ぺこり庵

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■中川幸夫のいけばなについて

 

(ぼくからAさんへの手紙より抜粋)
ぼくの人生で最初に「死」というものを知ったのは、ありんこをふんづけたときとか、金魚を水の中から"救い出して"あげたときとか、そういうときでした。
そしてはじめて「生」とは何かを知ったのもそのときでした。

 

ふんづけてもふんづけても地の底から湧き出てくるありんこたち。
水から出されてもいつまでもいつまでものたうっている金魚さん。
せんぷうきの羽根にセロテープではりつけられて一時間回されても死なないとんぼ。
でも一日虫かごに入れておいただけでぱたっと死んでしまう。

 

「死」をまのあたりにしてはじめてわかる「生」。
ちょうちょはかわいいかわいい、おはなはきれいきれいだけではわからないもの。
否定しても否定しても、というか否定しようとすればするほど、そのぶんだけ強烈に思い知らされるのが「生」。

 

アサヒグラフのカーネーションの血をみて、こんなことを思いました。

 

でも、中川幸夫のいけばなはこころに響いたけれど、それを評した評論は、どれもこれも、流麗なレトリックの追求に終始しているだけのつまらない文章だったのはどうしたわけか。

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