歌声。「ミニ・ワンマンショー」などというコーナーがあったのか・・。
「編曲・樋口康雄、演奏・樋口康雄、歌・樋口康雄!」というおちゃらけたナレーションに、「やっぱり、アイドルだったんだ・・・」と、当時の空気を思いやる。
これほどのものが、なぜ、数年で忘れ去られたのだろう?やはり、昭和40年代というある意味即物的な、いま存在するものしか認めない時代の風潮というものがあったのか、それとも、「鶴吉」が良くなかったのか・・(笑)。ピアノの演奏スタイルは、もうこの時点で出来上がっていたようにも思えた。これも凄い。

「樋口さんが秘蔵ビデオをご紹介!」、それは、「喫茶ロックジャンボリー」のシングアウト部分。「これ、NHKのカメラよね!」「じゃ、荒編集の分じゃない?」
また、ほんのチラッと樋口さんが画面に映ると、「あ、もっとうつしてー。」と、SACHIKOさんの声。
CM作品、「アリナミンA10年分」うーん、これ知っていたら録画したのに・・。編曲にバリエーションがあり、一発で樋口作品とわかるものもあるが、わからないのもある。「西武」≪不思議大好き≫。火の鳥風のオーケストラ作品で充分な長さ。貫禄がある。
「ザ・シンギング」「あ、これが、gwinkoさんね、ほら、あの・・」いつのまにか敬語が取れて、すっかりタメ口となった女将さんだが、全く違和感を感じさせない。
ああこの人は、「仕切り」に慣れているひとなんだな・・と、これもひそかに感服でしたね。(笑)
SACHIKOさんが、ビデオがはじまったとたん、TVのわきに、正座してちょこんと座られてたのが、可笑しかった。
私が出品したビデオ「あれはだれ」では、隣のピブリ太さんが、「いい曲だねー」といってくださる。

さて歓談会。
女将さんが目撃した樋口さんの「絶対音感」の話、「アトム」のジャケットの、「この写真、知らない人にはなにがなんだかワカンナイよねー。」「用務員さんかと思われないかしらー。」「あ、お茶の水博士のつもりなんじゃなーい?」なんて話、ふなふなさんは、書いてもらったという自筆の楽譜をみせてくださる、ほかにもいろいろな宝物が・・・。うっ、と思ったのは、指をしゃぶっている「甘えん坊ピコ」という写真。「こ、これはさすがに・・」ご本人が見たら没収されるのでは。(笑)

でも皆さん、総じて、知的な感じがただよっている。
全ての方が、落ち着いた話し方、きちんと起承転結をもったしゃべり方・・。これも、私の予想どおりだった。ネット上ですでにアタリはついていたとはいえ、あの音楽には、なにかそういう人たちをひきつけるものを感じる。また、たとえばhirutanさんは、HPで内外のfavoriteなアーティストについて深い知識をご披露なさってらっしゃるかただし、ピブリ太さんは、ネット界で、サントラマニアとしての名をとどろかせている。kemeさんは、放送業界でご活躍だし、ふなふなさんは、音楽の知識をお持ちで、ファン魂が嵩じて「鶴吉」をスコア譜に書いてしまったりする。考えてみればすごい方たちが集まっている。

いよいよ「樋口作品過去音源のコーナー」。
「四畳半」あの、転調のあるテーマ曲が、ピアノソロでかなでられる。この時期、もっと、映画作品にかかわってほしかったなあ・・。
「アイアンサイド」えっ、あのトランペットのフレーズ、樋口編曲だったの!「鶴吉」は、レコードでしか聴いておられないかたが、「違う〜」と。(笑)そうですよねえ。「殺人の棋譜」おお、いかにも!聴いたことのない、聴き応えのある曲がつぎつぎとぎれなく流れてくる。
そしてそこで流れたひとつの曲、ミステリー風でアルトサックス中心の、終曲あたりに転調(なのか?)が一小節ごとにつぎつぎとつるべ打ちのようにかまされる、これぞ樋口康雄にしか造ることの出来ない曲!お隣のふなふなさん、kemeさんも、驚かれているよう。
こんな曲がまだ埋まっていたとは・・。(これ「さらばかぐわしき日々」であったとか。樋口さん、こういう曲をどんどん作って、世の中を驚かせてやってください!)

「ジャズカントリーを求めて」うーん、ちょっと聞き取りにくいぞ!でも、この曲が出るということは、79年までは、「ピコ」が続いていたということなのか・・・。全然知らなかった。

あっという間に、会議室の使用終了時刻になってしまう。ホントに4時間も聴いていたのか?あわてて、わらわらとみんなで片付けて、「撤収!」
まだしゃべり足りないという雰囲気のまま外へ出るが、多くの方が2次会へそのままなだれこむのだった・・。

2次会ではさらにうちとけた話が続々。女将さんのレコーディング見学の話、過去作品についての論評・・。面白い。「なにが一回り下よ!あんま変わんないじゃない!」とSACHIKOさんに怒られる私。(笑)

そして、なぜか、最後の4人となった3次会までお付き合いさせていただくことに。そこではまた、終電ギリギリまで、お酒も入って、一段と濃ゆい話が続々。
大盛り上がりで気付かなかったけど、お店の人にヘンな客だと思われなかったかな?(笑)

いやー、楽しかったです!
レポートって、こんな感じでいいのでしょうか?それではこのへんで!
樋口さんのさらなるご活躍と大ブレイクを、(なにしろ10何年期待しているのですから!)お待ちいたしております!