桐秋さんの「聴く会」レポ

marionet様、ありがとうございました。みなさん、お疲れ様でした。
音楽は、やはり最高でした。お料理、おいしかったです。世界のビールが、洪水のごとく次々注がれてくるのには驚きました。

あれもこれも味わったために、2次会では、かなり頭がぼーよーとしてましたが。僕にとっての最高の収穫は、音楽面でいえば、やはり、「配達されない3通の手紙」でした。「これは、ここのお店だけでしか聞かれないのよ-」とのmarionetさんのお言葉通り、樋口作品をかなり集めたつもりの私でも、初めて耳にする純音楽作品でした。最初は、現代音楽か?とも思える、アブストラクトな調子ではじまり、(樋口さんは、書くとなったら、現代音楽だろうが何だろうが、まったく掌中のものにしてしまう、すごい才能と思います)いや、そうだけでもない、なんと言うか、やはり樋口調とでも言うしかない調べの第一楽章。第2楽章にきて、いきなりメロディアスなワルツが登場。これは、意外にも、「やる気満々」に出てきた「クリスティーナ」という曲の再登場でした。しかも。元の曲よりずっとスマートに、シンプルに演奏されています。これを現代音楽のコンサートの場で発表されたところに、樋口さんの、{TV音楽にも、純音楽にも、差をつけない、}全て、樋口印の音楽なのだ、とでもいうような意気込みを感じました。さぞや初演時には、この優しいメロディーに、会場が、ハッと和やかになったことでしょう。

第3楽章はピアノを中心とした、大団円といったかんじの曲。後半、一気呵成にピアノが鳴るのですが、私は、その直前の和音の変容に、樋口色を濃厚に感じ、うならされました。こういう、部分部分で「これは樋口さんしかできない展開だな!」と、唸ったり感じたりするのが、「私なり」の楽しみ方なのです。(ちなみに、「トランペット協奏曲」にも、この樋口色を濃厚に感じます。これも今回、店内で流されましたが、やはり、最高でした。トランペットの憂愁に満ちた調べと樋口転調との最高の出会い、この一作のみで終わらせてしまうのは、勿体無いです)他の曲になかには、すでに聞いており耳になじんでいるのもありましたが、皆さんの反応を見たり,おしゃべりを(もちろん料理も)楽しんだりの充実した2時間をすごさせていただきました。

2次会は、近所の日本旅館の広間に移っての、無礼講。おもにmarionetさんを中心としたおしゃべりの会となりました。すでに世界のビールで頭がぼーっとしている私は、はじっこの方でBGM係としてプレーヤーを操作していましたが、ちょうど正面に「樋口初心者」とみずからがおっしゃる、まーくんさんがお座りになられてるので、樋口作品の、面白いところ、超絶な展開をする所をご紹介しようと思い、勝手ながら、自ら持ち込んだCDやMDの、「面白いところ」を抜粋して、勝手に盛り上がっておりました。「鶴吉」BGMから、「さらばかぐわしき日々」「ゆかいな海賊」の冒頭部分のオケの超絶な変容、などなど‥。(まーくんさん、ご迷惑だったかも‥すみません)あと、marionetさんの粋なはからいで、「海神」をもう一度聞けたし、JUNKOさんが、「これをかけてー」と、初めて聞かれる「DANCE」を持ち込まれて、まるまる全部、流してみたり。

話題のほうは、樋口さんの、これからのお仕事に対しての期待、今流れてる「リーン」の話、など、多岐にわたりましたが、やはりなんというか、ピコ時代に噂として流れた女性関係の話にも、当然、流れていくのでありました。私は、そこいらへんは、聞いたこともないので、へーとか、そうなんですかーとか、感心するばかり。でも、黙って聞いているばかりでも芸がないので、ここは少し普段感じていることを開陳しようと、ちょっと得意になってつぎのような事を言いました。「樋口さんのBGMって、全体にいいけれど、ドラマが抜群に面白いものになると、(あるいは、帯ドラマでも、突然脚本が冴えた回になると)突如として、音楽のほうも、密度が濃くなって、ものすごくいいメロディーがながれたり、使いまわしの曲がなくなって全部超絶メロディーの書き下ろしになったりするんですよ。これは、樋口さん自身が、ドラマに乗って作られてるからじゃないかと思うんです。つまり、樋口さんに名作を残してもらうというか、超絶なBGMを書いてもらおうとするには、いいドラマが提供されることが一番だと思うんですよ。」私としては、長年思っていることだったのですが、妹が「それは、見るほうが、いいドラマだと感じると音楽も違って聞こえるということじゃない?」と、一蹴してくれました。そこでみんなに笑われて終わり。自分の兄の永年の意見を一蹴する妹。なかなかいい性格です。

そんなこんなで夜もふけて、お泊り組みのお方とお別れしたのは11時をまわっていました。もっといろんなお話をお聞きしたかったのですが、今回は、名残を惜しみながら、またの機会にということで、失礼させていただきました。