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電話の着信音が聞こえる。
誰からの電話なのか、今では確かめることもしない。
私に掛かって来る電話といえば、家族か・・・それとも、彼しかいない。
それに、今日は休日で・・・私は家にいるのだから。
「もしもし」
『もしもし、良隆さん?』
「はい」
『あと数分で到着しますから』
「分かりました。じゃあ、外で待ってます」
『分かりました』
そう言って会話は終了する。
付き合いだして数か月になるが、今だに緊張してしまう。
彼の声は電波を介してさえも、私を困惑させる威力を持っている。
これが本物に耳元で囁かれると・・・・もうダメだ。
それだけで私はまともに立っていられなくなってしまう。
彼はそんな私を
「私の可愛い良隆さん」
などと笑いながら言ってくれるが、もう30も過ぎた私が可愛い部類に入るわけがない。
分かっているが、彼にそう言われると・・・嬉しいのも事実だ。
そして、今日は休日を利用して彼の会社に連れて行ってもらえることになった。
数日前に電話があった時、
「良隆さん、今度私の会社に遊びに来て下さい。この間、本で社長室でっていうのがあったのを実践しませんか?」
と言われたのだが、まさか本当に彼の会社を訪れることになるとは思っていなかった。
彼は私の趣味を知っても蔑んだり、変な眼で私のことを見ることはない。
それが嬉しいのだが・・・まさか、そんなことを実践しようとは・・・思っていないだろうな。
でも、もしかしてという気持ちで私は彼が話に持ち出してきた本を手に取った。
タイトルは『隷辱の檻』というもので、ワンマンな社長が気に入った社員を辱めていくという話。
最後はハッピーエンドになるが、同人誌だけあってそういう描写が商業誌より多い。
その中で社長が社員を社長室へ呼び出し、性行為に及ぶシーンがある。
彼はそのことを言っているのだと思うのだが、私はついその主人公を自分と彼とに当て嵌めて読みふけってしまった。
「良隆さん、お待たせしました」
「あ・・・」
突然後ろから声を掛けられて驚いてしまう。
まさか厭らしい妄想に浸っていたなんて、彼に知られたくはない。
「いえ、大丈夫です」
「さ、どうぞ」
そう言われ、車の助手席に座る。
「それじゃ、行きましょうか」
「はい」
私はまだまだ彼の顔を見慣れることはなく、コソコソ見る癖が抜けきらない。
最初の頃、彼はそれを私が彼の顔を見たくないからしているのだと勘違いしていたらしい。
本当のことを知ってからは、彼は反対に私の目に彼を映そうとして覗きこみにくることが多くなった。
そんなことされると、余計に恥ずかしいのに・・・
駐車場は地下にあり、外へ行くことなくビルの中に入ることができた。
そして、直通のエレベーターもあるみたいだ。
2人でエレベーターに乗りながらも彼は
「社長室に案内するのは初めてですよね」
と話しかけてくれる。
私が緊張しているのが分かっていて、リラックスさせようとしてくれているんだろう。
「は、はい」
でも、私としては社長室なんて見たこともなければ入ったこともない。
想像のものでしかなく、緊張するなと言われても無理なことだ。
「到着です」
「あ・・・ここが・・・」
エレベーターを降りると、透明なガラス越しに机が1つあるのが見える。
思っていたよりも簡素な机だったことに驚いた。
しかも、応接用のソファもなければあるのはいろいろ書類が入っていそうな棚と、観葉植物だけ。
「思ったより、質素なんですね」
なんと言っていいのか分からず、無難に答えるだけに留めた。
本の中と現実は違うのかと思っていたが、彼はドアを開けて私を招き入れてくれると
「良隆さん、ここは部下が使う部屋なんですよ」
「え・・・」
「私の部屋はこっちなんです」
「あ、そうなんですか」
私は少し恥ずかしくて、顔が赤くなっていたかもしれない。
そんな顔を見せられず、俯き加減で彼の後を付いて行く。
「ここですよ」
「ここ?」
案内されたのは、少し奥まった場所だった。
何も表示されていない扉。
さっきの扉は透明だったけれど、この扉は中が見えないように曇りガラスになっている。
中を覗こうとしても見えないようになっているのが分かる。
やっぱりどんな来客が来ているのか分からないようにする配慮だろうと感心してしまう。
「さあどうぞ」
「あ、ありがとう」
そう言って入った部屋は、さっきの部屋とはやっぱり違った。
想像通りというか、ちゃんと応接セットのソファもローテーブルも置かれている。
それに、社長が座るに相応しい感じの机と革張りの椅子が正面に見える。
まあ、5階建てで周りもビルがあるから窓から百万ドルの夜景が見えてっていうものはない。
だからといって窓がないわけではない。
ある程度の窓があって、日中は昼寝をしてしまいそうな位の暖かさだろうと思える。
「良隆さん、座ってみますか?」
「え・・そんな」
「どうぞ、いいですよ」
「・・・そんな」
彼が私に革張りの椅子を勧めてくれるが、なんだかそんな場所に座るのが恥ずかしい。
そんな立場に決してない私なのだ。
躊躇している私だったが、彼は
「ほら」
と手を引っ張り、半ば強引に椅子へと私を座らせる。
「ぅわあ」
その椅子は本当に座り心地が良かった。
革張りの椅子というので、バリバリした感触なのかと思っていたのだが想像とは全く違った。
ふんわりと包み込まれるような感触。
そう表現する他に私はなんと表現すればいいのか分からない。
「気持ちいいですか?」
「こんな椅子には座ったことない」
「普段はデスクワークが基本なので、座り心地の良い椅子をと思って」
「ああ、そうか。うん、本当に座り心地が良いです」
私は何度か腰を浮かしては、また座り直すなんて子供のようなことをしていた。
きっと彼には私の行動が滑稽に見えただろうが、あまりに興奮していた私は気にしていられなかった。
「良隆さん」
「え?」
「そんなに気持ちが良いですか?」
「私も基本はデスクワークだけど、こんなに気持ちの良い椅子に座ったことないです」
「そうですか、そんなに言われると毎日座っているものでも今日はなんだか新鮮な気持ちがしますね」
彼が笑いながらそう言うので、私は
「どうぞ、その新鮮な気持ちで一度座ってみてください」
と椅子から立ち上がり、彼に席を譲った。
「いいですか?」
「もともとは君の椅子なんだから」
「そうですね」
椅子に腰を掛ける彼を見ると、やはり様になっていると思う。
きっと私が座っているよりもピッタリだろう。
彼はこの椅子に座り、毎日仕事をこなしている。
それを想像すると、また顔が少し赤くなってくる気がした。
「良隆さん」
「え・・・ぅわ・・・」
私は思わず声を上げてしまった。
「な、何・・・」
「良隆さん。何を想像していたんですか?」
彼が私の腕を引っ張ると、私はその膝の上に座る形になっていた。
後ろから彼に抱かれている形となり、しかも彼が耳元で囁いてくる。
それだけで私の下半身は疼き始めてしまう。
「わ、私は何も・・・」
私の声は変に裏返ってしまっている。
そんな声では逆に何か想像していると言っているようなものだ。
彼も後ろで小さく笑い声をあげている。
「何も想像していないのに、こんなになるんですか?」
「ぁあ、ダメだ」
「何が駄目なんですか?」
彼は私の下半身をするっと撫でる。
経験値の低い私の息子はたったそれだけで、大きく成長してしまう。
もう恥ずかしくて顔を隠すしかない。
「良隆さん、可愛い顔を隠さないでください」
「だ、ダメだ」
そんな私の恥ずかしさを分かっているはずなのに、彼は私の顔をわざと見ようと私の顔から手を剥がしてしまう。
「良隆さんの本では社長室でどんなことをしてたんですか?」
「そ、それは・・・」
「それは?」
「・・・・い、言えない」
言えるわけがなかった。
本の中で主人公は窓ガラスに身体を凭れ掛け、そして後ろから社長に貫かれる。
しかし、本の中ではビルは何十階建という高層ビルでしかも最上階。
周りには他にビルはないという設定なのだ。
しかし、今私がいる場所はそんな高層ビルでもなく、夜で周りから見えない状況というものではない。
休日で正面のビルには人がいないかもしれないが、もしもということがある。
彼が本当に本のようにするとは決まっていない。
決まってはいないが、主人公がどんな風にされていたのかなんて言えない。
「残念ですね。せっかく同じようにしようかと思っていたのに」
「そんな・・・」
「ふふ、良隆さんも少し期待してたでしょ?」
「私は・・・」
「してないわけないですよね。だって、ここをこんなにしてるんだから」
「あ・・・」
彼は再び私の下半身を弄り始めた。
そんなことをされると私はどうにも身の置き所がなくなってくる。
身体を捩ろうにも彼が私を後ろから抱え込んでいる。
「良隆さん、窮屈そうだから脱ぎましょうか」
「え、ちょ・・・え・・・」
私は抵抗らしき抵抗もできないまま、彼にズボンを脱がされてしまった。
ズボンを脱がされれば、さらに私の息子が育っているのが彼に見られてしまう。
「み、見ないで」
まるで生娘のような言葉だったが、そう言うしかない。
「良隆さん、ちゃんと見せてください」
「い、嫌だ・・・」
「恥ずかしかったら目を瞑っていてもいいから」
言われるまでもなく、私は目を瞑っている。
しかし、私が目を瞑っていたとしても彼が私のソコを見ているのに変わりはない。
浅ましく映っているのではないかと思える。
男のくせに、しかも年下の男に見られて息子を大きくさせるなんて変態しかいない。
「汚れると嫌でしょうから、これも脱ぎましょうか」
「え・・・」
驚いて目を開ければ、彼が私のパンツを膝下まで下げているところだった。
「あ・・あ・・・」
「良隆さんのココはいつも可愛いですね」
私の息子は完全に育っていた。
そして、彼に見られて喜んでいるかのように先端から早くも白い液が少しだけ滲みだしていた。
恥ずかしさに私は彼にしがみつくしかなかった。
それがさらに悪かったのかもしれない。
「良隆さん、こっちも触ってほしいんですね」
「ぃ・・・あぁ・・・・」
彼は私の肛門・・・いや、アナル・・・後ろに指を1本入れてきた。
ヌルっとした感触に、彼がその指に何を付けているのか確認しなくても分かった。
「何で?」
「言ったじゃないですか、ココで実践しましょうって」
彼の顔を見ると、にっこりと笑顔を浮かべていた。
「良隆さんってやっぱり本を読んでるから、慣れるのも早いんでしょうか?」
「そんな・・・こと・・・」
「だって、3回目ぐらいからは痛くなさそうでしたよ?それに、もう後ろだけでほら・・・」
そう言うと彼は指を後ろから抜き、私の息子をゆっくり掴む。
「可愛く泣いてる」
「あっ・・・ぅう」
息子を弄られる。
そこに意識が集中していた。
すると、また彼が後ろに指を入れてきた。
それも今度は2本まとめてだ。
「両方されるのが好きですよね」
「それは・・・」
「好きですよね。こんなに涙を流してる」
私は何も答えられない。
後ろに入っている指に意識を向ければ、それを悟ったかのように彼は私の息子を扱いてくる。
どちらに集中していいのか混乱し、もう彼にしがみ付くしかない。
「もう一本入れてみましょうか」
「ふ・・・・ぅ」
彼の言葉に長く息を吐き出す。
すると、彼の指がそれに合わせて中に入って来るのが分かった。
「あぁ・・・あ・・・」
それに彼はただ入れるだけではなく、中の指を動かしていく。
まるで中を広げ、彼のモノを入れる準備をしているようだ。
「もうそろそろですね」
そう言われても頷くしかできない。
「あ・・・」
「じゃあ、入れますね」
「ん・・・ふぅぅ」
「ゆっくり入れますから」
彼の分身が入って来るのが分かる。
なるべく力を抜いて、一番太い部分を受け止める。
そこさえクリアすれば・・・
「あっ・・・」
「ああ、良隆さんのイイところに当たったんですね」
彼はそう言うと、その部分に何度も彼自身を擦りつけてくる。
しかもそれだけではなく、彼は同時に私の息子をゆっくりと扱き始めている。
そんな同時にされると、私は・・・もう・・・
「良隆さん。良隆さんの本だと夜景を見ながらしてたんですよね」
「は・・・は・・・ぁあ・・・」
「今日は夜景っていう感じじゃないですけど」
「ん・・ぁ・・・あ・・・」
「社長室で、しかも社長が座る椅子に座りながらっていうのがまたいいですよね」
「ふ・・・ぁ・・・ぁあ・・・ん・・・」
「良隆さん」
「んん・・・ぁ・・あ・・」
「もう、何を言っても覚えてないか」
彼の、彼の分身が私の中を、奥まで入って来るのが分かる。
きっと彼はこのまま私の一番奥へと、彼の精子をぶちまけるだろう。
その瞬間がたまらない。
それは彼が私を好きだという証拠でもある。
彼の分身が限界近くまで大きくなるのを感じる。
「あ、あ・・・あ・・・」
ドキドキしてその瞬間を待つ。
「・・・・え?」
しかし、それは訪れることはなかった。
代わりに背中に温かい何かが伝う。
それが何かすぐに分かる。
「なんで・・・?」
思わず呟いてしまった。
「何でって、良隆さん・・・ここで出したら、後の処理をどうするんですか?」
「あ・・・」
彼の言葉に、私のことを考えてくれての行動だったんだと実感する。
「帰ってから、もう一回しましょうか?」
そして、耳元で囁かれる言葉に身体が再び熱くなる。
「次はちゃんと中に出してあげますから」
そう言われて私はただ頷くしかなかった。
※ あとがき ※
ついに5万hitお礼の小説となりました。
今回は”社長室で”ということで・・・
まあ、ちょっぴり18禁に足を踏み込んでいるでしょうか?
でも私の中ではどこからがエロなのか分からなくなってきていたりして・・・
もっと激しくてもいいと思うんですが、まだまだ修行中です。