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三木 


                   三 木  清



                          MIKI  KIYOSHI


                                        (1898-1945)








      悲劇の哲学者 ・ 三木 清





      ◇ 三木 清は、兵庫県龍野市の生まれである。第一高等学校時代に、西田幾多郎

        の『善の研究』を読んで感激し、西田のいる京都大学の哲学科に進む。

        京大を終えてから、岩波書店・岩波茂雄の出資によりドイツに留学する。


        帰国後は、京大のポストはかなわず、法政大学の教授となる。

        昭和三年、『唯物史観と現代の意識』を刊行し、マルクス主義に接近する。


        岩波書店の企画の多くに参画し、岩波文化の発展にも寄与した。

        ジャーナリズムの論客としても、活躍し、一世を風靡した。

        

        西田の観照的な哲学よりも、実践的であり、社会的な課題にも創造的・建設的

        にコミットした。その意味において、西田幾多郎を超えた思想家である。


        しかし、『構想力の論理』において、体系的な哲学を構築したが、道半ばで

        悲劇的な最期を迎えた。


        三木 清が、追究した 「主観的なものと客観的なものとの統一」などは、

        実は、「場」の思想家・江渡狄嶺 によって超えられていた、というのが

        私の解釈である。(拙論 「 三木清の「構想力の論理」と狄嶺の「場」の哲学 」、

        和田耕作 著 『 場論的世界の構造――江渡狄嶺の哲学 』、所収。)


        三木 清の 『 人生論ノート 』 は、 「 わが青春の書 」 である。 


   




        ◇ 和田耕作による 三木 清 関連論考のご案内 ◇



          ・ 和田耕作 著 「小倉金之助と三木 清

            ( 小倉金之助研究会編 『 小倉金之助と現代 』、第二集、1986、所収 )


          ・ 和田耕作 著 「 三木清の「構想力の論理」と狄嶺の「場」の哲学

            ( 和田耕作 著 『 場論的世界の構造――江渡狄嶺の哲学 』、所収 )