太陽系の縮尺模型  

(2011年6月3日)


  今ある展示館が地球と太陽だけに簡略化した太陽系模型を作る計画を持っています。この模型はできるだけ運動の法則に忠実な縮尺模型であることが要求されています。

 地球の大きさは赤道の位置で周囲の長さが4万Kmですから、半径は6370Kmです。縮尺模型を1億分の1にしますと模型の地球の大きさは直径が13cmになってちょうど手のひらに乗る大きさになります。

 太陽と地球の距離は1億5千万Kmですから、1億分の1の縮尺では1.5Kmもあります。この大きさではとても展示館に入りませんから、さらに百分の1にします。こうすると太陽と地球の模型は15m離せば良いことになります。展示館は体育館のように広いのでどうにか収められます。このとき地球の大きさは直径が1.3mmの小さい球になってしまいますが、ルーペを使わなくても見えるでしょう。縮尺は10^-10にしたことになります。

この模型の太陽の周りに直径1.3mmの小さい地球をどのくらいの速さで公転させれば、運動の法則に忠実な縮尺模型と言えるか検討します。

 太陽の質量は、縦、横、高さの3次元で小さくなりますから、質量は体積に比例するものとして、10^-30になってしまいます。地球の位置では万有引力の加速度の大きさも距離の2乗が分母にきますから、10^-10になります。遠心力加速度は角加速度の2乗に公転半径を乗じたものですから10^-10であれば角加速度は同じになります。

 つまり、縮尺模型も1年間をかけて太陽の周りを回ると運動の法則に忠実な模型であるということになります。非常にゆっくり動くように見えることでしょう。公転速度は地球の30Km/sだったものが、0.003mm/sの鈍さになります。1日だと25cmぐらいです。

 次に太陽を出て地球に届く光を光と表示した矢型模型を作り、これを動かして示すことにします。
地球と太陽の距離は1億5千万Kmありますから、光の速さ30万Kmで割りますと500秒、つまり8分20秒掛かります。

 ここで考え方が2種類あって展示館の担当者は迷っています。次の@とAはどちらを取るべきでしょうか。

@ 光が電磁波の一種で、光の速さはマックスウエルの方程式から決まりますから、真空の誘電率と透磁率から決まるもので不変な値ですから、15mの距離は光だと殆ど瞬時に到達してしまいます。光の模型はあきらめざるを得ません。

A 一方、宇宙は3次元ではなく時間軸も加えた4次元時空であるから、光速も10^-10になるとします。この縮尺模型でも太陽から地球までの15mの距離を光が届く時間は500秒かかるようにつくれば良いので、この速度なら光の模型を作って動かせます。

 (参考) 物理学者の間で考えられた次のクイズがあります。
「ある朝、目を覚ましたら自分も含めて全てのものの大きさが1/10になったとしたら、その人は前日との変化に気がつくことが出来るだろうか。」
 もし、世の中が@だと、光の速さを測れば判ります。光の速さの測定結果が前日に比べ10倍になっていると気づくからです。Aであると、光の速さを測定したのでは気がつかないでしょう。

(了)


戻る