小さな確率に慣れる

(平成21年6月6日)

 人が小さな確率を正しく把握することは難しいことです。一般に、宝くじで1等が当たる確率など、小さな確率を大きく捉えて仕舞う傾向があります。千分の一の確率や万に一つとよく言うものの万分の一の確率とは大抵の人にとってどの程度のものかピンと来ないのではないでしょうか。

 普通の数でも1億と10億の違いがピンと来ない人のほうが多いでしょう。一兆とか10兆になればなおさらです。お金の単位を付けても殆ど同じでしょう。普通の人は普段の買い物で1億円、2億円の買い物をしないからです。それでも財務省の予算官であれば、常に億円単位で仕事をしていますから、10億円と100億円の違いは肌で感じていると思います。

 小さな確率も訓練によってかなり正確に把握できます。自分の経験から似たような状況を思いつけば良いのです。

 誰でも50−50の確率はどんなものか確かな実感があるでしょう。2回に1回生じるようなものです。身近なところで、コイン投げで表が出る確率もそうだし、サイコロを振って偶数が出る確率もそうです。

 このように具体的に確率0.5であると言われる状況はいくらでも思い浮かべることが出来るので、確率0.5がどの程度の確かさかを実感できるのです。

 それでは1/1000の確率はどのように把握すれば良いでしょうか。それは定員が1000人の少し大きな劇場の座席を思い起こせば良いでしょう。そのような劇場が満員で自分がその一人だと思えば良いのです。

 私は1984年にロス・アンジェルスの開会式を見るチャンスがありました。このとき、観客席が8万人の人で埋まり、フィールドには役員と選手で2万人が入りました。合計で10万人を見渡すことができたわけですが、そのうちの一人であった私はロスアンジェルス・メモリアル・コロシアムに集まった人の10万分の一であったことになります。

 パサデナで毎年1月1日に行われるローズ・パレードにはコロラド通りの沿道に100万人の人が集まるそうです。しかし、この沿道の一人になっても、一目で見渡すことは出来ないので、さすがに百万分の一の確率を実感することはできません。

 音楽バンドのグレイは20万人のお客を一堂に集めて演奏したそうです。さすがにこれほどの人数はたびたび集められるものではないでしょう。定常的に10万人を一堂に集めることが出来るのは競馬でしょうか。

 極めて小さな確率を実感するには、宝くじの当選を決める場面を想定するのが良いでしょう。一桁ごとに0から9までの領域を描いた円盤を回し、矢を射るものです。百万分の一の確率はこの的を6個並べて同時に矢を6本射る場面を想定することになります。自分の握り締めた宝くじと同じ番号になるということはなかなかあり得ないことだと実感できるでしょう。

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