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「タケ・・・タケ・・・」
いくら名前を呼んでも彼は振り向いてくれない。
「”待て”ばっかり覚えやがって」
そう言われたのはけっこう前だった。
”待て”じゃない、俺が覚えることって何なのか分からなかった。
でも、彼はすぐに教えてくれた。
「かわいく”おねだり”して見せろよ」
それが案外難しいことだと気づかされたのもすぐだった。
「それがお前にとってのおねだりか」
彼の言う”可愛いおねだり”をして見せたつもりだったが、すぐにダメだしをもらう。
この時彼はソファに座り、横にはその日ショーに出る人間が彼にもたれ掛かるようにして座っていた。
いつもながら、俺を見る目はきつく、蔑んでいるように見える。
でも俺はそんな人間の視線を気にせず、彼の足下にひざまずいた。
「タケ、して・・・ください」
上目遣いで頼んだ。
彼は俺に視線を合わせながら、つまらなそうだった。
隣に座っている人間は、
「気持ちわりぃ」
とだけ言った。
「・・・タケ」
俺はもう一度彼の名前を呼んでみたけれど、彼は返事をしてくれなかった。
そして放った言葉が「それがお前にとってのおねだりか」だ。
彼はそう言うと、それ以上俺と視線を合わせてはくれなかった。
「タケ・・・タケ・・・」
俺は多少のショックを隠せず、彼のズボンに手を掛けようとした。
でも、
「待て」
そのたった一言で、彼は俺の行動を制御してしまう。
「不合格」
彼はそう言うと、俺をその場に置き去りにしてショーの準備に行ってしまった。
俺はその時、
「不合格だってよ」
と本当におかしそうに笑う声がはっきりと耳に届いた。
俺の一体どこがダメだったのか。
それが分からなかった。
俺はよく雑誌に載っているように、上目遣いでおねだりをしてみせたつもりだった。
ただ、その上目遣いでのおねだりを可愛い女の子がするのと、
俺みたいなゴツいおっさんがするのとでは雰囲気は全く違うだろう。
外見でのダメだしだったならば俺にはどうすることもできない。
俺は次に何か考える必要があった。
「待て」
その次に試した”おねだり”も却下された。
その日も場所はいつもの会場。
彼はショーに出る予定はないようだったが、その周りには彼とお近づきになりたいという人間が遠巻きに数人いる状態だった。
「タケ・・・」
俺が近づいても彼は視線を合わせてはくれなかった。
怯んでしまいそうになりながら、俺は彼に近づく。
俺に無数の視線が注がれているのを痛いほど感じる。
彼がどんな言葉を発するのか、俺をどうするつもりなのかを注視しているという感じだ。
俺はそんな視線を受け止めながら、ゆっくりと彼のズボンに口元を近づけていく。
予定ではこのまま彼のペニスを取り出し、口で彼を刺激した上で
「これを俺の中に入れてください」
と言うつもりだった。
でも、彼のズボンのチャックを下ろすまでもなく「待て」の声が掛かった。
「マイナス10点」
彼は続いてそう言うと、俺を遠ざけた。
その途端、周りからクスクスという控えめでそれでいて俺に聞かせようとした笑いが聞こえた。
俺はそんな笑い声なんか気にしている余裕はない。
「タケ・・・」
どうすればいいのか分からない俺は、ただ彼の名前を呟くことしか出来なかった。
だからといって、彼の視線を俺に繋ぎ止めておくことはできないことも俺は十分分かっていた。
最後だと思って挑んだ時、
「お前・・・」
彼は呆れたとばかりに何も声を掛けてくれず、俺が脱ぎ捨てたコートを頭から被せてきた。
「あんた、全然ダメだね」
その言葉を俺に告げたのは、彼の友人だった。
俺は彼の目の前で羽織っていたコートを脱いだ。
コートの下は何も着ていなかった。
ただ、俺の首には赤いリボン。
それで俺は彼に
「俺を食べて」
と言ってみた。
彼は俺の行動に一瞬固まったように動かなかったけれど、俺にコートを被せると俺を放ってどこかに行こうとする。
「タ、タケ・・・」
俺はコートを羽織り、慌てて彼を追いかけた。
彼は足を止めてくれた。
「俺・・・どうしたら・・・」
簡単だと思っていたはずの”おねだり”の課題に、俺はもう限界寸前だった。
「自分で考えろ」
それでも彼は俺を甘やかしてはくれなかった。
俺は授業中であっても、仕事以外の時でも常に”可愛くおねだり”ということを考えることになった。
それと同時に、彼のことを考え続けていた。
そんな時、俺がたまたま手にしたのが一冊のグラビア雑誌。
雑誌自体は生徒の誰かが学校に持ってきたもので、没収されていたものだった。
その時の俺は勉強になるならという気持ちで、ページを捲った。
裸の写真もあれば、水着やコスプレをしている写真もあった。
裸はダメだった。
何がダメだったのか・・・俺は全て見せてしまっているグラビア女優をジッと見つめることになる。
そして、何度もその雑誌を見た結果。
『放課後、部屋で待ってます』
俺は授業の合間を縫って、彼にメールを送信した。
彼を待っている間、俺は胸が破裂しそうな位にドキドキしていた。
部屋の鍵が開く音が耳に届くと、それは限界値を越える。
玄関から俺がいるベッドまでたった数歩。
彼が息を飲むのが分かった。
俺は伏せていた顔を上げ、彼の方を振り返ると
「武治・・・いじめてください」
俺が考えた精一杯の言葉を並べたが、彼の答えを待つ間、俺は再び顔を伏せて震えるしかなかった。
「これはどうした」
彼がベッドに近づいてくるのが気配で分かる。
しかし、声音から彼の機嫌を悟ることは難しい。
俺の今の姿は彼の目にどう映っているのか。
きっと滑稽としか言いようがないだろう。
でも、これしか俺には思いつかなかった。
「まさか、自分の学校で使ってる制服じゃないだろ」
「・・・・コスプレショップで」
「だろうな」
コスプレショップで見つけた制服。
それも、学ランではなくセーラー服。
恥ずかしさはこの上なく、店員は無表情だったけれども、男でしかも俺のような者がセーラー服を求めるなんて・・・
心の中ではどんなことを思われていたかと想像するだけでも恐ろしい。
店では試着する勇気はなく、サイズだけ確認した。
そして、いざ家で着替えてみればそのスカート丈の短さに恥ずかしさは増す。
ただ、俺が用意したのはそれだけじゃなかった。
「これはどうした」
彼はそう言いながら俺の尻に手が触れる。
見えていない分感覚が敏感になり、彼の手が肌の上を滑るだけで身体が震えてしまう。
「つ、通販で」
「ふん、悪くない」
彼の言葉に俺の身体は歓喜する。
「女物の下着は小さいから、前が窮屈そうだ」
「ぃた・・・」
俺のペニスはほとんど触られてもいないのに、すでに勃起している状態だった。
女性用の小ぶりの下着に窮屈ながら収まっていたペニスを彼は下着の中から取り出す。
それだけだと窮屈さから解放されるだけだが、彼は俺のペニスを外に出したままで下着を元に戻した。
パチンと音がするほどの勢いに、痛みが走った。
「ショーツだけ?」
「・・・じゃない」
俺はますます顔をシーツに埋める。
そう、俺が通販で買ったのは女性物のショーツだけじゃない。
「ま、後で見せてもらうとして」
「ぅ・・・ぁああぁ」
「声、大きいって」
いきなり身体の中をかき混ぜるような刺激に埋めていた顔を上げてしまった。
「あ・・あ・・・ぁ・・・」
彼が後ろで笑っているのが分かる。
自分でアナルに入れたローター。
そのスイッチを彼が無造作に動かしているおかげで俺の身体はすぐに頂点を目指そうとする。
「前も窮屈そうだ」
下着のゴムに挟まれた俺のペニスは痛いぐらいに腫れ上がっている。
彼は何度も下着に手を掛け、十分に伸ばした後勢いよく手を離す。
痛い筈の行為も、後ろの刺激と重なり快感へとシフトされていく。
「こっち向け」
ローターは依然として止まっていない。
そんな中でも彼の言葉は絶対だ。
俺は震える身体をどうにかして彼の方に向ける。
ようやく彼の顔をまともに見ることになったけれど、恥ずかしさに目を合わせられない。
「もっとこっちに来い」
「ん・・・」
言葉通りに俺は彼の方へとゆっくりと進む。
「もうちょっと腰、突き出す感じ」
「え・・こ、こう?」
俺の身体は彼の膝の辺り。
そして、彼の言うとおりに腰というか尻を突き出すと
「ひぁあああ」
ローターは作動したままで、それを引っ張り出そうとする。
俺が入れていたよりも振動している間に奥へと進んでしまったために、それが出ていく感覚に身体が震え上がる。
自分だけで身体を支えるのも難しく、目の前にいる彼にしがみつく形になった。
そんな形でも彼は俺のことを払いのけることなく、楽しそうに笑っていた。
彼の喉の奥で笑うような声を耳にして、さらに俺の興奮も高まる。
「ほら、出たぞ」
言われなくても身体の中からズルッとローターが出ていくのが分かる。
俺の耳にはローターの振動音が直に届く。
彼はローターを横に置くと、開いている手でセーラー服の前をはだける。
「下着のセンスはまあまあだな」
そんなところを誉められて喜んでいいのか分からないが、彼の機嫌が良いことに間違いはなかった。
「じゃあ、仕上げにおねだりしてもらおうか」
俺の格好は散々だと思う。
セーラー服で、しかも前は大きく開いていて女性用の下着が丸見えになっている。
スカートも勃起したペニスのせいで変に盛り上がってるようにも見える。
もしスカートを捲ったなら、そこには小さなショーツに挟まったペニスが現れる。
そんな格好をしているのは、彼に比べればおっさんな俺。
これが正解なのかどうか分からないし、その時の俺には考えられなかった。
ただ、彼に前に教えられたように
「武治でいっぱいしてください」
「グチャグチャにしてください」
「俺を可愛がってください」
一言ずつ言いながら、合間にキスをする。
彼は
「まあ、赤点は免れたな」
と言って彼から最後にキスをしてくれた。
ただ、その後もセーラー服や女性用下着を脱がせてはくれず
「あ、あ・・・ひぃ・・・っん」
「こす・・・こすれ・・・る」
「ぃ・・いかせ・・・いかせて・・・」
そのまま泣くまで攻められることになった。
ようやく俺は彼からの宿題がクリアできた。
ただ、こんな宿題はこれ以上勘弁して欲しいと痛感した。
※ あとがき ※
40万hitお礼小説でございます。
こちらもお久しぶりの「ペット」番外編です。
どんな話だったのかを読み返しながら思いだし、書き上げました。
めちゃくちゃ書いている時は楽しかったvv
自己満足垂れ流し小説ですみませんでした。