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連絡が来ない。
彼からの連絡がない。


これが平日であれば気にならない。

彼は学生で、ほとんど会えるのは週末。
それは分かっている。

しかし、その週末さえ会えていない。


「よし、お前らそこまでぇ」


内心では人に言えないことを考えていても、職場ではそれを悟られないように振る舞う。

それに、自分の職業が教師という聖職とも呼ばれる立場にあることからも気を使う。
彼との関係もこのまま終わればその方がいいかもしれない。

そう考えていたとしても、彼からの連絡が来なければこんなにも不安になる。


授業を終え、職員室へ向かう途中で同僚の教師とすれ違う。


「あ、時任先生」

「はい?」


思わず呼び止めてしまったが、体育教師と社会科教師に接点はほとんどない。

それに俺が聞きたいことはこんな人が多くいる場所で聞ける内容でもない。


「どうしました?」

「いや、あの・・・その、聞きたかったことを忘れてしまいました」


俺がどうしようもなくそんな言葉で誤魔化してしまう。
そんな俺と、社会科教師である時任先生の横を通り過ぎて行く生徒達がいた、


「先生、大丈夫かよ」

「ボケるにはまだ早いよー」

「「アハハハ」」


そう笑い、一声掛けてくれる。


「すみません、また思い出したら言います」

「いいんですか?」

「いいです」


俺はそう言うと足早にその場から遠ざかる。

そして、トイレに駆け込むと蓋をしたままの便座に座る。


「はー」


誰もいないことをいいことに大きなため息をつく。

”時任先生に言えるわけないよな”

答えなんて見つからないまま、密室から出る。


「先生、大丈夫ですか?」

「と、時任先生!?」

「さっき様子が変だったんで・・・」

「そんな、待っててくれたんですか?」

「まあ、時間が空いてたんで」

「すみません」


俺は謝りながら、時任先生を誘い学食へと移動する。
全校生徒の半分は入る広さの学食に、今は数人の生徒がいるだけ。
その数人も俺達にチラッと視線を向けただけですぐに興味はなくしたようだった。


「先生、何か飲みますか?」


俺は相談に乗ってもらのだからと自動販売機を指す。


「いや、気にしないでくださいよ」

「そうですか・・・?」


俺達はそう言うと黙り込んでしまった。
どちらも話すタイミングが計れないって感じ。

でも時任先生は体育教師の俺と違って、次の授業の準備とかもある。

そう考えると早く話さなければと思う。


「あの、あのですね・・・時任先生に聞きたいことが」

「はい」

「あの、武治君は・・・この間クラブに来てましたか?」

「え・・・・」


俺がクラブのことを口にした途端、時任先生の表情が変わった。

時任先生ではなく、『ユウマ』と呼ばれている顔がそこにはあった。

そんな先生の顔を見れば、自分も彼の前ではそんな顔を見せているのかとも思う。


「変なこと聞いてすみません」

「あ、いや・・・この前の土曜日は来てたと思います」


俺は内心、来てなかったという答えを期待していた。
それは見事に裏切られたが・・・


「あの、誰かと一緒だったとか・・・?」


質問の答えは時任先生の表情を見れば聞かなくても分かってしまった。


「そうですか」

「いや、もしかして無理に言い寄られてとか・・・」

「彼に限ってそれはないですよ」

「でも・・・」


時任先生は何かの間違いじやないかと何度も言ってくれたが、俺は間違いだとは思えない。

彼は来るもの拒まずに見えて、きちんと選り分けている。
それに彼は俺以外の人間を平気で調教し、ショーで披露している。

そんな大勢の中の1人が俺だと考えれば、ついに捨てられたんだと嫌でも自覚するしかない。

いざその現実を目の前にした途端、こんなに焦っている自分がいる。


「先生に変なこと聞いてすみません」

「そんなこと・・・」


俺が時任先生にお礼を言ってると、


「時任先生」


俺のとは別の声が先生を呼んでいた。

俺には誰が呼んだのかは分かる。
ただ、背中を向けて座っている時任先生にもその声だけで誰に呼ばれたのか分かったみたいだ。


「時任先生、呼ばれてるみたいですけど」


俺がそう言うと、時任先生は


「それじゃあ」


と足早に呼ばれている方向とは反対方向へ歩いて行った。

残された俺は時任先生を呼んだ人物と残されることになったわけで・・・


「あの・・・」

「時任先生にどんな話があったんですか?」


生徒達の手前、敬語で話してくれているがその目の奥は不機嫌そのものだ。


「あいつに会いたいなら来たらいいですよ」

「でも・・・」


”彼の許可なしにいいのか?”

という問いはいらなかった。


「人のペットに手を出されるよりましです。じゃあ、また来週」


そう言うと、時任先生が歩いて行った方へと彼もまた歩いて行った。


”呼ばれてもいないのに、行っても・・・?”


そんな疑問もそれからの1週間、彼からの連絡は来なかったことで決意できた。


”最後通牒をもらいに行く”


その気持ちだけがクラブへと足を運ばせる。

いつもなら彼からの連絡を受け、期待でドキドキしているはずなのに、今日は違う。
ドキドキしているのは同じでもその種類が違う。

扉を開ければ、そこは依然と変わらない空間。

奥へ進んでみれば、そこには彼以外の主要な人間が揃っていた。
俺は彼を探すように店内を眺める。


「あ・・・」


目にした光景に涙がこみ上げてくる。

涙は彼に可愛がって貰える喜びでしか最近は流すことはなかった。
それに彼と会う前でも、男と別れたぐらいで泣くことはなかった。

それは

”いくら受け入れる側と言っても、自分は男なんだから泣くなんて女々しい”

俺の中には変なプライドがあった。

でも、今の状況ではそんなプライドも役に立たない。
彼が俺よりも若い男を連れているそれだけでこんなに辛い。

彼はまだ俺の存在に気づいていないようだったが、男の方は目ざとく俺を見つけた。
俺のことを知っているのか、勝ち誇ったかのように笑った。


”無理だ・・・”


俺は彼に会うこともなく、帰ろうとした。
それなのに、


「待て」


その声に身体は自然と止まる。

振り返れば、そこに彼はいるわけで。


「来いよ」


彼に言われれば動くしかない。


彼の後ろに控えている男が睨んでいるのを感じながら、彼の前に立つ。


「脱げ」

「え・・・」

「下だけでいい」


彼は『どうしてここにいるのか』ということも聞くことはない。
ただ命令してくる。

そして俺はその言葉に従うように、何人もの人間に見られながら、ゆっくりとジーンズを下ろす。

もちろん下着も。


「ちゃんとしてたな」


彼は俺の下半身の状態を見るとそう言った。


「何回出した?」

「出して・・・ない」

「本当に?」

「ああ」


俺の分身の根元近く、そこにはリングがはめられている。


最後に彼が俺をかまってくれた時、


『俺が”よし”って言うまで外すなよ』

『でも、トイレ・・・』

『あんた、トイレの時に最大限に勃起させるのかよ』

『そんな・・・』

『じゃあ、大丈夫だ』


彼からそう言われたから俺はずっとしてた。
このまま彼から連絡がなく、外せと 言う命令がなかったならそのままだったかもしれない。


「タケ」

「あんた、何て顔してんだよ」


彼はそんなことを言うけれど、俺が今どんな顔をしているかなんて自分で分かるわけない。


「ちょうど2週間ぐらいか?」

「何・・・」

「すぐに我慢ができなくて泣きついてくるかと思ったけど、思ったよりも出来たな」

「え・・・」


彼は俺のリングがまだはまっているペニスに軽く触れる。

「ぅ・・・・」

たったそれだけでも2週間の禁欲生活を強いられた俺には十分だった。
彼に触れてもらえた。
それだけで俺のソコは歓喜にうち震える。


「”待て”はお前に必要ないことかもしれないな」

「ま・・・て?」

「お前が覚える必要があるのは”待て”じゃなくて”おねだり”の仕方かもな」


彼はリングを外すことなく、先端部分に爪を立てる。


「ぃあ・・・」

「まあ、先によくできたご褒美をやるよ」


俺は彼の言ってる意味が理解できないまま、ただ”ご褒美”という言葉に反応示す。


「ご・・・褒美」

「ああ、何が欲しい」


”何が欲しい”


そう言われて俺が言葉にしたのは


「タケ」


武治と言いたかったけれど、ここはクラブの中。
この中では武治と言ってはいけない。
そのルールは無意識に守っていた。

彼は俺の言葉を聞くと、ゆっくりと笑った。


「じゃあ、来い」


そして俺は彼に導かれるままにステージに上がる。
ステージにはいつものようにソファが1つ。

そこに彼が座ると、


「ほら、欲しいんだろ?」

「欲しい」


俺は周りを気にする余裕はなく、ただ彼だけを見ていた。
彼が俺に笑顔をまた向けてくれた。

俺は四つん這いの態勢になりながら、彼に近づく。

そして口だけで彼のズボンのチャックを下す。


「ご褒美だ、好きにしろよ」


俺はまた違った意味で涙が込み上げてきた。
でも今は涙を流すよりも、彼の精液を飲みたかった。

彼の下半身に顔を埋めると、邪魔な布を歯で除ける。


「頑張れよ」


その言葉にさらに喜びを感じると、俺は下着の隙間から彼のペニスを取り出す。
震える舌を這わせる。

誰にも彼のモノを見せたくはない。

俺はすぐに喉奥まで彼を呑み込む。


「っ・・・ぐ・・・んん」


彼の先が俺の喉を圧迫し、変な音が出る。
だからと言って口から出すことはしたくなかった。

俺のペニスは彼に触られることないまま、大きく膨れ上がっている。

根元のリングが食い込み、痛みさえ感じる。
ただ、その痛みも今はさらにアドレナリンを放出するためのアクセントでしかない。


「ん・・・んん・・・っ・・・あ・・・」

「後で、後ろにも注いでやるよ」

「・・・ふ・・・ぁぐ・・・っ」


彼が小さく呟いた言葉に俺が顔を上げようとした時だった。
俺の頭を彼の手が固定する。

そして、無造作に頭を揺さぶられる。


俺は彼にされるまま、口を大きく開けているだけ。


彼が精液を注いでくれることを心待ちにしていた。





「さあ、たっぷり飲み干せ」





その後、俺は彼にリングを外してもらい。
2週間ぶりに精液を吐き出す。

そのあまりの快感に気を失ってしまった。







俺の辛かった”待て”の時間は終わりを迎えた。




※ あとがき ※
15万hitお礼小説は「ペット」番外編3でした。

今回のテーマは「Stay=待て」です。
いつもは玩具を使いますが、今回のテーマは玩具自体ではありませんでした。

でも、最後にちょっとは玩具も登場させようと思って使ってみました。

もうタケから連絡がなかった間の先生、書いていて楽しすぎます。
もっとイジメテやろうかと思ったけど、そこはちょっと控えました。

本当にこのペット番外編は私が好き勝手書いてます。
あんまり人気がなくてもいいのさ、私は大好きだから〜