■森を歩いて考えた
深い深い森を歩いて考えた。 もし人間が、自然に負けない美を創造できるとしたら、それは技術や計算を凝らすことによってではなく、その計算の網の目から漏れ出た「何か」によって、なのだろう。 本当の美は、人間の計算の少し外側にある。修練によって計算がそれに追いついたと思ったら、逃げ水のようにそのまた少し向こうで手を振っている。とかく芸術はままならぬ。