国際キログラム原器の廃止について  

(2017年10月27日)


 本日の朝日新聞朝刊に「『キログラム』決める手法を確立 130年ぶり変更か」と題された記事が載っている。
http://www.asahi.com/articles/ASKBV4600KBVUJHB007.html

 「1キログラム」は1989年以来、「国際キログラム原器」の質量と定義されてきたが、国際度量衡総会が2011年にある周波数の光子が持つエネルギーをもとに「1キログラム」を再定義することを決めていた。

 この度、日本の産総研が「エックス線結晶密度法」で、プランク定数を小数点以下43位まで特定できたので、この手法で新しく「1キログラム」の定義が決められるに違いないという予測の記事である。

 質量の「キログラム」という基本単位が出来るだけ正確に再現性のある方法で定義されることは必要であり、望ましいことではある。しかし、物理の単位の定義は必ずしも実際に使用できる方法である必要はなく、むしろ物理的な意味から決めるべきであろう。

 実際、7種ある基本単位の内の一つ「アンペア」の定義は次のようなものであり、この定義どおりにアンペアが測定できるとは考えられない。無限に長い銅線などないからである。
  アンペア: 真空中に1メートルの感覚で平行に配置された無限に小さい円形断面積を有する無限に長い直線状胴体のそれぞれを流れ、これらの胴体の長さ1メートルにつき2 × 10−7の力を及ぼしあう一定の電流である。

 精度よく測れるということは大事なことであり、常に技術の発達に必要なことである。一方、物理項目の単位の定義は物理的意味が大事である。

 このように考えると、質量の一番の特性は慣性があることであるから、次のようにニュートンの運動方程式を使って定義することが良い。

 「1キログラム」の質量の大きさは「1ニュートン」の力を加えた時に「1メートル/秒^2」の加速度を生じる。
 これにより、キログラムは基本単位の地位をニュートンに譲り、組立単位となる。

 一方、現行の力の単位「1ニュートン」は質量「1キログラム」の物体に「1メートル/秒^2」の加速度を与える、と定義されている。

 この定義は長らく使われてきたのが不思議なぐらいである。なぜなら、1ニュートンの力が一つの物体に双方から作用すると力が作用しているにも関わらず加速度はゼロで動かないからである。

 つまり、ニュートンの運動方程式を力の単位に使って力を組立単位とするのは不適切であった。力の単位はフックの法則を使って定義すべきである。もちろん精度よく力の大きさを決める方法はその時代で利用できる技術を使えばよいことである。

(了)


戻る