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狩野


                  狩野 亨吉


                        KANO KOKICHI


                                   (1865-1942)







           真正の哲人 ・ 狩野亨吉





                ◇ 真正の哲人・狩野亨吉は、特異な思想家・安藤昌益の発掘者として

                  知られる。


                  永らく第一高等学校の名物校長として名をはせ、後に京都帝国大学

                  文科大学長となる。夏目漱石の親友である。


                  しかし、思うところあり、市井の人となり、書画鑑定の「明鑑社」を開く。


                  東北大学図書館に収められたその膨大な蔵書である「狩野文庫」は、

                  日本文化史研究の宝庫として 異彩を放っている。


                  安藤昌益のほか、志筑忠雄・関孝和などを研究した、日本科学史研究

                  の開拓者でもある。



                  安倍能成編 『 狩野亨吉遺文集 』 (岩波書店) がある。






                  ◇ 【 和田耕作による 狩野亨吉 関連著作の ご案内 】 ◇



                        ・ 和田耕作 著 「 真正の哲人・狩野亨吉 」 

                          〔和田耕作 著 『 安藤昌益の思想 』 所収〕


                                       






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【 コラム 】


       ・ 「 狩野亨吉の三浦梅園の評価について 」



               和田耕作


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・▼・狩野亨吉は、1908年(明治41年)1月、『内外教育評論』

3号に、安藤昌益についての初めての文章「大思想家あり」

(談話)を発表する。

ここで狩野は、「三浦梅軒〔園〕などよりか、遙かに大規模で、

哲学観が深い。」と述べているが、この時期は、ようやく『日本

倫理彙編』第10巻「独立学派」(明治366月)に、梅園のま

とまった著作が収録〔*〕されたばかりで、狩野自身が梅園につ

いて十分に研究・認識していたわけではないので、この狩野の評

価をいたずらに引用することには問題がある。そうした文章を

見かけたので、ここにあえて述べておきたい。

『梅園全集』の刊行はさらに後で、大正元年である。狩野のこの

安藤昌益についての最初の文章(談話)は、『安藤昌益』(安永

寿延、平凡社、1976)に収録されている。

・〔*〕これに収録された著作は、主に『贅語』からで、主著

『玄語』の収録はない。

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     ・ 「 『 PHN 』 第47号 (2021年5月号)より 」