三姉妹の次は

(平成21年6月6日)

 「少し一般化して」でラプラスの継起則を紹介しました。ラプラスが使って見せた例は逆に誤解を招くものでした。最近発刊された本にも悪い例で継起則が紹介されているものがありますので、その例で正しく説明しなおします。

 ある夫婦が居て、もうじき4人目の子供が生まれそうだという状況です。上の3人の子供はいずれも女の子だったので、その夫婦は今度は男の子が欲しいと言っています。この夫婦は4人目も女の子に違いないとあきらめてしまって良いのでしょうか。

 「4人目が女の子である」という命題の確かさをラプラスの継起則にあてはめると、4/5となります。ところが継起則の紹介にこの例を使うことは不適切なのです。

 実際は、「4人目が女の子である」という命題に対しても、これが真である確かさは0.5とするのが合理的です。統計上生まれてくる子供は男の子が少し多いということを知っているならば、0.5より僅かに小さいという方がなお合理的です。

 それではラプラスの継起則が間違っているのでしょうか。ラプラスの継起則が間違っているのでなく、十分な知識があるときに、それを無視して適用することが間違いなのです。隣近所の子供の状況も判らなかったような原始時代の夫婦であれば、4人目も女の子に違いないと考えることは合理的であったでしょう。

 現代では、子供の誕生と言うことに対し、男女比は殆ど同数であるということが知られています。男の子ばかりの家とか女の子ばかりの家族があることも確かですが、むしろそれは自然な散らばりなのです。

 ラプラスが継起則の紹介に使った例は、「明日も日が昇る」という命題の確かさです。この命題が偽である確かさは5000年×365日で、182万5000分の一あるとしたそうです。当時の知識で地球は5000年の歴史しかなかったのです。

 現在は、地球が45億年の歴史を持ち、まだ太陽は50億年ほど輝くという知識があるので、この命題が真であることはほぼ絶対的に確かだと考えて良いことになります。しかし、新たな知識は逆の方向に修正を余儀なくしています。

 それは、地球の公転軌道に交差する小惑星や彗星があることが判ったからです。そのうちの一つ、しし座流星群はテンペル・タットル彗星の放出したちりが地球の公転軌道にぶつかっているため、地球に降り注ぐものですが、33年ごとに回っている彗星本体が地球にぶつかる確率も少しはあるのです。

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