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集音器 実用レベル作品〜その2
 1作目がうまくいくと、欲が出てしまい、2作目を作ってしまいました。
 前作はALC機能(オートレベルコントロール)付きICを使用しましたが、 どうしても自力で作りたく、何とか実現できました。
 また、小型化への興味もわき、できる限り部品数を少なく、つまり安く仕上げました。


< ご注意 > (前作でも書いた内容)
 補聴器と呼ばれるものは、いくつかの法律で定められた規格、基準に適合する必要 があります。そのためこの作品は補聴器ではなく、 集音器 になります。
 集音器と呼んでも、身体(特に耳)に悪影響を与える可能性も考えられます。 この記事を参考に同様のものを作成、使用する場合、充分な注意が必要です。



< 外観 >

 100円ショップ(Seria)で発見したUSBケーブルタイプの携帯充電器。電池ボックス兼ケースとして使おうと購入しましたが、 開けてビックリ、中に昇圧電源が組まれていました。冷静に考えれば当然の ことでしたが。

 完成した写真です。出来てから思うと、イヤホンマイクは改造品のためジャックを使う意味が無く、 直結した方が良かったようです。

 単3電池1本分のスペースに、びっしり回路を組みました。
 ケースの加工も、ドリル、リーマ、彫刻刀、など使い、かなり手間が掛かっています。大好きですが。

 電池の上の部分が昇圧電源基板です。基板中央にはUSBコネクタが付いていましたが、 取外した部分に、SW、LED、巨大コンデンサを付けました。

 飛び出しているのがボリュームです。このようなノブ付きのものは、 通販では手に入りにくいかも。私は秋月電子の通販で2011/8月頃購入しましたが、 その後、通販ページから消えてしまいました。

 USBコネクタ差込み口を利用してスライドスイッチとLEDを取付けています。 スライドスイッチは、オキテ破りの接着剤固定です。


< 回路の説明 >  回路図はこちら(別ウィンドウ)

 オペアンプ NJM4580DD での2段アンプです。アンプ自体は反転増幅回路で、検索すると、 山のように参考になるサイトが出てきますので、そちらを参考にしてください。 通常オペアンプは±電源(+5Vと-5Vなど)が必要ですが、このような回路で 単電源(+5Vと0V)で使えます。

 アンプ1〜2の間(IC 1-A 〜 IC 1-B)の抵抗 R4 をトランジスタ Q2 で有効/無効に切替える ことによりALC機能を実現しています。ALC(オートレベルコントロール)というより、 オートレベルスイッチングというイメージです。

 アンプ2の出力の一部は、ダイオードで整流された後、平滑され、音声レベルとして トランジスタ Q1 を制御します。通常時(音声が小さい時)は、 Q1 は OFF なので、Q2 は ON 状態となり、抵抗 R4 はショートに近い状態なので無効になります。 大きな音が入ると、Q1 が ON し、Q2 は OFF となり、 抵抗 R4 が働くため、イヤホンからの音量が減衰します。
 できればトランジスタ1個で済ませたかったのですが、どうしてもうまい回路ができず、 妥協しました。FETを使い、オペアンプの帰還抵抗値を調整する方法があるようですが、 FETの仕様を調べて、購入、テスト、更に購入、テスト、、、となると膨大な時間を取られそう なので、手持ちのトランジスタを使い、この回路で落着きました。
 この回路では、音量ボリュームを絞ると、音声レベルも低くなり、ALCが 機能しなくなります。普段使用するボリューム位置で、ALCが機能するように 設計する必要があります。

 電源は元々入っていた昇圧電源基板を利用し、電解コンデンサ 220uF を 1000uF に交換 しただけで充分使えました。ICの電源や、マイク電源ラインのコンデンサを省いても、 ノイズレベルは良好で、意外と優れモノのようです。
 USB 出力の仕様に合わせる(?)ためか、分圧回路も配線され、これも2.5V 電源として 利用しています。43kΩ と 51kΩ の中間からの配線に接続しました。 (正確には2.5V ではありませんが)


< 完成して、その後 >
 イヤホンマイクは、前作で作成した、イヤホン〜マイク間隔を短く 改造したものを使用しました。
 音質は、私の聴き比べでは、前作より若干ですが悪くなった気がしますが、 使用者は特に違わないと言っています。

 部品数も少なく、コンパクトにできたため、部品代(単価で)を計算したところ、 約1000円となりました。ついでに前作も計算すると、 約2100円(どちらもイヤホンマイクは含まず)、半減しました。それが何?と言われて しまいそうですが、なぜかコストダウンに興味があります。貧乏性です。
 ちなみに、改造イヤホンマイクの部品代は700円程度です。100円ショップのイヤホンマイク でテストしてみましたが、音が悪く、何とか回路でごまかせないかと 頑張りましたが無理でした。

 1作目、2作目と使い続けてもらっていますが、感想として
「テレビの音声や人との会話は良好だが、大勢でガヤガヤした場所では ガ−ガ−聞こえてうるさい」
とのことです。
 これが次のテーマになりそうです。アナログでは無理か?デジタルでも可能か?
 とりあえず、可能か不可能か、考え中、というところです。