■つなわたり
目を凝らして自分の行く手を見る。 歩いても歩いても、ロープは、ずっとどこまでもまっすぐに続いている。 地平線の向こうまで続いているようだが、遠くの方はかすんでいてよくわからない。 もうどのくらいこの上を歩いてきたか、思い出せない。 疲れ切っていて、これ以上前へ進める気がしない。 ぼくを見上げている観客たちの怒声がだんだん大きくなってくる。 ぼくが渡り終わらなければ次の空中ブランコショーが始まらないことを知っているからだ。