「ブンナよ、木からおりてこい」

♪ 運だけじゃだめ
♪ ヘイヘイヘイ
♪ 沼の木陰で


“「ブンナよ、木からおりてこい」の青年座公演の時(78年から81年)の作曲は、樋口康雄さんでした。
85年だかに脚本を水上さん本人が書いて再演が始まったときも樋口さんの作曲です。もっとも歌は1曲しかなかったと思います。その後、演出家が変わったときに、作曲は林光さんになっています。もっとも、やはり歌はないようなものです。ぼくの脚本は歌だらけですが、当時25歳だったかの樋口さんは、「とても曲を付けられるような詩ではない」と、言ったとか。(後略)”
“すると、樋口さんが曲をつけられないと言われた小松さんの詩に、FKさんは曲をおつけになったわけですか。「ブンナよ、木からおりてこい」FK版ミュージカルの曲と詩はとても自然にフィットしていて、全く無理が感じられませんよね。さすがはFKさん。”

これはかつて作曲家FK氏のファンサイトの掲示板に投稿された、脚色の小松幹生氏と、この投稿に対するFK氏のファンのかたのレスポンスです。
たしかに78年から81年に上演された「ブンナ…」は、歌の数は多くありません。しかし、「1曲しかない」ないなんてことはありません。それは、このページのフィナーレの楽譜を見ていただけば一目瞭然でしょう。
また、85年の再演はミュージカルではなく、ストレートプレイとして上演されたので、曲が少なかったのだと思います。

樋口さんが実際に「とても曲を付けられるような詩ではない」と言ったかどうかはわかりませんが、そう言いながらも曲をつけてしまうのが、樋口さんの樋口さんたる所以なのです。
それに、このFKさんがつけた曲というのが、樋口さんが書いた「春、五月、青空」にそっくりなので笑えます(笑)

さて、話をFinaleにもどします。元の楽譜では、「運だけじゃだめ」の終わりから2小節目、「ヘイヘイヘイ」の頭から5小節目は、それぞれ2/4拍子になっています。たった1小節だけ2拍子にした樋口さんの狙いはなんだったのでしょうか? 機会があれば伺ってみたかったです。