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随想集

  

 

            「 草 雲 斎 ・ 随 想 集 」


                      







         和邦の辺郡、 草深き 林道をぬけると、


        小さな庵あり。 そこに ひとりの翁あり。


         掲げられし書には  「 則 天 去 私 」  の文字あり。


          近くの小川には  清水が満てり。


          その翁の名を、 「 草 雲 斎 」 といふ。


        翁の曰く、 「 われ 陶淵明 を慕ひて、 この地に来り。


        耕すこと少々なれども、 筆耕の日々なり。 」


 


                              
































































   ◇ 古刹・無量寿寺(鉾田市)の災禍に思う

                       和田耕作

2021121日、茨城県・鉾田市の古刹・無量寿寺が全
 
 焼するという災禍がおきてしまった。


無量寿寺は、親鸞が三年間住んで再興したお寺であり、二
 
 十四輩寺院(第三)のひとつとして知られている。


・茅葺屋根の その瀟洒なたたずまいは、鉾田市民にとって

 のこころのふるさとであり、こころの拠りどころであった。

  寺の「幽霊の絵」は有名で、毎年 お盆に掲げられていた

 が、無事なのであろうか。


・無量寿寺は、わが和田家の本家・田崎家の菩提寺でもある。


・無量寿寺には、欄間などに多数のすばらしい彫刻があった。

 それらを復元することは、大変な仕事であろうと思われる。


鉾田市民にとって、無量寿寺の再興は、沖縄県民における
 
 首里城の再建にも等しいものである。再建には、何年かか

 
るのか想像もつかない現状ではあるが、鉾田市民のみなら

 ず、浄土真宗の全国組織などの応援等をいただき、ぜひと

 も再興を実現して欲しいものである。


・その前に、仮設住宅ならぬ、仮設寺院を建てていただくよ
 
 うに関係各位にはお願いをしたいと思う 今日である。


・私に出来ることは、親鸞の思想・哲学の現代的意義を考察

 することかもしれない。いずれ それに挑戦してみたいとも

 考えている。

      〔 2021.1.28、和田耕作 (C)、無断転載厳禁 〕








無量寿寺の「幽霊の絵」=「戦前の絵葉書」(和田文庫蔵) より


〔 2022.1.28、和田耕作(C)、無断転載厳禁 〕






   ◇ 東日本大震災から10年に思う 

     ――福島第一原発に襲来した14~15mの津波の高さは、

        「想定外」のものではなく、容易に推測されたものである


 

                        和田耕作



・あれから10年が過ぎた。東日本大震災を経験したわれわれは、

 これから 真に希望のある日本を 創造できるのであろうか。


・あのような原発事故を経験してもなお、原発をすすめる政府の方針、

 民意を無視してすすむエネルギー政策、これでよいのか、今の日本よ。


・災害は、必ず繰り返してやってくる。 災害大国・日本の運命である。

 東日本大震災は、1000年に一度の大地震と言われているが、それは

 誤り
である。


・このたび、書庫を整理していたら、学生時代の「地震」の教科書が

 出てきた。鷺坂清信先生のテキスト 『地震』 (いずみ出版、1964刊)

 である。

 この本の 「見返し」 には、


  「 1974.10.24

    本日より、理大 〔東京理科大〕 にて 

    鷺坂先生 3回にわたり 地震の講義を行なう。  」


 との、私のメモがあった。 当時、私は教職課程の 「地学」の講義

 の一環として、「地震学」 を履修していたと思う。


・このテキストの中に、三陸を中心としたものだけでも、以下のよう

 な大地震があったことが記録されている。


「  ・869年(貞観11)、三陸。 大津波による死者1000名。

   ・1611年、三陸。 三陸・北海道大津波。

   ・1896年(明治29)、三陸大津波地震。三陸・北海道にわたる

      最大の津波。綾里湾の波高30m。

   ・1933年(昭和8)、三陸大津波地震。 マグニチュード8.5

       1896年に次ぐ、三陸・北海道の大津波。  」


 そして、2011年の東日本大震災である。 マグニチュード9.0。


・『地震』 には、1933年(昭和8)、三陸大津波地震の時の津波の高

 さの最大は、14mと図示されている。すなわち、2011年の東日本

 大震災は、1933年の三陸大津波地震の再来なのであった。

 つまり、福島第一原発に襲来した津波の高さ14~15mは、容易に

 推測されたものな
のである。これを 「 想定外 」 というのは、ごまかし

 の理屈にほかならないのだ。



1933年の地震のちょうど10年前が、関東大震災であった。

 当然ながら、このような大地震も、常に繰り返し、起こるものなのだ。


・地球環境の温暖化による異常気象など、今日、われわれは、大きな

 難題の渦中にいる。今一度、現代文明のあり方について、根源的に

 問うて行くべきである。


・現在のコロナ禍もまた、地球環境の温暖化や現代文明のあり方と

 無関係ではないであろう。


・地球上のあらゆるものは、微妙なバランスで調和し、運動と循環を

 無限に繰り返している。人類の文明は、その調和を破壊し続けてきた。


・今日、北極圏の氷が溶けていることを利用して、航路を造ろうとして

 いるという。 果たして、そんなことでよいのだろうか。 本末転倒の

 事態である。



・これからの文明に必要なのは、「人間と自然との調和」の思想である。

 これに具体的に取り組むことが、今日の急務である。


・われわれ ひとり一人に、何ができるのか、常に問うてゆきたいと

 思う 「 東日本大震災後10年 」 の今日である。



           〔 2021.3.11、和田耕作 (C)、無断転載厳禁 〕



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