天上の孤独
熟れすぎた果実が
木のてっぺんに
しがみついている
まだがんばれると
うめきながら
まだおいしくなれると
身を震わせながら
仲間も木の葉も
役目を終えて
地に戻ってしまったのに
枯れかけている立派な薔薇が
明日もさらに開こうとしている
散りそうな花びらを
握りしめて
まだ美しくいられると
しみを隠して
もうその真紅のドレスにも
ほつれて穴があいているのに
一番高い所に立っている
君はまだ何を求む?
必要なものはその懐に
溢れんばかりに
詰まっているのに
上を見上げては
手を伸ばすから
ほら
大事なことが
こぼれおちてくよ
懸命になるあまり
自分が見えなくなった
哀れな果実
それに気付くのは
きっと
たった一人で
木から落ちるとき