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今回のコンサートで進化したのは目に見える部分だけではなかった。メンバーの歌も格段に進化していた。前回は、曲の途中で危なっかしいと感じる曲がいくつかあったのだが、今回は1部、2部を通じて、すべての曲をストレスなく聴くことができた。これは、出来そうでなかなかできることではない。長丁場のコンサートでは、、1曲や2曲、出来の悪い曲があるのは世の常だ。実は、ちょっと意地悪く、その瞬間を待ちかまえていたのだが(^^ゞ、遂にその瞬間は訪れぬまま、アンコールの「
Nessun Dorma!」に突入してしまった。しかもその「 Nessun Dorma!」をマイクなしで歌い、観客をノックアウトするという離れ業をやってみせたのだから、これはもう、あっぱれと言うしかない。
とりわけ、進境著しいと感じたのが佐賀さんだった。前回は、メンバー5人の中で最も不安定に感じたが、今回はみごとなまでの歌いっぷり。「涙の太陽」は、前回もたいへんな熱演だったが、今回はそれ以上で、鬼気迫るほどの迫力を感じた。そして、この曲だけでなく、すべての曲で佐賀さんは前回を上回る出来栄えだったと思う。私にとって、この日の1等賞は「
グラナダ」だ。高らかに歌い上げるテノールはゾクッとするほど素敵だった。
日野さんのハイトーンをいかした女性ボーカルのカバーは、Le Velvetsならではといえるだろう。「乾杯の歌」は実に楽しかった。佐藤さんの「勝手にしやがれ」は、もはや完全に出来上がっていて、言うことなし。あとは帽子の飛距離を伸ばすことだけを考えてほしい(笑)。
「津軽のふるさと」は今回も素晴らしかったが、前回ほどの感動はなかった。「勝手にしやがれ」で盛り上がった会場の空気が「津軽のふるさと」を聴く体勢にもどるまで、あと一呼吸待ってほしかった。
前回、さんざんこきおろした「ルビーの指輪」。これも俄然よくなった。少なくとも、今回は、お経には聴こえなかった(笑)。日野さんは、このまえより、小節あたまのアクセントを強調して歌っているようだったが、歌い方そのものが極端に変わったわけではない。たいして変わってないのに、たいそう変わって聴こえるのはなぜ?そこが私には不思議でたまらなかった。しかし、しばらくして、ハタとその理由に思い当たった。その瞬間、私の耳に飛び込んできたのはスネアの音だった。
思い返してみると、前回のコンサートでは、ドラムの音を意識することは全くと言っていいほど無かった。ハイハットやシンバルの音はたしかに聴こえたが、スネアやタムの音はまったく印象にない。スネアやタムが鳴ってなかったということはありえないので、聴こえていなかったということなのだろうが、とにかく私の耳にそれらの音は届いていなかった。ギターの音も、明らかに今回の方がよく聴こえた。前回はソロはともかく、パッキングにまわったときのギターの印象は薄かった。
実はこのスネアの音を聴くまで、私はアレンジは前回と変わっていないと思って聴いていた。実際、大筋は変わっていなかったと思う。でも、多分、細部のアレンジは変わっている。ひょっとするとアレンジは変わっておらず、音のバランスが変わっただけなのかもしれないが、バックの音が前回と違って聴こえたことだけは確かである。
それに気づくと、前回、ポピュラー系の曲の出来がイマイチに思えたのも、バックの音に一因があったのではないかと思えてきた。もともとこのバンドはベースレスでシンセで補っているようだが、Le Velvetsのパックバンドという性質上、ロック・バンドというよりエレクトリック・オーケストラという感じではなかろうか。従ってオーケストラバックに歌う歌のような場合は問題ないが、ポピュラー系の曲の場合は、ビート感やリズム感の乏しく、平坦に聴こえてしまう。今回、ポピュラー系の曲を概ねストレスなく聴くことができたのは、メンバー自身の歌唱力の向上も当然あると思うが、バックの音の変化によるところもあるのではないだろうか。
Le Velvetsは、ポピュラー系の曲もいけそうだとわかったら、不思議なもので、彼らに歌ってほしいと思う曲が次々と頭の中に浮かんできた。「ライオンは寝ている」やEW&Fの曲は日野さんが歌ったら面白そうだ。アソシエイションやビーチボーイズのコーラスワークも再現してもらいたい。TOTOの「Africa」は絶対Le Velvetsに合うと思うし、「We Are The World」もやったら盛り上がるだろうなぁ。湯川先生が泣いて喜びそうなエルヴィス・メドレーもいいかも。ユーミンの「陰りゆく部屋」「ひこうき雲」はプロコル・ハルムの「青い影」、「青い影」はバッハのカンタータ第114番「ああ、愛しきキリストの徒よ、雄々しかれ」もしくは管弦楽組曲第3番第2曲「G線上のアリア」のオマージュだと言われているから、ユーミンで始まってバッハで終わる曲なんていうのも出来たら面白いかもしれない(サントリーホールのパイプオルガンで聴けたら素敵!)。それに「この愛を未来へ」のように、伴奏はクラシックで、その上に新しいメロディを乗せた曲なんかも。こうして妄想はどんどん広がっていくのだった(^^ゞ
第2部もメンバーの歌唱はよかった。前回、涙で声が裏返ってしまった「The Letter To My Mother ~母への手紙~」も、今回はちゃんと聴くことができた。「VIVERE」は、囁きかけるような宮原さんのソロに、毎回ハートがドキドキする。しかし、クラシックメドレーや、「勝利への道」「第九」といった、最もLe Velvetsに歌ってほしかった曲がカットされてしまったのは、ヒジョーーーに残念でたまらない。また、第1部では、後半6曲もJ-POPの曲が続いたため、会場から「まるで歌謡ショー」との声もあがっていた。昭和歌謡やメンバーのソロも捨てがたいが、それ以上に観客が聴きたいのは、メンバー5人の高度なコーラスワークを最大限に聴かせる「Queen must go onn」のような曲だったり、単純なカバーではない、巧みなアレンジでクラシックをポップスに昇華させた「勝利への道」や「第九」といったLe Velvetsのために用意された曲なのではないだろうか。限られた時間で、あれもこれもやるのは難しいことはわかっているが、選曲は再考の余地があるのではないかと感じた。
to be continue
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