水中の衝撃波を見る  

(2014年6月30日)


  かって飛行機が音速より速く飛ぶことは不可能であろうと考えられていた。実際、飛行機の速度がマッハ0.7を超えると急激に空気抵抗が大きくなることが実際の飛行データでも示されていた。マッハ1になると分厚い空気の壁が出来てしまうからこの壁は破れないであろうと。それでも果敢に音速の壁に挑戦した勇敢な飛行士たちがいた。誰が最初に越えられるかが熾烈な競争であった。そして、米空軍のチャック・イエガ-がこの栄誉に浴した。

  飛行機が音速を超えて飛行すると衝撃波が生ずる。衝撃波は空気が急激に圧縮されてできる。急激に膨張させられても衝撃波ができる。スペース・シャトルが地上に帰還時に滑走路付近で待っているとパン・パンと2回音が聞こえる。最初の音が圧縮衝撃波で2回目が膨張衝撃波である。

  空気中の衝撃波は風洞で観察することができる。しかし、空気は圧縮しても透明なので可視化のために細工が必要である。屈折率が変わることを利用したシュリーレン法で見ることができる。シュリーレン写真の一例は次の図である。


         図ー1 シュリーレン写真

  海上を遷音速で飛ぶとマッハコーンが観測されることがあるが、これは航空機の周囲の空気の急激な膨張による圧力低下で発生する霧であって衝撃波を見ているのではない。下の写真で飛んでいる飛行機が音速を超えていない証拠はマッハコーンの角度が45度より大きいことが見て取れるからである。


   図ー2 マッハコーン

  さて、水中で衝撃波は出来るのであろうか。これが本題である。

  水中の音速は1500m/秒である。空気中の音速の4倍以上である。水は空気と違って殆ど圧縮されない。水自体は殆ど膨張もしないということで、膨張する代わりに真空部分ができる。この真空部分ができるとキャビテ―ションが発生したと言う。船のスクリューにキャビテ―ションが生じるとスクリューを傷める。液体ロケットの推進剤を送出するタービンポンプでキャビテ―ションが発生するとタービンブレードに有害な振動を生じ破壊につながることがある。

  水中での衝撃波によるマッハコーンは出来るであろうか。どのようにしたら撮影できるであろうか。
  水を1500m/秒以上の速さで巡回させることは難しいであろう。従って、逆に水中で弾丸を発射して高速撮影をすることは出来ないだろうか。ライフル銃で発射した弾丸の初速は800〜1000m/秒でまだ足りない。

  JEMのスペースデブリ対策用バンパの試験に使った2段軽ガス銃なら速度は十分である。水中に打ち込んで高速度写真撮影ができるであろうか。弾丸の後ろに真空のマッハコーンができると予想しているのだが。


              図ー3 2段軽ガス銃

(了)

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